ドラフト会議2020の注目選手は?超目玉から個性派、隠し球まで...知れば100倍楽しめる30選手を一挙紹介

全国の野球ファンの皆様に、声を高らかにして言いたい。『今年のドラフトも逸材だらけだ』

プロ野球の新人選手選択会議、通称ドラフトが10月26日に開催される。

2020年は新型コロナウイルスの影響で夏の甲子園が中止になるなど、アマチュア野球の逸材が一般の野球ファンに知られる機会は少なくなった。

しかし、それは将来有望な選手が「存在しない」ことを意味しない。

全国の野球ファンの皆様に、声を高らかにして言いたい。今年のドラフトも逸材だらけだ。超目玉からいわゆる「隠し球」まで、編集部が選んだ注目30選手を紹介したい。(YouTubeでも解説しています

■慶應大進学から...一転してドラ1候補へ

1位入札が集中するとみられるのは3選手。

その筆頭が早川隆久投手(早稲田大)だ。最速155キロのサウスポーで、縦に大きく変化するスライダーやチェンジアップなど変化球も多彩。木更津総合高時から18歳以下の日本代表に選ばれるなどその注目度は高く、早稲田大でも活躍を期待されたが、2020年まではスケールとは裏腹に思うように勝ち星を伸ばせなかった。

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早川隆久投手(早稲田大)
時事通信社

しかしコロナの影響で8月に開催された六大学の春季リーグでは、明治大戦で155キロを記録するなど圧巻の投球。秋季リーグでもエースとして君臨し、明大戦では17奪三振完投、法政大戦では13奪三振完封を果たすなど圧倒的だ。指名を公表したロッテなど複数球団の1位指名は確実だ。

大学生では佐藤輝明内野手(近畿大)が注目株。186センチ・92キロの筋骨隆々とした身体からフルスイングで逆方向にも長打を量産できる左のスラッガーで、スピードも兼ね備えた大型選手として、柳田悠岐選手(ソフトバンク)に喩えられることもしばしば。大学ではサードを守ることもあるが、プロでは外野手として活躍することもあるかもしれない。オリックスが1位指名するほか、巨人なども競合に参加するとみられる。

高校生は高橋宏斗投手(中京大中京)だろう。最速154キロを誇る右の本格派で、カットボールやスライダーなどとのコンビネーションでアウトを積み重ねる。追い込んでから打者のアウトロー(外角低め)目がけて投げる150キロ前後のストレートは、とても高校生とは思えない威力だ。

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高橋宏斗投手(中京大中京)
時事通信社

選抜高校野球の代わりに開催された甲子園交流試合では、智辯学園(奈良)を相手に延長10回を投げ11奪三振。チームを勝利に導いた。

兄もプレーした慶應大への進学を希望していたが、一転してプロ志望へ。地元・中日が熱視線を注ぐ。

■1位で獲りたい選手たち

1位指名の栄冠を勝ち取りそうな選手は他にも沢山いる。

明石商業の中森俊介投手は、下級生時から甲子園の土を踏んだ本格派。150キロを超える真っ直ぐと変化球で、確実にゲームを作っていく先発タイプだ。

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中森俊介投手(明石商業)
時事通信社

一方で智辯和歌山の小林樹斗投手は、最速152キロの浮き上がるようなストレートが魅力。打者を押し込んでいく藤川球児投手(阪神)のような未来予想図が描ける。

スカウト陣の評価が高いのは山下舜平大投手(福岡大大濠)。「しゅんぺいた」と読む。長身から投げ下ろすストレートは150キロを超え、威力抜群。変化球はカーブのみという異色のスタイルを貫いてきた。

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山下舜平大投手(福岡大大濠)
時事通信社

大学生では伊藤大海投手(苫小牧駒澤大)。転入を経たため他の大学生候補より一つ年上だが、全く気にならないほどの魅力に溢れる右投手だ。ストレートはもちろんのこと、ツーシームやスライダーなどを織り交ぜ投球術にも優れる。自身のTwitterによく投球動画を上げているが、どのボールも精度の高さに思わず見入ってしまう。秋季リーグでは最高殊勲選手にも輝いた。地元・北海道の日本ハムが1位指名を公言している。

木澤尚文投手(慶應義塾大)も本格派の右投手。ストレートと落ちる球の組み合わせで奪三振能力に秀でる。野手では牧秀悟内野手(中央大)は広角に長打を打てる右打者で、大学日本代表の4番を打つ。野手の即戦力を補強したい球団は何としても獲得したいところだ。

