真剣に話し合って、妊活あきらめた。LiLiCo、50歳。夫・小田井涼平と見つけた夫婦のかたち

好評連載 第14回 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」
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LiLiCoさんと小田井さん
川しまゆうこ

11月16日に50歳の誕生日を迎えたタレントのLiLiCoさん。10日には、夫である歌謡コーラスグループ「純烈」の小田井涼平さんと「いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー2020」を受賞しました。

LiLiCoさんと小田井さんは、2017年に出会って数カ月で結婚。多忙だったお二人は、2020年に新型コロナウイルスの流行によって初めて家族水入らずの時間を過ごしたそう。

世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、LiLiCoさんが語り尽くす本連載。今回のテーマは「夫婦のかたち」。パートナーの小田井涼平さんと本音で語り合う特別対談をお届けします。

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川しまゆうこ

演歌の話題で意気投合

――2017年、出会って数カ月で結婚したLiLiCoさんと小田井さん。出会った頃の互いの印象は?

LiLiCo:彼を初めて見たのは、「ノンストップ」にVTR出演した純烈を紹介したとき。なぜか「私、この人と結婚する」って感じたんです。

その4カ月後、私が司会を務めた「演歌男子。」(CS歌謡ポップスチャンネル)に純烈がゲスト出演したときが初対面です。よく覚えているのは、ディレクターが打ち合わせで言った「純烈は、自分たちでも面白くできるグループだから大丈夫」という言葉。スタッフに信頼されているすてきなタレントなんだなと思ったんです。

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川しまゆうこ

小田井:一方の僕は、「“ザ・芸能人のLiLiCoさん”と共演するなんて、自分たちも売れてきたな」と(笑)。

演歌歌謡は特殊なジャンル。いまだに作曲家・作詞家の先生に弟子入りして、何年か住み込みで修行するような世界です。若手の頃は、ジャンルの違う芸能人の方とお会いする機会がないんですよ。

LiLiCo:初デートでは、その“特殊な世界”の話で盛り上がったの。私は演歌歌手として芸能人生をスタートして、下積み時代に立っていたのは、まさに彼らと同じスーパー銭湯のステージ。楽屋がプールみたいな匂いなんだよね、とか話しましたね。

小田井:彼女のキャリアを知って、ものすごいギャップに驚きました。同時に、彼女にも大変な時代があったんだな、と。

LiLiCo:私は、今もそういうところでステージをやっている人がいるんだ、って思いました。彼の1日のスケジュールも、手に取るようにわかりましたね。

 

LiLiCoがいると2倍速で時間が流れる 

――2度目のデートで結婚の話になり、数カ月後には結婚。とはいえ結婚後は、一緒に過ごすことが少なかったそうですね。

LiLiCo:純烈は地方を回る仕事がメインで、朝は早く、夜は遅い。出張も多く、2019年は一緒にディナーを囲めたのが5回だけでした。

だから、2020年は初めて長期間、2人きりの自宅時間を経験した年でしたね。

小田井:自粛期間の一番の収穫は、LiLiCoが家でどうやって過ごしているのか見られたこと。以前は、自分の不在中、どんなふうに仕事や家事をしているのか知らなかったから。

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川しまゆうこ

わかっちゃいたけど、LiLiCoはすごかったね。洗濯機を回すあいだに映画を観たり、掃除機かけたりと、家事や仕事をいくつも同時進行で進めていて。家にいると2倍速で時間が流れるような気がするもん(笑)。

LiLiCo:家では「LiLiCo」を見せないように、彼が帰宅する1分前には仕事を止めたりしていたんですよ。今は、横で仕事の電話をしたり、オンラインで試写を観たりしているから。

 

リモートで夫婦共演した理由 

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川しまゆうこ

――自粛期間中は、「王様のブランチ」(TBS系)でのリモート夫婦共演も話題になりました。

LiLiCo:あれは私のアイデア。握手会など直接会える機会がなくなって、小田井涼平のファンが姿を見たがっているんじゃないかなと思って。

小田井:楽しかったですね。「SF映画特集」で「アバター」をモチーフにして顔を青く塗ったとき、「これやな」と確信しました。もはや、僕かどうかもわからない回もありましたが(笑)。

LiLiCo:最後に、顔中を「ブランチ」のマークにして現われたときは、アイデアと技術に感動して泣きましたもん。

小田井:TwitterなどSNS上でのファンのコメントを見ても、「毎週楽しみにしてます」という声が圧倒的に多かった。仕事現場でも、どこへ行っても「楽しみにしてたよ」と言われました。

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川しまゆうこ

LiLiCo:みんな、やりたいことがあってもできない状況だったから、サプライズがうれしかったのかも。私もいろいろな人に「楽しい夫婦だね」って言ってもらえて幸せでした。

別の事務所に所属していて共演できる夫婦って日本では10組もいないはず。結婚したときに、両方の事務所に共演についてプレゼンして、快諾してもらえてありがたかったですね。

 

