NZアーダーン首相「核兵器ゼロが広島と長崎の犠牲者への償いになる唯一のこと」【広島原爆の日・メッセージ全文】

原爆投下から75年を迎えた広島原爆の日。アーダーン首相が動画メッセージを投稿しました。
|
Open Image Modal
アーダーン首相
Hagen Hopkins via Getty Images

原爆投下から75年を迎えた広島原爆の日。

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相が、Twitterに投稿したビデオメッセージで、核兵器根絶を訴えた。

広島や長崎で起きた惨劇に触れながら、「たった一つの爆弾が破滅を意味します」と強調。核戦争への備えや対応は不可能だと訴え、「食い止めるしかない」と核兵器禁止条約への批准を求めた。  

その上で、「核兵器ゼロが広島と長崎の犠牲者への償いになる唯一のこと」と訴えかけた。

メッセージ全文は次の通り。

――

世界が新型コロナウイルスに対応するチャレンジに直面し続けるなか、広島と長崎への原爆投下から75年を迎え、世界で起きた出来事の破滅的な影響を思い起こさせます。

1945年8月、世界は核兵器が何をもたらすのかを初めて目にしました。

最悪の結果を生み、爆撃の衝撃で亡くなっただけではなく、その後も長く続く放射能の後遺症で、人々に想像もできない苦しみや被害をもたらしました。

それ以降も、太平洋などでの核実験による悲惨な影響を目にしてきました。

現存する1万3000個以上の核弾頭の一つ一つが、広島や長崎で目の当たりにしたよりも強大な破壊力を有しています。

たった一つの爆弾が、破滅を意味します。そして、核戦争がそこで終わるとは誰も信じてはいません。

数百万人の命を一瞬にして奪い、環境に取り返しがつかないダメージを与えます。専門家は、いかなる国家や国家の集団、国際的な組織も、核戦争の影響に備えたり、対処したりすることはできないと警告しています。

備えることができないのなら、食い止めるしかないのです。

国連のグテーレス事務総長も言うように、国際的なコミュニティは、核の非武装化に向けた取り組みを再度活性化させなければなりません。人間性を守ると呼んでいます。

他人や将来の世代に残すことのできる課題ではありません。

ですからニュージーランドは、大多数の国連加盟国とともに、核兵器禁止条約を採決したのです。

私は、核兵器根絶に向けて必要不可欠なステップとして、そして全ての核保有国の核兵器ゼロの達成を含めた地球規模の交渉を求めて、他国もこの動きに加わり、このランドマークな条約を広めることを要請します。

このことが唯一、広島と長崎への原爆投下や、太平洋などでの核実験によって苦しめられた人たちに対する報い、レガシーとなるのです。