皆さんの私のイメージというと、「いつも前向きで、ハフポストのコラムでも様々な人をエンパワメントするようなことを書いてる人」かもしれません。
でも、私もいつも元気で、前向きでいられるわけではありません。泣いたり、落ち込んでなかなか復活できないことだってあります。
つい1カ月ほど前にもそんなことがありました。
今回は、気持ちが落ちてどうしようもないときの、セルフケア、セルフエンパワメントのお話をしたいと思います。
失恋で心を病んで…、そして出会った親友
4年前に元彼に、交際していた半年の間に両手では数え切れないくらいの人数と浮気をしてることを告白されたことがありました。そのあと私は約1年もの間ものすごく心を病んで、カウンセリングなど受けてようやく回復し、そののちに今の夫と出会いました。
そして、夫と結婚して、ここ4年くらい元気にやっていました。
結婚した最初の1年は、プライベートでいろいろなことが起きたため、私にとって本当に酷い年ではありましたが、大好きな親友に出会い、彼のおかげで乗り越えられました。
私も親友をサポートし、親友が私を変えてくれたように、私も親友を良い意味で変えられたかと思います。お互いの存在にとても感謝しています。
親友と過ごす時間は本当に魔法のようで、永遠に2人で話し続けられるような、話をすれば心が回復するような感じがして「ソウルメイト」とはこういう存在のことをいうのだなぁと思ったほどでした。
そんな感覚を体験したのは、この親友と出会った時だけではありません。
夫に出会った時にもこういう気持ちになったのを覚えています。その時は、親友に出会う前で、ソウルメイトという発想が私の中になくて、気づかなかったけれど、きっと夫も私にとって、ソウルメイトのような存在なのだと思います。
出会いがあれば、別れの時もやってくる
このように、ソウルメイトとは恋人に限らず、私と親友、私と夫のように色んな形があると学んだわけですが、ソウルメイトは一生あなたと一緒にいるとも限らないそう。互いの役目を終えたら、人生からいなくなってしまうこともあるそうです。
実際に私の親友も、たまたま国外に引っ越すことになってしまいました。その時私は「お互いを卒業する時期が来たのかもしれない」と悟りました。
親友の新しい人生の門出が嬉しい反面、初めは別れが嫌で、親友がいなくなることで起こるかもしれない変化が怖くて、かなり落ち込みました。それが、最初に書いた、つい1カ月ほど前の気持ちが落ち込むきっかけでした。
コロナ禍でのストレスと、そのとき撮影していたプロジェクトが終わっての燃え尽き症候群もあったのでしょう。前回落ち込んだのが4年前だったので、オリンピックのようにやってくる4年に一度の落ち込みが来たのだと思いました。
東京オリンピックは来なかったのに、私の落ち込みはコロナで延期なんてことはなく、しっかりオンタイムでやってきました。
その時の私がどんな状態だったかというと、仕事など普通にしなければいけないことはなんとかできるけど、心の中は真っ暗な霧の中にいるような気持ち。生きながら死んでいるような日々が続きました。
そのうちどんどん悪化して、プライベートの時間は朝まで泣くのが止められないほどの状態にまで陥りました。
国外に引っ越した親友にも泣きついて迷惑をかけました。
繊細な夫には心配をかけたくなくて、自分の状況を言えなかったことが、苦しさに拍車をかけたのかもしれません。
夜になると自殺の衝動にかられて眠ることもできなくなりました。
落ち込んだ状態からなんとか脱出しようと、カウンセリングを受けるも心は晴れませんでした。
強い自殺衝動と動悸が襲った夜が明けたら、日本では竹内結子さんが亡くなったという報道が流れていました。
もしかしたら、一歩間違っていたら、竹内結子さんは私だったかもしれないと怖くなりました。
悲しみを吐き出し切らずに堰き止めていたら…
これは、もう本当にとにかくどうにかしないとと思い、自然に触れて、心にエネルギーをチャージしてみたらどうだろうと海に行くことにしました。
それまでの数日、なんのやる気も起きなかったのに、喉が渇いて水を求めるように、私は海に行きたい、行かないといけないという気持ちになったから、その気持ちに従ってみることにしたのです。
自然には人間の心を癒す力があるそうで、実際、ビーチにいるだけで心が穏やかになりました。
たまたま隣に座っていた人と仲良くなり、しばらく互いの身の上話をしたりと楽しく過ごしていたのですが、私はまた悲しくなってきてしまい、ここ最近の辛い話を泣きながらしていました。
しばらくすると彼女が突然ひどく怒り出したのです。
私は困惑しました。
「私がこんなにあなたのことを励まそうと、前向きでいるのに、なんであなたは悲しいことを話して悲しくなろうとするの?ポジティブな話をして明るくいたらいいでしょ!」
その言葉を聞いて私は気づきました。
私が今求めてるのは、ひたすら泣いて、泣き切るまで泣いて悲しさを流してしまうことなのではないかと。
悲しみを感じることを止めよう、止めようとすることによって、悲しみを吐き出し切らずに堰き止めてしまっていたのではないか、と。
私は彼女に言いました。
「たぶん、私に必要なのは明るい話で悲しみを誤魔化すことではなくて、悲しみに浸ることによって吹っ切ることなんだと思う」
それを聞いた彼女は、彼女の悲しかった話をしてくれました。そして2人で一緒に悲しみました。
すると、不思議と心が癒された気がしました。このタイミングで彼女と出会わせてくれるなんて、やっぱり神様はいるんだと思いました。
彼女は旅行でそのビーチに来ていて、次の日にはロサンゼルスを去るということでした。彼女に会うことはもう2度とないかもしれません。
悲しみが流れ切って、空っぽになった心には、新しく芽が生えてくる
この次の日から、私はまた元気を取り戻しました。ずっと心の中で降り続けていた雨が止んだかのようにスッキリとしていました。
悲しい気持ちがあるから、楽しい日はすごく楽しいし、ステキな出来事に感謝できる。
私は根っからの役者だから、役を演じる上で様々な感情を理解することがとても大切です。だからどうしても感情に敏感でいることを避けることはできないし、感情そのものが好きでたまらないと思えました。感じることをやめてしまったら、それは私の人生ではないと。
悲しみが流れ切って、空っぽになった私の心には、新しく芽が生えてくるみたいに“新しい人に出会いたい”“いろんな人と話したい”と言う気持ちが湧いてきました。
ここ数年そういうスタミナがずっと切れてるような状態だったのに、急にそんな気持ちになるなんて…。私は落ち込みから脱出したことで、また新しい自分として生まれ変わったのだと感じました。
新しいことができる準備が整ったような気持ちです。
親友と以前のように頻繁に会えなくなることは悲しいことです。
でも私たちは友だちだからこそ、一生友だちでいられるのです。
一度ちゃんと心と心で繋がれた友だちはどんなに距離が離れても、長い間会えないとしても、もう一度会ったら、離れていた時間や距離なんてなかったかのように、すぐにまた一緒にいた時のように、お互いにとってピッタリとハマるパズルピースに戻れるのです。
それは私が日本を離れて会えなくなった大好きな友だちも同じです。
少し電話したらあの頃の2人に戻って、また心と心をつなぎ合わすことができます。
全ての出会いには意味があるのだと感じずにいられません。
きっとこれを読んで私のことを心配してくれる方もいると思うのですが、私は大丈夫です。いまも病み上がりだと自覚して、プロの手助けを得ながら毎日生きています。
私のこの体験を綴ることで誰かの悲しみを和らげることができたら、と願っています。
(編集:榊原すずみ)