自民党の杉田水脈衆議院議員が、性暴力被害者への支援をめぐって「女性はいくらでもウソをつける」と発言した問題。杉田議員の議員辞職などを求めるオンライン署名を始めた「フラワーデモ」主催団体が10月13日、集まった13万6000筆の署名を自民党本部に持参したが、署名の受け取りは拒否された。
署名は野田聖子幹事長代行に提出しようとした。呼びかけ人の松尾亜紀子さんは野田氏を指名した理由について、「幹事長代行という立場で、性暴力被害のサポートにも取り組んできた方でもあるので、受け取ってほしかった」と語る。
なぜ野田氏は署名を受け取らないのか。
10月9日に行われたハフポスト日本版のインタビューで、野田氏は署名を受け取れない理由について、「辞職を求める」という表現が問題だと語っていた。
ーー「署名の受け取りを辞退」というのは、なぜか?
私はフラワーデモの方々には敬意を払っているつもりです。
ただ、杉田さんはブログに過ちがあったとして、政調会長から厳重口頭注意をされて謝罪した。党のプロセスに沿って処分されている。謝罪が足りないという思いは理解するが、個人としては党に造反したり党の意思決定に背いたりしたわけではない。本人の言葉使いの問題だ。
署名には「辞職」と書かれている。署名を受けて「辞職しなさい」というのは、法律上できないこと。「辞職」と書かれている以上、私にはそういう権限もないし、預かっても法律上できないことはちょっと無理です、とお伝えした。
ーー受け取らないということ?
だって受け取れないでしょう?議員辞職と言われても、私にはその権限はどこにもない。私のように、時の総理が決めたこと、党の手続きを経て党の意思として決めた郵政民営化に反対した人間ですら議員辞職は求められなかった。そういう経験をしているので。
実現できることが書かれているなら署名を受け取るが、私が実現できないことを求めた署名を軽々に受け取ることはできない。
ーー10万以上の声が集まっている
面談はいくらでもしたい。
今後のあり方、性被害についてのサポートの取り組みについてはいくらでもお話したい。性被害について声をあげてくれていることはすごく大事なこと。特にフラワーデモと連帯しているSpringさんとは、これまで一緒に取り組んできて、その意思を今度の刑法改正に結び付けようと思っているので、そういう建設的な議論はできます。でも、そういうこと(辞職要求)は私の権限ではないので。
ーー杉田発言についてはどう思うか?
もう少し勉強してください、と。それしかないです。
署名の発起人のフラワーデモ主催団体は、野田氏に署名の受け取りと面会を申し入れている。
10月13日に自民党本部前で行われたスタンディングでは、「野田議員も、『面談をする。性暴力支援や性暴力被害にあった人たちの声は無視できない』とメールではっきり書いてありましたので、面談はやっていただきます」と訴えた。
【UPDATE 2020/10/13 17:10】
呼びかけ人の1人、松尾亜紀子さんは「辞職が本人次第ということは分かっているが、市民が辞職を求めるのは自由。13万という市民の声を預かっているので、この重みを見てほしかった」と語る。
野田氏の主張についても「詭弁だ」と強調した。
「私たちは辞職だけでなく、杉田議員に発言について謝罪と撤回を求めています。『辞職』とあるから署名を受け取れないというのは詭弁に等しく、署名を受け取れない理由には当たりません」
「杉田議員のブログの謝罪は、性暴力被害者への謝罪ではありません。杉田議員の発言で傷ついた人がいるということを認識し、謝罪と撤回をしてほしい」
署名は今後、菅義偉首相と二階俊博幹事長に宛てて郵送するという。