男性の「産休」創設へ。企業への取得率公表や意向確認も義務化

「産休」にあたる産後8週間に限定し、男性が育休取得しやすいように申請期限を短縮したり一時就労を可能とする仕組みを提案している。
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Kohei Hara via Getty Images

厚労省は、子供が生まれてから8週間に限り、男性は2週間前までの申請で4週間の育休取得が可能となる新制度を創設する方針を固めた。

男性の育児・家事参加を促すため、産後8週間を「育児への入口」と位置付けた男性版「産休制度」。既存の育休制度とは別の枠組みで、4週間の育休取得を可能とする。2回までの分割取得が可能で、労使であらかじめ予定を決めた就労も可能とする。

厚労省が12月14日、労働政策審議会の分科会で提案した。

同日開かれた全世代型社会保障検討会議では、出産直後の取得を促すための制度創設や育休制度の周知を企業に義務付けるなどの方策も最終報告に盛り込まれた。

今後は分科会での議論のとりまとめを経て、2021年の通常国会で関連法の改正案法案を提出する。

 

男性は最大4回の育休取得が可能に 

男性による育児休業は女性の産後うつや少子化の対策として効果があると考えられている。一方で、取得率は7.48%(2019年)と、当初の目標だった13%(2020年)と比べて大幅に伸び悩む。政府は少子化大綱でさらに目標値を上げて2025年の取得率を30%とし、同時に制度改正に取り組んできた。

より取得しやすい新たな制度と、企業に対する義務づけによって取得率のアップを目指したい狙いだ。

既存の育休制度の枠組みの中でも、夫婦交代で育休取得しながら仕事と子育てを両立できるよう男女ともに2回までの分割取得を可能とする案も示した。

これにより、男性は合わせて4回、女性は2回の育休取得が可能となる。

企業に対しては、個人に対する制度周知や取得の意向確認を義務付ける。また、大企業に対しては育休取得率などの公表も義務付ける。

 

「男性を優遇」「意向に沿わない就労発生も」…。休業中の就労容認には、異論も

この日の分科会では、産後8週の「産休」期間に、男性に対してのみ「あらかじめ予定されていた就労を可能とする」という提案に対して、「本人の意向に沿わない就労が発生する可能性がある」「男性を優遇する仕組みだし、しっかり休むという制度趣旨を変質させる」などの異論が出た。

2週間前の申請で取得可能とする案についても、日本商工会議所の杉崎友則・産業政策第二部副部長は「非常に厳しい。現行の1カ月前までの申請とすべきだ」と主張。「人手不足が深刻な中小企業からは、すでに不安の声が上がっている」と述べた。