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牧秀悟内野手(中央大)
時事通信社

社会人では栗林良吏投手(トヨタ自動車)がずば抜けた存在だ。横の変化球や縦に落ちる球でカウントを稼いだかと思いきや、内角にストレートを投げ込んで三振を奪うような、打者を翻弄できる右投手。名城大時代から注目の右腕が、いよいよプロ野球に挑戦する。

■個性豊かすぎんか?注目株たち

上位指名有力な選手たちをあげていく。

まずは高校生では高田琢登投手(静岡商業)。1年生の頃から注目された本格派左腕で、静岡商の高田晋松監督はお父さんでもある。140キロ台後半のストレートが売りで、高校生左腕では最初に名前が呼ばれるかもしれない。

星稜の内山壮真捕手も忘れてはいけない。スーパー1年生として強豪・星稜で注目され、3年生の今年は先輩・山瀬慎之助捕手(現巨人)の卒業に伴ってショートから捕手にコンバート。ライトからレフトへ広角に長打を打てる打撃センスは出色で、高校通算34本塁打。右の強打者が欲しい球団は見逃せない。

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内山壮真捕手(星稜)
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プロ野球でも希少とされる右のスラッガーでは井上朋也内野手(花咲徳栄)西川僚祐外野手(東海大相模)も指名候補に名を連ねており豊作だ。左打者では度会隆輝内野手(横浜)。元ヤクルト・度会博文氏の息子で「天才中学生」としてテレビにも出演した経歴を持つ。

大学生は大道温貴投手(八戸学院大)を推したい。しなやかなフォームから投げ込むストレートは、来ると分かっていても空振りしてしまうほどのキレを持つ。所属するリーグでの防御率は0.25、1試合18奪三振を記録するなど驚異的な数字を叩き出している。

同じく右投手では入江大生投手(明治大)もいる。作新学院高時代はエース・今井達也投手(現西武)とともに夏の甲子園優勝。入江は4番打者として3試合連続本塁打を記録した。大学から投手に専念するとその才能が開花。本格派として上位指名もありそうだ。

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入江大生投手(明治大)
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立教大のアンダーハンド・中川颯投手も注目。長い手足を存分に生かして下手から投げ込む独特の球筋は、六大学の好打者たちを幻惑している。

大学生野手では、やはり五十幡亮汰外野手(中央大)だ。中学時代には陸上の大会でサニブラウン・ハキーム選手に勝ったこともある足のスペシャリスト。50メートル走は手計測で5秒42という報道もあり、ドラフト史上最速の男かもしれない。この五十幡に引けを取らないスピードの持ち主が、獨協大の並木秀尊外野手。五十幡は左、並木は右と打席こそ違うが、韋駄天コンビの指名に注目だ。

社会人では伊藤将司投手(JR東日本)藤井聖投手(ENEOS)は貴重な左の即戦力。伊藤は都市対抗予選でNTT東日本を相手に1安打完封の快投を演じた。今川優馬外野手(JFE東日本)は独特な打撃フォームから長打を量産する右打者で、大学時代の指名漏れの悔しさを晴らす時が来た。

■初開催、合同練習会で輝いた逸材

コロナ禍もあり、スカウト陣も例年通りの視察ができないなかで開かれたのがプロを目指す高校生を対象にした合同練習会。西日本は甲子園で、東日本は東京ドームで開催された。

1位候補の山下(福岡大大濠)は当然として、目立ったのはシャピロ・マシュー一郎投手(国学院栃木)。アメリカ出身の父を持つ長身右腕で、足を高く上げるフォームから140キロ台中盤を連発。ストレートの伸びが高校野球ファンに注目されていた豆田泰志投手(浦和実業)も三振を奪うなどアピールに成功した。

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シャピロマシュー一郎投手(国学院栃木)
時事通信社

個人的な注目は久保田大斗投手(武田)。140キロ前後のストレートのほか、指を立てて投げるナックルカーブのキレは抜群で、面白いように空振りを奪った。野手では髙寺望夢内野手(上田西)が木製バットで安打を連発。左の巧打者との評判通りの活躍ぶりだった。

最後に、大学・社会人などの隠し球を挙げていく。今西拓弥投手(早稲田大)は身長2メートルの左腕で、右打者の懐に食い込むボールは見るからに打ちにくそうだ。独立リーグでは戸田懐生投手(四国IL徳島)が防御率1点台の活躍。年齢も20歳と若く、指名が待たれる。

メジャーリーグでワールドシリーズ優勝にも貢献した田澤純一投手(BC武蔵)は今年で34歳。通称「田澤ルール」の解消に伴いドラフト対象選手になった。史上最高齢の指名があれば話題性はもちろん、ブルペンの補強になること請け合いだ。

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田澤純一投手(BC武蔵)
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