膝を骨折したLiLiCoが3日で退院してきた

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川しまゆうこ

――8月には、LiLiCoさんが声帯の手術をした2日後、大雨の中を転倒して、右足の膝蓋骨を骨折するという大けがを負いました。

小田井:LiLiCoが怪我をしたのは、僕が仕事で外出していた日でした。

その帰宅途中で、搬送先の病院へ直行。救急外来に案内されると、応急処置が終わってストレッチャーで先生と筆談しているLiLiCoが見えて。僕も一通り、これからの手術やリハビリについて聞かせてもらいました。

LiLiCo:声帯の手術をして声が出せなかったから、筆談用のホワイトボードを持ち歩いていたんです。

小田井:笑ったのは、LiLiCoが突然、ホワイトボードに「プロレスはできる?」って書いて先生に見せたとき。みんな大笑いですよ。さすがLiLiCo! 

そこにやってきた別の先生が真顔で「うーん、(足は使えないから)必殺技は変えてもらった方がいいかもしれません」って(笑)。

しかし、2、3週間は入院していると思ったら、まさか3日で退院してくるとは……。

LiLiCo:突然の退院だったのに、帰宅したら部屋中のフロアマットも、壁に飾っていた絵も外して(退院の)準備してくれていて感激しちゃった! その後、ソファの脇に置くサイドテーブルも買ってくれたよね。

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小田井:リビングとベッドルームの電気も、リモコン式のものに換えた。壁のスイッチまで歩くのが大変かなと思って。

LiLiCo:ただ……食事の買い物は、変わらず私が一人でやってるんですよ。彼は自分のスケジュールをあまりわかっていないから、ちゃんと把握してほしい。午前11時ぐらいまで空いていれば、一緒にスーパーに行って必要なものを全部買うことができるのに。

小田井:気をつけます。複数人グループだからそれぞれスケジュールが違うんだけど、みんながいるときに(自分のスケジュールを)確認しようと思って忘れちゃうんだよ。

 

話しにくいことも話し合う勇気 

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川しまゆうこ

LiLiCo:最近、一番真剣に話し合ったのは、妊活について。彼は「子どもがほしい」と言いながらも(仕事が忙しくて)協力的ではなかったから、勇気を出して「本気で妊活を続けるのか諦めるのか、家族会議したい」と切り出したんです。

結果、私たちは、子どものいない人生をともに歩んでいこう、と決めました。

家族間でも話しにくいことはあるけど、これからも一緒にいたいなら、嫌な気持ちになってもやっぱり話し合わなきゃいけないんですよね。今回も、何時間も真剣に話し合って。

小田井:そうだね。

LiLiCo:妊活を辞めるなら、今後は仕事をがんばりたい。やりたいことがあるので、来年それが可能になればいいなあと思っています。

純烈も早く旅に出られるようになるといいな。メンバーの特技を生かした個々の仕事も増えたらうれしい。

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当たり前の「家族」こそ気遣う必要がある 

――結婚して3年、お互いにどんな変化がありましたか? 家族の存在をどう思っていますか?

小田井:結婚したことで、プライベートは個人の時間から家族との時間に変わりました。

ただ男性の場合、家庭で一緒に過ごす相手を気遣わなくても許される空気が、まだまだあります。「家庭」はあって当たり前だと思いがちだし、他のことを優先したくなる。でも、実は誰かの努力によって成り立っているんですよね。

それを自粛期間に痛感し、パートナーを常に気遣う努力をすべきなのだとわかりました。

LiLiCo:もしこの国に残業がなければ、育休や子育てのあり方は変わるよね。夫が夕方時に帰ることができれば、家族と会話ができるし、不在中に家族がどんなふうに暮らしているのか想像もつく。そうすれば、妻を思いやる心も生まれるでしょう?

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川しまゆうこ

小田井:サラリーマンを経験した僕からすると、残業している本人たちもどこかで「おかしいな」と思っているんだよ。だけど、みんなが横並びで残業していたら「おかしい」なんて言い出せない。

ただ、そんな彼らの生活はパートナーが支えてこそ成立している。男女平等な社会が目指されるなかで、「家事は女性がするもの」とどこかで思ってる男性たちと、「男女は平等に仕事と家事をするもの」と考える女性たちが共存している。多くの夫婦がすれ違うはずだよね。

LiLiCo:本当なら、結婚する前にどんな生活を送るのか話しあってほしいけどね。

小田井:家庭でも仕事でも、人はさまざまな見えないルールに縛られている。正しくないとうっすら思っていても修正しない。そうした習慣を見つめ直す機会が、僕にとっては今回の新型コロナだったんですよね。

LiLiCo:嫌いになって離婚するか、素敵な人と結婚したなと実感するか。どちらかだと思っていたステイホーム期間が、後者でよかった。

これからも、私たちはたまに喧嘩をして、話し合って、さらに関係を深め続けていくんじゃないかな。私と彼は“違う人”。だからこそ会話が生まれて楽しいし、まだまだお互いに知ることはたくさんあるんだと思っています。

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川しまゆうこ

(取材・文:有馬ゆえ 写真:川しまゆうこ 編集:笹川かおり)