「ありのままに生きられる世界、待ってられないよ」。アスリートへの差別、いじめを描くナイキの動画が胸を打つ

3人のサッカー少女が直面する困難は、実在のアスリートの証言をもとに描かれているという。
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ナイキジャパンが新しく公開した動画の一場面
ナイキジャパン提供

いじめや差別に悩む10代のアスリートたちが、スポーツを通じてつながり、困難の中でも前を向いて自身の力を発揮させるーー。そんな物語を描いたナイキのPR動画が11月27日、YouTubeで公開された。

「最高のメッセージ」「泣いた」などと反響が広がっている。ありのままの自分を受け入れられないことに悩む、実在のアスリートの証言をもとに作られているという。

「わたしって、ナニモノ?」

ナイキジャパンが新しく公開した2分間の動画には、サッカーをする3人の女子生徒たちが登場する。

ときどき考えるんだ

わたしって、ナニモノ?

できることなんてあるの?

わたし、期待外れなのかな

普通じゃないのかな

このままでいいのかな

ある生徒は、スマホで『現代の在日問題を考察する』と題する連載コラムを眺める。

別の生徒は、テニスの大坂なおみ選手の動画に対する「彼女はアメリカ人?日本人?」と書かれたコメント欄を見つめる。

3人目の生徒は、動画に中傷するコメントがついてるのを見てショックを受ける。

ぜんぶ無視できたらいいのに。

 

「同調」を求められる現実

うつむきながら、朝鮮民族の民族衣装を着て街を歩く。他の生徒たちに、束ねた髪をいじられる。集団に囲まれてカバンを引っ張られ、プリントが散らばる...

少女たちが日々直面する、差別やいじめの光景が続く。

わたし、浮いてる?

もっと馴染んだほうがいいのかな?

ここにいちゃダメなの?

みんなに好かれなきゃ

我慢しなきゃ

気にしないフリ、しなきゃ。

うつむき、膝を抱えて小さくなる少女たちの姿が描かれる。

今までずっとそうだった。それが当たり前だって、思ってた。

「同調」を求められ、自分らしさが認められない現実に悩む3人。

だが動画の終盤では、それが一変する。

でも、そんなことないかも

ないね

ないでしょ

ありえないって

それぞれにサッカーの練習や体力づくりに励んでいた3人は、サッカーを通じて出会う。同じチームで生き生きとプレーし、笑顔で集まる様子が映し出される。

いつか誰もが

ありのままに生きられる世界になるって?

でも、そんなの待ってられないよ

“動かしつづける。自分を。未来を。You Cant Stop Us” 

 

「バリアを打ち破る」狙い

ナイキジャパンによると、動画のタイトルは『動かしつづける。自分を。未来を。』。「前向きな変化を促すスポーツの力を賞賛し、日本の全てのアスリートたちが直面するバリアを打ち破ること」を目的としている。

差別やいじめを受ける3人の10代の少女が、サッカーを通じてつながる。自信や楽しさを手に入れながら、悩みを一緒に乗り越えていくという内容だ。

プロサッカー選手の永里優季選手、プロテニス選手の大坂なおみ選手も特別出演している。

大坂選手は、黒人差別への抗議を繰り返し発信するなど、「声を上げるアスリート」として知られる

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黒人への暴力で犠牲になったトレイボン・マーティンさんの名前が刻まれたマスクを全米オープンで着用し、人種差別に抗議する大坂なおみ選手
Matthew Stockman via Getty Images

感動する声、SNSで広まる

動画は11月29日午前11時時点で、再生回数が660万回を超えている。

 「感動した」「最高すぎる」「すばらしいメッセージ」

SNSではナイキのメッセージに対する反響が広がっている。

タレントの古坂大魔王さん「これ作った人…てか、NIKE…朝から泣かすよ。だから、NIKEの靴やら服やらカッコいいんだね。こんなの作れちゃうんだもの。そりゃかっこいいわ!」とツイート。

性的マイノリティへの差別問題をめぐって発信を続けているプロサッカー選手の下山田志帆さんは、Twitterに<「いつか誰もが ありのままに生きられる 世界になるって?」「そんなの待ってられないよ」 本当にそう思う。待つ必要なんてないよ。自分が自分たちが、やろう。>と書き込んだ。

ナイキジャパンは、「あらゆるレベルの女子アスリートがスポーツ、体を動かすことや遊びを通じて自らの実力を発揮できるよう激励や支援を続けます」としている。