米アマゾンは23日、気候変動対策の一環として、利用者が持続可能性に配慮した商品を簡単に見つけられるようにするイニシアティブ「クライメイト・プレッジ・フレンドリー(Climate Pledge Friendly)プログラム」を開始した。地球環境や製品をつくる人、使う人を保護する目的のFSC認証やクレイドル・トゥ・クレイドル認証など19のサステナビリティ認証のうち1つ以上を取得している商品に、緑色の「クライメイト・プレッジ・フレンドリー(気候フレンドリー)」ラベルを表示する。このほか、過剰な包装が行われていない商品、水を使わない商品など製造や出荷時の二酸化炭素の排出量削減につながる仕様の商品にアマゾン独自の「コンパクト・バイ・デザイン認証」を付与する。(編集・翻訳=サステナブル・ブランド ジャパン編集局)
同社は、2025年までに再生可能エネルギーの利用を100%にし、2040年まで二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする気候変動対策を掲げる。今年6月には、低炭素経済への移行を促進する製品やサービスを提供する先進企業を支援するために20億ドル(約2110億円)規模の基金も立ち上げた。
「クライメイト・プレッジ・フレンドリー(以下、CPF)」ラベルは、商品の検索ページと個別の製品ページに表示される。製品ページではどのサステナビリティ認証を取得しているかも掲載。さらに、CPFラベル製品のみを探せる専用ページもサイト内に立ち上げた。同ラベルは現在、食料品や家庭用品、衣類、化粧品類、家電製品などさまざまな分類の2万5000点以上の製品に表示されている。
アマゾンは信頼性の高い19の第三者認証機関と提携。その過程で、数百のサステナビリティ認証を検証し、サステナビリティへの取り組みの効果が可視化されている製品を認証している組織を選んだという。
その一つが、製品の安全性や健全性、循環型の製品づくりを促進する米非営利団体「クレイドル・トゥ・クレイドル・プロダクト・イノベーション・インスティチュート」のクレイドル・トゥ・クレイドル認証(ゆりかごからゆりかごへ認証)だ。同認証を取得するには、素材の健全性、製品の再利用性、再生可能エネルギーの利用、水資源の保全、企業の社会的責任などの定められた基準を満たす必要がある。
同団体の共同創業者で建築家でもある、ウィリアム・マクダナー氏はこう話す。
「クレイドル・トゥ・クレイドル認証は、安全で健全な素材を使用した製品設計、再生可能エネルギーの使用と水資源の保全、多様性の尊重、廃棄物という概念の排除という原則に基づいて製品を最適化するための枠組みを提供している。アマゾンが、持続可能性に考慮してつくられた製品を簡単に探せるよう取り組むことをとても嬉しく思う。CPFプログラムは、より多くの人が持続可能な製品を購入し、ブランドがサーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現するためにより安全で持続可能な製品をつくる後押しになるだろう」
ブルーサイン・テクノロジーズが管理するブルーサイン認証は、繊維製品の全製造工程から有害物質を排除し、環境に配慮した安全な繊維生産のための基準を設定・管理する製品に付与される。ジル・デュメインCEOは、今回の取り組みを「ブランドやメーカーがより持続可能な方法で調達・製造し、認証を受け、持続可能な製品の選択肢を増やすことを促進するもの」と評している。
繊維関係では、製品の安全性と持続可能性を評価するエコテックス(OEKO-TEX)認証とテキスタイルエクスチェンジ (Textile Exchange)認証、動物福祉と責任ある土地管理を行う牧場で生産されたウールに付与されるレスポンシブル・ウール・スタンダード(Responsible Wool Standard)を採用。さらに、気候変動問題に取り組むためにも、農家や労働者がより良い収入を確保し、より持続可能な農業を行えるよう支援するフェアトレード(Fairtrade)認証と、今回のプログラムで唯一選ばれた森林管理に関するFSC認証、製品に含まれる発がん性物質、変異原性物質、生殖毒性を禁止し、製品の健全性と安全性を評価するグリーンシール(Green Seal)認証などが選ばれた。
コンパクト・バイ・デザイン認証
さらに、アマゾンは今回、第三者認証を受けた「コンパクト・バイ・デザイン認証」を独自に立ち上げた。同認証は、製品の大きさや重さの小さな違いが、製造や出荷時の二酸化炭素排出量の削減につながるという考えから、環境負荷の少ないパッケージ、水の使用量が少ない商品、軽量化された商品、濃縮された商品などに付与される。
例えば、コンパクト・バイ・デザイン認証を受けた日用品ブランド「セブンスジェネレーション」の超濃縮洗濯洗剤は、一般的な100オンス(約3リットル)の洗濯洗剤の容器よりもプラスチックの使用量が6割、水の使用量も5割少ないため、エネルギーと材料の大幅な削減が可能だ。もし米国のすべての家庭が、同社の従来の100オンスの洗濯用洗剤の代わりに超濃縮タイプの洗濯用洗剤を1本購入すれば、年間22万トンの二酸化炭素を削減できる計算になる。
アマゾンは、「オンライン販売商品には見る人の目を引きつけるアイキャッチな包装は必要ない。過剰包装がされていない商品に認証を付与する」と記載するなど、世界最大のECサイトの新たな方針は今後の製品デザインのあり方にも影響しそうだ。
ユニリーバ・ノースアメリカのファビアン・ガルシアCEOは「持続可能な生活を当たり前のものにする、という使命を掲げるユニリーバとして、今回のイニシアティブのパートナーになれたことを嬉しく思う。アマゾンのイニシアティブによって、持続可能な消費の規模も、それによってもたらされる効果も拡大するだろう」と話している。
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