新型コロナのワクチン、効果や副作用、アレルギー反応は?日本で2月下旬の接種開始を目指す

国内初の承認が見込まれるファイザーのコロナワクチン。菅義偉首相が「2月下旬までの接種開始」を目指すと表明した。一方、接種後のアナフィラキシーも報告されている
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ファイザーとビオンテックが共同開発したワクチン
Getty Images、Reuters

新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中、早期の実施に期待が集まるワクチン。菅義偉首相は1月4日の記者会見で、「2月下旬までに接種開始」を目指す考えを示した

国内初の承認に最も近いとされるのが、アメリカの大手製薬会社「ファイザー」とドイツのバイオ企業「ビオンテック」が開発したワクチンだ。新型コロナウイルスのワクチンとして、日本国内で唯一、厚生労働省に承認申請している。

ワクチンの効果は?アレルギー反応のリスクや副作用はあるのか?

海外の医薬品規制機関や厚労省の資料、これまでの報道などから、現在までに判明しているファイザー製ワクチンの特徴を調べた。

 

2回の投与で95%

どれくらいの予防効果があるのか?

このワクチンは1回目の投与後、3週間の間隔をあけて再度投与する。

アメリカ食品医薬品局(FDA)が公表している資料によると、約4万4000人を対象にした臨床試験の結果、2回目の接種から7日後以降での新型コロナウイルスの予防効果は、95%に上ることが分かった。

一方で、様々な副作用の症状も確認された。

注射部位の痛み(84.1%)、倦怠感(62.9%)、頭痛(55.1%)の順に多く、筋肉痛、悪寒、関節痛、発熱などもあった。

これらの副作用の症状は通常、ワクチン接種から2日以内に現れ、1、2日後に解消した。1回目よりも2回目の投与後の方が副作用を訴える人が多かったという。

FDAは公式サイトで、このワクチンの詳細に関するQ&Aを掲載している。その中で、ワクチンの予防効果が持続する期間についてデータで示せる段階にないこと、ワクチンが重症度を軽減するのに有効か否かは現時点で評価できないことなどが記されている。

妊娠中または授乳中の女性に関しては、「ワクチン接種の禁忌はない」としつつ、医師と話し合う必要があると説明している。

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ファイザー製のワクチンを接種する医療従事者(アメリカ・コネチカット州)
JOSEPH PREZIOSO via Getty Images

重いアレルギー反応も確認

高い予防効果が期待されるワクチンだが、重いアレルギー反応も報告されている。

アメリカ疾病対策センター(CDC)は、ファイザーとビオンテックが開発したワクチンをアメリカで接種した人のうち、6人に激しいアレルギー反応である「アナフィラキシー」の症状が確認されたと報告した

厚労省のサイトによると、アナフィラキシーとは、じんましん、腹痛や嘔吐、息苦しさなど複数の臓器に同時あるいは急激に現れる過敏反応のこと。医療品や食品などで引き起こされる場合がある。血圧の低下を伴い、呼びかけに反応しないなどの場合を「アナフィラキシーショック」と呼ぶ。 

ファイザー製ワクチンの接種後のアレルギー反応は、イギリスでも確認されている。イギリス医薬品・医療製品規制庁(MHRA)トップのジューン・レイン氏は声明で、「ワクチン、薬、食品によるアナフィラキシーを起こしたことがある人は、ファイザー・ビオンテック製のワクチンを接種すべきではない」と注意を呼びかけている

ただ、こうしたアナフィラキシーの症例について「極めてまれだが、どのワクチンでも認知されている副作用」と言及。「ほとんどの人はアナフィラキシーを起こさず、新型コロナウイルスから人々を守るという利点はリスクを上回る」としている。

 

接種後に「陽性」

ワクチンの接種後に感染が確認されたケースもある。

ABC10newsによると、アメリカ・カリフォルニア州の看護師は、ファイザーのワクチン接種を受けてから6日後、体調に異変が出た。翌日に検査を受けたところ、コロナ陽性と判明したという。

同州サンディエゴの感染症の専門家クリスチャン・ラマーズ氏は同社の取材に、接種後に感染が確認されたケースは他にもあるとして、接種してすぐに予防効果が現れるわけではないことを指摘した。

ラマーズ氏は「臨床試験の結果から、予防効果が出るのは接種してから10〜14日ほどかかることが分かっている」と述べている。

 

英米、EUでも承認

副作用のリスクが確認されたものの、ワクチンを承認する動きは世界で進んでいる。

FDAは、臨床試験で得られたデータなどを分析した結果、ファイザー製のワクチンがコロナの予防に有効であり、予防効果がリスクを上回ると判断したとして、2020年12月11日、緊急使用の許可を出した

BBCによると、イギリスは同2日に、EU加盟27か国の規制当局である欧州医薬品庁(EMA)は同21日に、それぞれファイザーのワクチンを承認。イスラエルも同19日から予防接種を開始している。

菅義偉首相は年頭の記者会見で、これまで2月中にまとまるとされていたワクチンの治験データについて「日本政府から米国本社に対して強く要請し、今月中にまとまる予定」と説明。「できる限り2月下旬までには接種開始できるように」準備を進めると述べた。

ファイザーと厚労省は、2021年6月末までに1億2000万回分のワクチンを供給することで基本合意している。国内治験は2020年10月から実施している。