国民の大抗議デモ、対立候補は国外避難。ベラルーシ大統領選はなぜ混迷しているのか【3分でわかる】

大統領“再選”で抗議デモに発展。多数の拘束者が出ています。
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ベラルーシで大統領選の結果をめぐり混乱が続いています。

8月9日の大統領選で現職アレクサンドル・ルカシェンコ氏が6選を果たしたものの、不正な選挙結果だとして市民の抗議デモが勃発。

拘束者が相次ぎ、対立候補も国外避難する事態となっています。

混乱が続くベラルーシでは、何が起きているのでしょうか。 

大統領選の結果は? 

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投票の様子
Vasily Fedosenko / reuters

まず、選挙の結果のおさらいから。

▽いつ:8月9日投開票。

▽候補は:6選を目指す現職のアレクサンドル・ルカシェンコ氏と、反体制派で37歳のスベトラーナ・チハノフスカヤ氏。

▽結果は:ルカシェンコ氏が得票率80.23%で勝利。チハノフスカヤ氏は9.9%(中央選挙管理委員会の発表)。

この結果に対して、中立な選挙監視団の立会いがなかったことなどから、不正選挙の懸念が出ています。

反応は次の通り。

▽チハノフスカヤ氏:選挙結果は受け入れられないとして、票の再集計を要求。

▽独立系政治団体:逆に80%以上がチハノフスカヤ氏に投票したとする調査結果を発表。

▽EUやアメリカ:不正な選挙として懸念を表明。

ベラルーシの選挙は、これまでも再三不正が指摘されてきました。今回、不正を訴える市民による大規模デモに発展しています。

(参考記事)

どんな大統領?

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アレクサンドル・ルカシェンコ氏
Valery Sharifulin via Getty Images

ルカシェンコ氏は1994年に政権を握り、5期26年にわたって国を率いてきました。在任期間は欧州の国家元首としては最長です。

政敵を排除する強権的な政治手法で選挙や国内政治を進め、欧米からは“ヨーロッパ最後の独裁者”と非難されてきました。

今回の選挙でも、有力候補を排除してきました。

新型コロナウイルスについては「ウォッカを飲めば除去できる」といった発言を繰り返し、外出制限など十分な対策を取らなかったことに反発が広がっています。自身の感染も明らかになりました。

(参考記事)

対立候補は?

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スベトラーナ・チハノフスカヤ氏
Natalia Fedosenko via Getty Images

チハノフスカヤ氏は、政権批判をしてきたブロガーの夫が立候補を認められず逮捕されてしまい、代わりに立候補しました。政治不信の受け皿として支持を集めています。

選挙結果が不正として票の再集計を求め、「私こそが選挙の勝者だと考えている」と発言しています。

(参考記事)

選挙後に何が起きた?

選挙期間中には、選挙監視団体やチハノフスカヤ氏陣営の関係者が警察に一時拘束されました。

チハノフスカヤ氏も10日、選挙結果に不服を申し立てるため、中央選管の建物を訪れたところ、7時間にわたって拘束されました。その後、隣国リトアニアに脱出しました。

ビデオメッセージを投稿し、ベラルーシ当局に対して暴力行為をやめて「対話するべきだ」と訴えています。

(参考記事)

大規模デモ、拘束者が多数

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ミンスクで開かれた大規模デモ
Valery Sharifulin via Getty Images

選挙不正を訴える市民と、ベラルーシ当局の衝突が起きています。この1週間で数千人が拘束され、死者も出ています。

首都ミンスクでは8月16日、大統領選のやり直しを求め、数万人もの大規模デモが行われました。

当局による拘束者への暴力行為の疑いも浮上しています。女性たちが手をつなぎ、警察から暴力を受けた人たちへの連帯を示しています。

海外の反応

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ポーランド・ワルシャワの欧州委員会の建物に数百人が集まり、ベラルーシの抗議する人たちへの団結を示している。
NurPhoto via Getty Images

EU:「(選挙)結果は偽造されたもの」と断じ、投票結果の偽造や市民への暴力に関わった政権関係者らに制裁を科すことで合意。

アメリカ:大統領選は「自由で公平ではなかった」と懸念を表明。

ロシア:「必要な支援」を行う用意があると表明。