アメリカ・ウィスコンシン州ケノーシャで、警察官が背後から黒人男性を複数回発砲する事件が発生し、大規模な「Black Lives Matter」デモが起きている。8月25日には、17歳の少年が抗議デモの参加者を銃撃し、2人が死亡、1人が重傷を負った。
いったいケノーシャで何が起きているのか。
デモのきっかけとなったジェイコブ・ブレイクさん銃撃
抗議デモのきっかけとなる事件が起きたのは8月23日。
29歳のジェイコブ・ブレイクさんが車に乗り込もうとしたところ、警察官に背後から複数回撃たれ、重傷を負った。ブレイクさんは一命をとりとめたが、父親によると、腰から下に麻痺が残ったという。
ブレイクさんが発砲される瞬間は、目撃者によって撮影されていた。動画には、車のドアを開けようとしているブレイクさんに向けて、警察官が少なくとも7回発砲する瞬間が映っている。
《注意:動画には銃撃の瞬間が含まれています。》
発砲の前後に何が起きたのか、現時点で詳細は明らかになっていない。
ケノーシャの警察の発表によると、午後5時11分、「家庭間のトラブル」で通報があったという。
警察は、女性から「本来はその敷地内にいるべきではないボーイフレンドがいる」との通報を受けたと説明している。テーザー銃を使ってブレイクさんを逮捕しようとしたが、ブレイクさんを止めることができず、発砲したという。
事件を目撃し、動画を撮影していたレイシーン・ホワイトさんは、CNNの取材に対し、発砲前に警察官がブレイクさんと格闘していたと話している。ホワイトさんは、警察官の一人がブレイクさんにヘッドロックをかけたり、腕を引っ張ったりしていた、とも述べた。
シカゴ・サンタイムズは、ブレイクさんが喧嘩を止めようとしていた、とする目撃者の証言を伝えている。
ブレイクさんが撃たれた時、車には彼の3人の子どもが乗っていたという。
17歳の少年が抗議デモ参加者を銃撃
ブレイクさんが銃撃される瞬間を撮影した動画は、SNSで瞬く間に拡散。
ウィスコンシン州で、警察官による黒人射殺事件や暴行事件に抗議する「Black Lives Matter」デモが激化した。
そして、8月25日、「第二の事件」とも呼べる出来事が起きた。
ロイター通信によると、ケノーシャで25日夜から翌未明にかけて銃撃が発生し、2人が死亡、1人が負傷した。
その後、イリノイ州に住む17歳の少年カイル・リッテンハウス容疑者が、第1級殺人の容疑で逮捕された。
ロイターなど複数のメディアは、当時、地元商店を警備するために武装した「自警団」とデモ隊の間で衝突が起きたと伝えている。
リッテンハウス容疑者は、Facebookプロフィールなどで銃や警察への敬愛を表明していたという。プロフィールには警察への支持を表明する「Blue Lives Matter」というスローガンがつづられていたという。