冬は浴室と部屋の温度の差が大きく、油断をすると湯冷めをします。風呂上がりは体温が高いので寒さを感じませんが、湯船で温められた血管が拡張しているため、急速に体温が奪われるのだそうです。
そして体温が下がりすぎて「寒い」と感じるのが湯冷めです。こうなると風邪やインフルエンザを引きやすくなります。
湯冷めを防ぎ、合わせて寝つきが良くなる入浴法を、(株)バスクリンの広報責任者で、スポーツ健康科学で博士号を持つ温泉入浴指導員の石川泰弘さんにうかがいました。
入浴剤は湯冷めを防ぐ?
ーー入浴剤の効果を教えてください。
「粉末タイプの入浴剤の主要な成分は、芒硝(ぼうしょう・硫酸ナトリウム)と重曹(炭酸水素ナトリウム)です。これらのミネラル成分は、皮膚の表面のタンパク質と結合して膜をつくり、体が放熱するのを防ぎます。
そのため、お風呂からあがっても体がポカポカする状態にしてくれるのです。
ただのお湯と入浴剤を入れたお湯では、入浴20分後の皮膚の表面温度に約1℃の差が生じます」(石川さん)
「ちなみに、芒硝は血行促進効果もあるので、冬の入浴剤の主成分。一方の重曹はさっぱりタイプなので夏向けの商品だそうです。入浴剤のパッケージの成分表示を見ると、その商品の主成分が最初に記載されているので参考にしてください」(石川さん)
入浴剤以外には「バスルームで体を拭く」「湯上り後、すぐ髪を乾かす」「汗などで衣類が湿ったら寝る前に着替える」「温かい飲み物を飲む」といった方法も湯冷めを防ぐのに効果的です。
風呂の湯を冷めにくくするには?
ーー湯冷めは入浴剤で防げますが、風呂の湯を冷めにくくするにはどうしたらいいでしょうか。
「入浴剤にお湯を冷めにくくする効果は期待できません。よく、ヨーロッパのお土産でいただくバスソルトは体の保温が目的ですが、塩分には湯を冷めにくくする効果があります。ヨーロッパの家庭の風呂は追い焚きしないので、それでいいのですが、塩分は風呂釜を傷めるため追い焚きはしないでください。
また、温泉地などで販売されている湯の花も、成分の硫黄が風呂釜の故障の原因になるので、使用するときは追い焚きしないで下さい」(石川さん)
お湯を冷めにくくするには、お湯の冷めにくいバスタブにしたり、お湯の表面にシートをかぶせるのが良いそうです。
風呂上がり1時間後がベストな就眠時間
ーー湯冷めを防ぐとともに、寝つきをよくするタイミングがあると聞きましたが。
「お風呂に入ると体温が上がりますが、風呂から出て1時間くらいで体温が下がり始め、明け方の5〜6時に一番体温が低くなります。
よく、赤ちゃんの手足が温かくなると『おネムになった』と言いますが、これは赤ちゃんの体が体温を下げるために放熱している状態です。人間は適度に体温が下がると眠くなりますから、風呂上がり1時間後を目安に就眠するといいでしょう」(石川さん)
寝つきの悪い方は、入浴時間と就眠時間を調整して、心地良く眠れる環境を整えることが大切ですね。
参考資料など
はぴばす(https://www.bathclin.co.jp/happybath/)
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