伊藤詩織さん、TIME誌「世界で最も影響力のある100人」に選ばれる 大坂なおみ選手も

「世界で最も影響力のある100人」に、ジャーナリストの伊藤詩織さんや大坂なおみ選手らが選ばれました。
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ジャーナリストの伊藤詩織さん(2019年12月撮影)
Jun Tsuboike / HuffPost Japan

アメリカの雑誌「TIME」は9月23日、毎年恒例の「世界で最も影響力のある100人」を発表し、ジャーナリストの伊藤詩織さんとテニスの大坂なおみ選手が選ばれた。

TIME誌に掲載された伊藤さんの紹介文は、社会学者で東京大学名誉教授の上野千鶴子さんが執筆。

上野さんは伊藤さんについて、「彼女は性被害を勇敢にも告発することで、日本人女性たちに変化をもたらしました」と評価。「彼女は日本の女性たちにも#MeToo運動に加わることを後押しし、全国の女性たちが花を持って集まり、性被害の経験について語ることで、性暴力に抗議するフラワーデモにも火をつけました」とつづった。

フラワーデモは、2019年3月に相次いだ4件の性暴力事件の無罪判決をきっかけに全国に広がった抗議活動だ。

 

性暴力被害を実名で訴える 

伊藤さんは2017年、元TBS記者の山口敬之さんから性行為を強要されたとして記者会見を開いた。事件は嫌疑不十分で不起訴となっており、検察審査会で「不起訴相当」と判断された。

その後、伊藤さんは山口さんを相手に慰謝料などを求めて民事裁判を起こし、2019年12月の一審・東京地裁で勝訴。東京地裁の判決では、「合意のないまま本件行為に及んだ事実」などが認められるとして、不法行為が認定された。

山口さんは「法に触れる行為は一切していない」と主張し、控訴している

事件をめぐっては、BBCが伊藤さんに密着したドキュメンタリー番組を放送し、海外でも広く取り上げられた。

 伊藤さんは現在もジャーナリストとして活動し、西アフリカのシエラレオネ共和国で行われる「女性器切除」など、性暴力の問題を取材している。

また、Twitterに投稿されたイラストやツイートなどが名誉毀損に当たるとして、漫画家のはすみとしこさんらに損害賠償を求める訴訟を起こした。

 

大坂なおみ選手も選ばれる 2年連続

2020年の「世界で最も影響力のある100人」には、アメリカのドナルド・トランプ大統領や中国の習近平国家主席、ジョー・バイデン民主党大統領候補なども選ばれた。

日本からは、テニスの大坂なおみ選手も選出された。大坂選手は、アメリカで広がっている警官による黒人への暴行に抗議する「Black Lives Matter」デモの発信を積極的に続けている。2020年の全米オープンでは、犠牲になった黒人の名前をプリントしたマスクを着用して試合会場に登場し、優勝を果たした

大坂選手は2019年にもTIME誌の「100人」に選ばれており、2年連続となった。

また、Netflixのオリジナル・ドキュメンタリー、コメディ部門のバイスプレジデントを務める日系人のLisa Nishimura(リサ・ニシムラ)さんも選ばれている

TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」では、過去に安倍晋三前首相、ソフトバンクグループ社長の孫正義さん、作家の村上春樹さん、「人生がときめく片づけの魔法」の著者・近藤麻理恵さんらが選出されている。

2020年の「世界で最も影響力のある100人」全員はこちら

伊藤さん「たくさんの声に助けられてここまでこれた」

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TIME誌の発表後、ダイアログ・ミュージアム「対話の森」で報道陣の取材を受ける伊藤詩織さん
Jun Tsuboike / HuffPost Japan

伊藤さんは今回、性被害に声をあげ、変革をもたらしたことを評されていることを受け、「私の中ではまだまだ変えていくべきところの途中にいると思っています。選ばれたことを見たとき、確実な一歩が踏めたんだなという気持ちになりました」と話した。

このことをきっかけに、自分だけではなく、声を上げてきた人たちのことも知って欲しいとも話した。

「私はあなたの娘、妹、姉、母、あるいは親友だったかもしれない」

「本当にたくさんの声が重なって、たまたま私が発した時に一緒にその声が響いたものだと思っています。私もたくさんの声に助けられてここまでこれたので、私の名前と一緒に、あなたの愛する人を称えてほしいと思います」

【UPDATE 2020/09/23 18:46】

記事の最後に、伊藤さんのコメントを追記しました。