池袋暴走事故、車内で被告は何をしていたのか。「ブレーキ利かず」と弁護側主張【第3回公判】

亡くなった松永さん遺族が審理後に記者会見し「被告はブレーキを踏んだと思っているが、勘違いとしか思えない」と訴えた。
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池袋事故/実況見分に立ち会う飯塚元院長
時事通信社

東京・池袋で2019年4月、車を暴走させて母子2人を死亡させ、他9人に重軽傷を負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告の第3回公判が12月14日、東京地裁であった。

この日は弁護側が冒頭陳述し、「電気系統のトラブルでブレーキが利かなかった可能性は否定できない」と主張。アクセルとブレーキを踏み間違えたとする検察側の主張を改めて否定した。

弁護側によると、飯塚被告は、事故現場手前の交差点で停止し、左折して事故が起きた道路に進行。左に車線変更した後、異変が起きたという。

弁護側は「アクセルを踏んでいないのに、エンジンの回転数があがり加速した。ブレーキを踏んでも減速しなかった」と主張。直後に車体の左側がガードレールか縁石に接触し「被告はパニック状態になった」という。

その中で「車を何とか止めようと、右足を止めて、アクセルを目視で確認してブレーキを踏んだ」と弁護側は主張。車が減速せずに事故が起きたと訴えている。

アクセルとブレーキを踏み間違えたという検察側の主張に対して、交差点を左折する際、右足をブレーキペダルに乗せたまま惰性走行していたとして「足を踏み替える必要がなかった」と反論した。

弁護側はまた、飯塚被告が運転していた車のブレーキは、コンピューターを介して作動させるタイプだったと説明。経年劣化によって「電気系統のトラブルでブレーキが利かなかった可能性は否定できない。踏み間違えの過失は認められない」と訴えた。

時事通信が報じた起訴状の内容によると、飯塚被告は2019年4月19日、ブレーキと間違えてアクセルペダルを踏み続け加速。赤信号を無視して横断歩道に進入し、松永真菜さん(当時31)と娘の莉子ちゃん(同3)をはねて死亡させたほか、9人に重軽傷を負わせたとされる。

遺族が会見「被告の勘違いとしか思えない」

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記者会見する松永拓也さん(右)と上原義教さん(左)
Huffpost Japan / Rio Hamada

亡くなった松永真菜さんの夫拓也さんらはこの日も、被害者参加制度を利用して審理に参加。公判終了後、司法記者クラブで記者会見を開いた。

拓也さんは、飯塚被告側の一連の主張に対して「数秒の間に足元やペダルを目視する余裕があったのか。本人はブレーキを踏んだと思っているが、勘違いとしか思えない」などと疑問を投げかけた。

続けて「(亡くなった松永さんや莉子ちゃんを)毎日思い出して、どうにもならない気持ちと向き合っている。2人の命や私たちの無念。いろんな人が苦しんでいるのを分かっているのか。向き合って欲しい」と述べた。

松永さんの父親、上原義教さんも「人間だから過ちはある。素直に認めて、自分の罪を償って欲しい。被告を見ていると、どうも人ごとのように聴いている印象を受け、それが悔しい」と訴えた。