性被害を告発した草津町議が失職。リコールの経緯は?【3分で分かる】

町長からの性被害を訴えた草津町議の新井祥子氏が、住民投票の結果、失職した。リコールまでの経緯を振り返る。
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草津温泉の湯畑周辺(2018年撮影)
時事通信社

【UPDATE】2022年11月22日14:15

前橋地検は、元町議の新井祥子氏を名誉毀損と虚偽告訴の罪で在宅起訴した。10月31日付。

朝日新聞デジタルなどによると、起訴内容は新井氏が2019年、町長室で性被害にあったと記載した電子書籍を公表して黒岩信忠町長の名誉を傷つけたほか、21年12月には町長から性被害を受けたとする虚偽の内容の告訴をしたというもの。

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群馬県草津町で、町長からの性被害を告発した女性の町議に対するリコール(解職請求)の賛否を問う住民投票が行われた。開票の結果、町議が失職したことに、波紋が広がっている。

何が問題になっているのか。リコールまでの経緯を振り返る。

 

セクハラ告発 ⇒ 町長は否定、訴訟に

発端は、2019年に草津町議の新井祥子氏が性被害を告発したことだった。

新井氏は、黒岩信忠町長から2015年1月に、町長室で性被害に遭ったことを告白。黒岩町長は事実無根だと否定し、新井氏らを名誉毀損の疑いで刑事告訴。民事訴訟でも争っている

 

町議会の除名処分、県が取り消し

町議会は2019年12月、新井氏に対して「言論の品位に欠ける」として、除名処分にした。

一方、新井氏は除名処分の取り消しを求めて群馬県に審決を申請。県は2020年8月、「議員の議場外の行為で、懲罰の事由にならない」などとして処分を「違法」と認定し、町議会の処分を取り消した。

県の審決を不服として、町議らは住民投票制度に基づき新井氏のリコールを目指して署名運動をスタートさせた。町の有権者の3分の1を超える3180人の署名が集まったことから、解職の賛否を問う住民投票が12月6日に実施された。

開票の結果、解職に「賛成」は2542票、「反対」は208票となり、賛成が有効投票の過半数を占めた。これを受け、新井氏は即日失職した。当日有権者数は5283人で、投票率は53・66%だった。

 

海外でも報道

一連の問題は、海外でも報じられている。

AFP通信は、「町長の性暴力を告発した日本の政治家、投票で失職」との見出しの記事を配信。

日本が、ジェンダーギャップ指数において政治、経済分野でG7の中で最下位であること触れ、「日本は、#MeToo運動のようなキャンペーンに踏み切ることに難航している」と報じている。

町議会や町側の一連の対応について、SNSでは、裁判の結果が出ていない段階で住民投票が呼びかけられ、実施されたことなどを疑問視する声が上がる。