ヤフーが、外見のコンプレックスを露骨に表現した広告出稿を禁止することを通知し、9月3日から適用を始めた。対象としては「ふくよかな体型で周囲の人から一緒に歩くことを避けられたが、ダイエット商品を利用したらそのようなことがなくなった」などの例が挙げられている。
同社は「一部の身体的特徴をコンプレックスであるとして表現することは、差別意識を温存、助長するものであり、決して許されるべきものではないと考えています」と説明。
身体的特徴を「コンプレックス」として強調し、卑下するような広告には近年疑問の声が高まっており、Twitterではヤフーの判断に賞賛が集まっている。
どんな広告を禁止する?
ヤフーは8月27日に発表したリリースで、同社が禁止している「コンプレックス部分を露骨に表現した」広告の入稿が複数見られたとして、「あらためてお知らせいたします」と通知。
今後は以下のような表現に該当する広告出稿について、掲載基準に抵触すると判断し、禁止すると発表した。適用は9月3日から。
・体毛が濃いため異性にもてなかったが、除毛製品を使用することでもてるようになった
・ふくよかな体型であることによって、周囲の人から一緒に歩くことを避けられた体験からダイエット商品を利用したところ、そのようなことがなくなった
・薄毛であることだけで、他人の目が気になり自信を持てなかったが、育毛製品を利用することによって自信を持てるようになった
ヤフー広報部によると、同社ではもともと「コンプレックス部分を露骨に表現した」広告を2013年から禁止していた。
9月3日からは、このガイドラインに則り、「外見コンプレックスが原因で、人間関係や社会生活に悪影響を及ぼすというようなストーリーが描かれている健康食品や健康雑貨、化粧品」などの広告を掲載禁止にしたという。
「コンプレックスであると表現することは、差別意識を温存、助長する」
禁止する理由として、ヤフーは「一部の身体的特徴をコンプレックスであるとして表現することは、差別意識を温存、助長するものであり、決して許されるべきものではない」と説明している。
「人はそれぞれ多様な特徴を持っており、身体的な特徴もその一つです」とつづり、コンプレックスを煽ることで購買に繋げようとする広告への反対姿勢を示した。
「人はそれぞれ多様な特徴を持っており、身体的な特徴もその一つです。その特徴は多様性であり、正しく理解することが大切です。一部の身体的特徴をコンプレックスであるとして表現することは、差別意識を温存、助長するものであり、決して許されるべきものではないと考えています。そのため、この様な広告表現については、広告掲載基準に抵触すると判断し、今後該当する広告については広告掲載をお断りいたします」
ヤフーのリリースより
外見を卑下する広告、やめませんか? 疑問相次ぐ
身体的特徴を「コンプレックス」として強調し、卑下するような広告には、疑問視する声も多い。
4月には、オンライン署名サイト「Change.org」で、YouTubeで掲載される動画広告に異を唱えるキャンペーンがはじまった。署名には3万人以上が賛同している。
8月には、女性モデルが処理されていない脇毛をあらわにした刃物メーカー大手「貝印」に、大きな注目が集まった。
広告は子どもも含め、多くの人の目に触れる。「太っているから彼氏ができない」など、身体的な特徴をコンプレックスだと煽り、不安を掻き立てるような広告は、見た人に特定の偏ったイメージを植え付けかねない。
そうした広告に「NO」を突きつけたヤフーの判断には、「業界に広がってほしい」などと賞賛の声が相次いでいる。