中国の習近平・国家主席が「食べ物を粗末にしてはいけない」などととする“重要指示”を出したことがきっかけで、思わぬ影響が出ている。
「大食い」をテーマにした生放送などが行われている動画サイトは、現地メディアに対し「食材を浪費する行為の根絶を目指す」などと公開反省を迫られている。
■米中対立が背景?
習近平国家主席の指示が発表されたのは8月11日。食材を浪費する現象などに対し「衝撃的で、心を痛めている」としている。
中国国内の食糧の生産量は充分だとしているが、6月には長江流域を中心とした広い範囲で豪雨災害が発生し、その影響が懸念されている。
さらに、香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は、米中対立が食糧の供給にも影響する可能性にも触れている。
中国では相手をもてなす際、食べきれないほどの量を出す習慣があるが、指示では「節約が良いことだとする雰囲気を作らねばならない」としている。
■消えた「大胃王」
トップの指示を受け批判の的になったのが、動画サイトで人気の大食いインフルエンサーたちだ。
国営放送・CCTVは、大食いをテーマにした生放送をしたり、動画をアップしたりする人たちを追及する報道を展開。「完食するために一部を吐いて無駄にしている」などとしたほか、「非常によくない傾向だ」と断じる専門家の談話を紹介した。
こうした大食いコンテンツは中国語で「大胃王」などと呼ばれ、動画サイト「ビリビリ」では数百万再生を超えるものもある。
ゲーム実況などの生放送が中心のサイト「闘魚」は、大食いコンテンツがアップされているとして、公開反省を迫られる形に。中国メディアに対し「中央のスローガンに積極的に応え、食事系コンテンツへの管理を強化し、食材を浪費する行為の根絶を目指す」とした談話を発表した。
「闘魚」で「大食い」を検索してみたところ、“お探しのワードでは見つかりませんでした”と表示された。