8年以上の露光時間で撮影された写真がイギリスで見つかった。
撮影が始まったのは2012年。8年以上が経って、1枚の写真として、ビール缶の中から見つかった。イギリスのハートフォードシャー大学が、公式サイトやTwitterで公開した。
2953日を収めた写真は、幾重の線が連なっている。
写真は何を捉え、どのように撮影されたのか。
大学の公式サイトによると、露光時間が「世界最長」と思われる写真は、大学の天文台にあったビール缶内で見つかったという。
撮影したのはレジーナ・ヴァルケンボーグさん。アートの修士課程の学生だった2012年、卒業に向けて撮影を始めたという。
写真は、弧を描く2953日間の太陽の軌道が収められている。8年1カ月に渡って毎日、昇っては沈んだ太陽の姿だ。
そもそも、「世界最長」の露光時間の写真はなぜ、どのような背景で生まれたのか。
ヴァルケンボーグさんは、最新技術を使わずに撮影しようと、印画紙を入れたビール缶に小さな穴を開けて「ピンホールカメラ」を作った。ビール缶を天文台の望遠鏡に置いたまではよかったが、そのまま忘れてしまったのだという。
この9月、天文台の職員が発見するまで、8年以上放置されてしまったという。
長時間の露光は、写真内で時間経過を表現する手法として広く知られており、風景写真などに用いられている。
同大によると、これまでの最長露光時間は、ドイツのアーティスト、マイケル・ウィスレイさんが持つ4年8カ月と考えられており、最長記録を大きく更新した可能性があるという。
大学のサイトにはヴァルケンボーグさんのコメントも掲載され、次のようにコメントしている。
「写真が手付かずのまま残されていたというのは、思いがけない幸運です。それ以前にこの手法を何度か試したのですが、写真はたいてい、湿気や印画紙が丸まったりしてダメになってしまいました。露光時間をここまで長くするつもりはありませんでしたが、状態が保たれていたのは驚きです」
ヴァルケンボーグさんは現在、別の大学で写真の仕事をしているという。