「“名前のない料理”の料理名を家族に聞かれて困る...」問題の解決法、考えてみた。

第11回 白央篤司の「家事の“ごはん作り”担当の皆さん、おつかれさまです!」
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Komatsuna and pork stir fried
karimitsu via Getty Images

新型コロナの影響から家にいる時間が増え、ごはんを家で食べる機会が増えました。家事の大変さがあらためて浮かび上がります。日々のごはん作りを担当されている方、毎日本当におつかれさまです! 炊事に関するお悩み、共有していきませんか。そして「誰かに作ってもらっている人」も、ぜひ読んでください。ねぎらい合うためのヒントが、必ずやあると思います。

第11回 北海道 ちびまる子さん 33歳

私の夫は、「名前」のある料理が好きです。例えば、「ハンバーグ」「オムライス」「カレーライス」などきちんと料理名があるもの。まだ結婚したての頃、適当に冷蔵庫にあるもので炒めて出したことがありました。そのとき、夫からは「これ何ていう名前の料理?」と衝撃の発言。それからも、何回か「これ何ていう名前の料理?」と聞かれてからは、あまり適当に出せなくなりました...。私もフルタイムで働いているのもあり、忙しいのにそんなこと言われても...と思い、一度「料理って必ず名前がないといけないの!?」とキレてからは夫も聞かなくなりましたが、ハッキリとしないものにはあまり手をつけません(笑)。

あるあるあるある……分かりますよちびまる子さん! うちも毎回じゃないけれど、「きょうは何なん?」とツレが料理中によく聞いてきます。ありものを適当に炒めたり煮たりしてるときに料理名たずねられても、困っちゃうものですよね。

私はSNSに日々の料理写真をよく投稿していますが、「名前のある料理」のほうが、「名前のつけようがない料理(=あまりものをまとめて炒めた、煮た、パスタにしたなどのもの)」に比べて圧倒的に反応がいいです。やっぱり、味の想像がすぐつくものは「おいしそう」「食べたい!」という反応に結びつきやすいんでしょうね。 

 

名前のないものでも「どんな味だろう?」と興味を持ってくれる人もいますが、多くの方は「ピンと来ないもの→あまり興味がわかない」という流れになるよう。でも世の中、名前のある料理ばかりじゃない。むしろ少数ですね。

たとえば料理雑誌の編集さんなんかは、なるたけ分かりやすく、伝わりやすい料理名をその都度考えます。多くの読者さんに「食べてみたい」「作ってみようか」と思ってもらうために。 

よくあるやり方としては、具材がいろいろ入っている場合は「存在感のあるもの2つ」を前面に出し、調理法の前に「決め手となる調味料や香味名」を付けるというやり方。「牛肉と大根のショウガ炒め」とか、「キノコとツナのピリ辛煮込み」とかいった風に。なんらかの香辛料つかったら「〇〇のスパイシー炒め」とかね。

でもね、そういう工夫は読者さんに雑誌を買ってもらうため、PVをより稼ぐための努力です。家で毎度やってたら、くたびれちゃいますよ。日々の買いもの料理だけでも大変なのに。

家の料理って、名前のないものがむしろ基本。野菜の炒めたの、野菜の煮たの、肉や魚の焼いたの・煮たの……なんでもない料理だけど、そのなんでもなさが日常であって、食材のあまりをうまく使いまわしていく知恵の料理でもある。それができるあなたは家庭料理の上級者じゃないですか。 

何回か「これ何ていう名前の料理?」と聞かれてからは、あまり適当に出せなくなりました..

うーん……やさしいな。私は名前のない料理を作ってるとき、ツレに料理名を訊かれたら毎度「てきとう煮込み!」「もろもろ炒め!」とか答えちゃってます。「冷蔵庫にあるものオールスター鍋」とか。こんな感じのてきとうな名前で返すのもいいんじゃないでしょうか。毎日ハンバーグやオムライス作れませんもん。それに、どんなてきとう料理だろうとも、あなたが作っていればそれは「あなたの料理」というブランドなんです。自信をもって“名前のない”日々の料理を作っていってほしいと、私は思います。