7月1日に運営を再開した東京ディズニーランドと東京ディズニーシーでは31日、年間パスポート保有者に向けた入園抽選の結果が発表された。
抽選に申し込んだ人からは喜びの声が多く聞かれる一方、様々な意見や反応もあり、手放しに喜べないという人も多いのが実情だ。それはなぜか。
運営するオリエンタルランドは、8月7日から「年間パスポート」を保有する人限定で抽選でパークに入園できる枠を用意。専用フォームで抽選申し込みを受け付けていた。
対象となったのは有効期限が2020年2月29日以降の年間パスポートを持つ人で、今回は2020年10月までと期間を限定した対応で、抽選に応募できる日程の枠は5つ(5日分)だった。
ハフポスト日本版が取材した年間パスポート保有しているかずきさんは、5日分申し込んだが、1日分しか当選しなかったという。
それでも「特に物足りないとかは思わない。自分は逆に『レア』だと思って楽しんでいます。イベントがないからこそ時間があって色々周れるし、風景とか写真を撮るのも楽しみの1つなので、1回1回が楽しみです」という。
抽選結果を確認した人からの反応は様々だ。
ネット上には「まるで合格発表を見るような気持ちだった。当たって良かった」「申し込んだ抽選、全て当たった」と喜びの声をあげた人や「1日だけ当選。うーん...年パスの意味ないじゃん」と落胆する人もいた。
手放しに喜べない年パス保有者がいる理由
7月31日の時点では、入園に際して年間パスポートを保有する人に対する優遇措置は特になく、あらかじめ日付指定のパスポートをオンラインで購入した人だけが入園できる仕組みだった。
それだけに、年間パスポート保有者が抽選でも入園可能になったことの意義は大きい。彼らは間違いなくテーマパークのファンであり、「リピーター」だ。
だが、年間パスポートを保有する人の中には、この状況を手放しで喜んでいない人もいる。
理由は、「スペシャルイベント」の中止だ。
東京ディズニーランド・東京ディズニーシーでは、2021年3月25日までにすでに予定されていたスペシャルイベントを中止すると発表している。
これにより、毎年9月から始まる「ディズニー・ハロウィーン」や11月から始まるクリスマスシーズンのプログラム、大晦日と元日の特別営業「ニューイヤーズ・イヴ」など恒例の人気イベントも中止されることになった。
また、当初臨時休園期間中に予定されていた、2020年の目玉とも言える東京ディズニーランドの新エリアのオープンも現在のところは延期となっており、情報は発表されていない。
オリエンタルランドの担当者に話を聞いたところ、「お答えできることは現時点でございません」との回答だった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響が依然として続いており、運営再開後も感染対策を最優先する方針は運営する側の責務として当然と言える。
無論、「パークに入れるだけでありがたい」と豪語するファンも多くいるが、「せっかく買ったのに、物足りない」「イベントを楽しめないなら年間パスポートの意味が薄れる」「普通に入るのも抽選になるんじゃ...」など、状況に理解を示しながらも、不満や不安をのぞかせる声も。
結果として、2020年度に年間パスポートを購入した人の当初の期待からは外れていることも事実だ。
運営するオリエンタルランドは、年間パスポートの扱いについて「有効期限の延長、払い戻しにつきましては、2020年10月を目途に東京ディズニーリゾート・オフィシャルウェブサイトにてお知らせいたします」と案内している。
同社は30日、2020年4~6月期の連結最終損益が248億円の赤字になったと発表。
東日本大震災があった2011年1~3月期の103億円を上回る過去最大の赤字となった。
感染予防対策とディズニー人気を下支えしてきたファンの満足度を、どう両立させるのか。オリエンタルランドの腕の見せ所だ。