新型コロナウイルスの感染対策としてイソジンなどの「ポビドンヨード」を含むうがい薬の使用を奨励した吉村洋文・大阪府知事に対して、大阪府歯科保険医協会が8月6日、「不用意な発言」で「治療に支障きたしている」と抗議する声明文を発表した。
歯科医療機関からは「『うがい液』が入手できなくなって困っている」 と相談が相次いでいて、新たに入荷ができず治療で必要な患者に行きわたりにくくなっているという。
府の歯科保険医協会は声明で、4日に開かれた記者会見での吉村知事の発言を「不用意な発言」と批判した上で、「医療現場と府民に混乱をもたらし、治療にも支障をきたしている。実際、瞬く間に『うがい薬』 が市場から消えてしまい、最も多く使用している歯科医療機関でさえ手に入らなくなっている」と指摘した。
続けて、歯科医療機関から「『うがい液』が入手できなくなって困っている」と相談が相次いでいると明かし、「入荷できないため、治療で必要な患者に行きわたりにくくなっている。『新型コロナウイルスに対する効果確認』との会見が、医療機関と府民を混乱に陥れたことを真摯に受け止めるべきである」と現在の歯科医療における現状を報告し、4日の会見を改めて批判した。
最後には、「知事の発言は、全国的にも注目されており、その影響は大阪府にとどまらない。住民の命と健康を守るべき立場を踏まえて、慎重に発言するよう強く求める」と結んだ。
うがい薬をめぐっては、大阪府と大阪府立病院機構「大阪はびきの医療センター」が4日に会見し、研究成果を発表。
新型コロナウイルスの陽性者のうち軽症患者41人を対象とした研究で、イソジンなど「ポビドンヨード」の成分を含んだうがい薬で1日4回のうがいをしてもらったところ、「唾液中のウイルスの陽性頻度が低下した」と報告していた。
吉村知事は「コロナが治るとは言えないが、これまで呼びかけていた唾の飛び交う空間で感染が広がるのを少しでも抑えることが期待できる」と述べていた。
一方、相次いでいるうがい薬の転売については、「マスクの時みたいに転売したら、これ犯罪になります。医薬品なので薬事法(正しくは医薬品医療機器等法)の適用がありますから、自由に販売できるものではありませんから、勝手に販売すればそれは犯罪行為です。是非それは控えていただきたい」とし、転売行為をやめるよう訴えていた。