国枝慎吾選手、全米OP車いす部門で優勝。レジェンドも絶賛、これまでの軌跡を追った。

テニスの全米オープン車いす部門の男子シングルスで、優勝に輝いた国枝慎吾選手。フェデラー選手も「日本には国枝がいるじゃないか」と、その実力を称える有名な言葉を残している。
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全米オープンテニスの決勝戦で、イギリスのアルフィー・ヒューエット選手を破り、笑顔で優勝トロフィーを手にする国枝慎吾選手(ニューヨーク、2020年9月13日)
ASSOCIATED PRESS

テニスの全米オープン車いす部門の男子シングルスで、5年ぶり7度目の優勝に輝いた国枝慎吾選手。スイスのフェデラー選手が、かつて記者からの問いに「日本には国枝がいるじゃないか」と返し、実力を絶賛したエピソードは有名だ。国枝選手、どんな人なの?

 

■高校時代から頭角

公式サイトによると、国枝選手は1984年生まれ、東京都出身。9歳の頃に脊髄腫瘍を発病し、車いすで生活するようになった。2年後、母の勧めで車いすテニスと出合った。

高校時代から国内で活躍し、海外遠征も経験するようになる。ジュニアや車いすテニスの担当コーチである丸山弘道氏から指導を受けるようになった。

 

■4大大会を制覇。車いすテニス史上初

世界の大会で次々にトップを奪い、実力を見せつけた国枝選手。

斎田悟司選手とペアで挑んだ2004年のアテネパラリンピックでは、ダブルス金メダルを獲得した。2007年にはアジア初の世界チャンピオン、車いすテニス史上初となる年間グランドスラム(当時の4大大会制覇)を達成。

年間グランドスラムは過去5回獲得している。2008年の北京、2012年のロンドンパラリンピックで、いずれもシングルス金メダルに輝いた。

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車いす部門の男子シングルス決勝でステファン・ウデを下し、3連覇を達成した国枝慎吾選手(2009年6月)
JACQUES DEMARTHON via Getty Images

■フェデラー選手「日本には国枝がいる」

国枝選手の実力を、世界のレジェンドも称えている--。

それを裏付ける、有名なエピソードがある。

2007年、日本の記者が、ロジャー・フェデラー選手(スイス)に「なぜ日本のテニス界からは世界的な選手が出ないのか」と質問した。すると、フェデラー選手は「何を言うんだ君は?日本には国枝がいるじゃないか」と切り返したという。フェデラー選手は、男子テニスで4大大会を20度制覇している。

朝日新聞デジタルによると、幼い頃からフェデラー選手に憧れていた錦織圭選手もこのエピソードを記憶している。錦織選手は、同社の取材に「ロジャーにも国枝さんは知られているんだ。すごいなあと思った」と語っている。

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ロジャー・フェデラー選手(ケープタウン、2020年7月)
ASSOCIATED PRESS

全米オープンを制した国枝選手。試合後のインタビューに「今年パラリンピックがあったら金メダルだったんだなってシャワーを浴びながら思った。それは来年に取って置く」などと述べた。座右の銘「俺は最強だ!」の言葉を貫き、1年後の東京パラリンピックでの躍動にも期待したい。