公益財団法人「日本対がん協会」が毎年製作している禁煙ポスター。ショッキングなデザインや文言で知られており、2020年度版も強烈なインパクトを残している。
9月14日に公開されたのがこちら。
「満たされて、侵されて。」
タバコを吸っている人の後ろ姿が描かれているのだが、頭がパカっと割れ、タバコの吸い殻がぎっしり詰まっている。
公式サイトやTwitterで「喫煙は快楽で満たされると同時に、健康や精神、生活も害に侵食される状況を表しています」と紹介している。
ポスターは、あえてインパクトの強いデザインにしているという。
担当者は狙いについて、「喫煙がもたらす影響を知ってもらいたくて、タバコを吸うリスクを端的に、短く表現しています。関心を持ってもらうため、ここ数年インパクトの強いデザインにしています」とハフポスト日本版に説明する。
強すぎるインパクトが故、反響は様々だという。
「提供先や掲出をお願いしているところからは、『子供が見ると怖いので、もう少し明るくして欲しい』という連絡もあれば、『ぜひ欲しい』『今年も待っていた』という声もありました」
日本対がん協会は2018年、「タバコゼロ宣言」を発表。啓発や支援を通じて喫煙者や受動喫煙などをゼロにすることを掲げている。
担当者は、ポスターへの賛否があることも踏まえた上でこう語る。
「どうやったら関心を持ってもらえるかを考えてポスターを作っています。タバコが、がんのリスクを高めるということは科学的にも明らかになっています。『嗜好品』とされていますが、受動喫煙など他の人への影響も与えてしまいます。タバコのリスクを伝え、協会としてはやめていただくことにつなげたいという立場です」
東京都医師会の公式サイトによると、タバコの煙からは、現在70種類以上もの発がん物質が検出されているという。また東大グループの研究結果として、日本人男性の命を縮める最大の原因はタバコで、毎年13万人の命を奪っているという推計を紹介している。
一方で、タバコ業界や喫煙者は、紙のタバコよりもニコチンの含有量や煙が少ないとされる加熱式タバコに移行する動きを見せている。
これに対して、日本対がん協会の担当者は「ガンのリスクを高めるという点では、紙のタバコと変わりません」と説明。ポスターでも、加熱式タバコを念頭にタバコを持つ仕草を描いたという。
2019年度版のポスターでは「吸われているのは、人間です。」という文言で、タバコに顔が吸い込まれている人物を描いたショッキングな内容が話題となった。
過去のポスターデザインを紹介する。