イラストレーターのよねはらうさこさんが、Twitterに投稿したマンガ「選択的夫婦別姓について、現行の制度でも違う苗字になる家族がいることを忘れないでほしい話」に2万もの「いいね」がつき、話題となっている。
選択的夫婦別姓の導入について「夫婦別姓が選択できるようになったら家族の絆がなくなる」とする反対意見に対し、“ある事実”を伝えている。
選択的夫婦別姓をめぐり自民党内でも議論が活発化している。
そんな中、11月26日に選択的夫婦別姓についての勉強会を開いた自民党の保守系有志議員でつくる「保守団結の会」代表世話人の城内実衆院議員が、「祖父が山本で、父が鈴木で、孫が田中みたいなことになる。混乱を生じさせないことが大事だ」と発言したと産経新聞が報じた。
しかし実際には、婚姻による氏の変更などで、親や子どもと氏が異なることは現状でも一般的なことだ。マンガではそれを伝え、「そういう家族すでに山程いるんです!」「絆なくなってません!大丈夫ですよ!」などと訴えた。
なお、厚生労働省の人口動態統計特殊報告(2016年度)によると、結婚時に96%の夫婦が夫側の氏を選択している。つまり現状では、女性を中心に、結婚により親と異なる氏を名乗るようになるというケースはごく一般的に存在する。
「『今いる人たちのことが見えてないのかな…?』という気持ちに」
なぜこのマンガを描こうと思ったのか。よねはらうさこさんに話を聞いた。
「結婚で改姓をするのは、現状では女性が多いですよね。親や子どもと苗字が違う人は、女性を中心にたくさんいます。議員の発言を知って、『今いる人たちのことが見えてないのかな…?』という気持ちになり、マンガを描こうと思いました」
「もともと、選択的夫婦別姓について、『家族の絆がなくなる』という反対意見があるのがひっかかっていました。今でも苗字が違くても仲の良い家族は当たり前にいます。また例えば、同棲カップルが『苗字が違うので、この人関係ありません』とは言わないですよね。いろんな立場の人が存在する中で、『苗字が同じだから絆がある』って言い切るのは、ちょっと違うんじゃないかな、とわたしは思っています」
「選択制の話なので、結婚する夫婦が話し合って決めていけることです。同姓にしたい人は、これまで通り同姓にできるんです。なので漫画でも『選べるんです!だから大丈夫!』と描きました」
「選択肢が増えて、もっと生きやすい社会になればいいな」
よねはらうさこさんは、様々な国の人と交流し、文化や考えを知るように心がけ、自分が学んだことをマンガで伝えている。今回のマンガでも、中国の事例に触れた。
「わたしが『こうしなきゃいけない』『すべきだ』と思い込んでいたことが、海外では別の方法・考えが当たり前に機能していることがあります。わたしは、他の国の人の話を聞いて、『こんな考え方もあるんだ』『これも大丈夫なんだ』と知って、気楽に感じさせてもらったり、ハッピーな気持ちになったりすることがよくあるんです」
「『海外がよくて、日本がよくない』と言いたいのではなくて、他の考えも学ぶことで選択肢が増えて、もっと生きやすい社会になればいいなと思っています。そんなヒントになりそうなことを、これからもマンガで伝えていきたいです」