三浦春馬さんの舞台「キンキーブーツ」の映像化を。署名に3万7000人以上の賛同集まる、呼びかけ人の思い

三浦春馬さんがドラァグクイーン役を務めたミュージカル、「キンキーブーツ」。映像化を求める声が広がっています。
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三浦春馬さん / 「キンキーブーツ」映像化求める署名ページ
時事通信社 / Change.orgより

7月に亡くなった俳優・三浦春馬さんが主演したミュージカル「キンキーブーツ」の映像化を求める署名に、3万7000人以上の賛同が集まっている。三浦さんがドラァグクイーン役を務め、高い評価を受けた作品だ。

署名の発起人は、地方在住のため作品を鑑賞したことがなかったという。三浦さんが名演した「キンキーブーツ」を観てみたかったーー。その思いで、署名を始めた。すると、想像を超える反響が寄せられた。

「版権などの事情で映像化が難しいのは重々承知していますが、たくさんの人がこの作品を思っている、ということを伝えたいです」。署名に込めた思いを聞いた。

 

「キンキーブーツ」とは? 

「キンキーブーツ」は、2005年に公開されたイギリス映画。倒産寸前の靴工場を継いだ青年チャーリーとドラァグクイーンのローラが友情を育み、工場を再建させていくストーリーだ。

2012年にミュージカル化され、ブロードウェイで大ヒットを記録。2016年に三浦春馬さん、小池徹平さんがダブル主演を務めた日本版が初上演された

三浦さんはこの作品で、圧倒的な歌唱力とダンスを披露。力強く美しいドラァグクイーン・ローラを見事に演じきり、読売演劇大賞の杉村春子賞を受賞するなど、舞台俳優として高い評価を受けた。共演した小池さんも、菊田一夫演劇賞の演劇賞を受賞している。

三浦さんはこのローラ役に、並々ならぬ思いをかけていた。過去のインタビューでは、ブロードウェイでミュージカルを観て「客席で立てなくなるくらいの衝撃を受けた」と振り返り、自らローラ役をやりたいと手を挙げた、と語っている。

2019年4月〜5月には東京と大阪で再演され、チケットはすぐに完売した。

 

 「今度こそ、と再再演を望んでいた」 三浦さんの逝去後、映像化望む署名が立ち上がる

傑作と呼び声が高い「キンキーブーツ」を、もう一度観たい。三浦さんが魂を込めて演じたローラを観てみたい。

三浦さんの逝去後、ネット上ではそんな声が相次いだ。

7月22日には、オンライン署名サイト「Change.org」で、同作の映像化を呼びかけるキャンペーンが立ち上がった。署名を始めたのは、広島県に住む20代のあみさんだ。

「私は、原作となっている映画は観たことがあるのですが、舞台『キンキーブーツ』を恥ずかしながら観たことがありません」

あみさんは、ハフポスト日本版の取材にそう語る。

都市部での公演だったこともあり、広島県に住むあみさんは舞台を鑑賞することができなかった。

「三浦春馬さんを始め小池徹平さん、ソニンさんの名演が大きな話題となっていたことは知っていました。今度こそ、と再再演を望んでおりましたが、それが叶わなくなったことを受け、私と同じ気持ちの方がいるのならばその思いを共有しあえないか、と考えてこの活動を始めました」

署名の宛先は、「キンキーブーツ」を主催したアミューズとフジテレビの2社だ。

署名ページには、<舞台「キンキーブーツ」を映像化して頂き、より多くの方が舞台を観ることが出来るようになればとこの度署名を募ることに致しました>と、その決意がつづられている。

<キンキーブーツ再演時、三浦春馬さんのTwitterアカウントに投稿されたツイート> 

 

署名に多くの賛同。「たくさんの人に作品を知ってほしい」

署名サイトが立ち上がると、瞬く間に反響が広がった。

9月1日時点で、賛同者は3万7000人を超えている。あみさんは、「まさかこんなに多くのご賛同を頂けるとは、夢にも思ってみませんでした」と驚きを語る。

「Twitterでも、『映像化を願っていたから、この活動を始めてもらえて嬉しいです』という身に余る言葉をいただくこともあり、本当にやってみてよかった、と強く思います」

「キンキーブーツ」は、ゲイカルチャーから発祥したドラァグクイーンに向けられる偏見も描いている。ピンヒールを履いてパワフルに踊るローラは、性別にとらわれない「美しさ」を体現するようなキャラクターだ。

映画などで見たローラの姿に勇気づけられた、と語るあみさん。ジェンダーへの意識が低いと指摘される日本で、この作品を多くの人に知ってほしいという。

「さまざまな屈辱的な思いを感じながらも、『キンキーブーツ』を履いてパフォーマンスをするローラの姿に力を貰うことができます。靴工場の従業員たちがローラの人間性に惹かれ、ジェンダーは関係なくローラとして認めていく姿を見ると、『これからは皆こうなっていくべきなんだ』と強く思わせてくれました」 

 「もっとこの取り組みを大きくして、たくさんの人に作品を知ってほしいです」と呼びかけた。

 

目標は5万人 「たくさんの人の思いを受け止めていただけたら」

あみさんによると、署名では5万人の賛同者を集めることを目標としている。

9月いっぱいまでに集まった署名を、アミューズとフジテレビに提出する予定だ。

「映像化はもちろん皆さんが強く思っていることですが、私は3万7000人以上の方がキンキーブーツが好きで、また観たいと願っているということが伝えられるだけで、この活動を始めた意味があるのではないかと思っています」

「版権など、さまざまな事情で映像化が難しいのは重々承知していますが、たくさんの人の『キンキーブーツ』に対する思いを、宛先として挙げている2つの企業の方々に受け止めていただけたらと思います」

 

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三浦春馬さん
Renard Garr via Getty Images