バンライフはセックスレスになる? 夫婦によって、その形はそれぞれでいい

一緒に生活していれば、女性というより「人間」として見られることが多くなる。結局のところ、レスの原因は「夫婦関係の問題」でしかないのだ。
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筆者提供
菅原恵利さん

「バンライフしてると、セックスレスになるよね」。

そんな話題を、チラホラと聞く。

 

私たち夫婦は、バンライフ(車を拠点にする暮らし方)を始めてから1年4ヶ月。

こういうライフスタイルを送っていると、旅先で同じような暮らしをしているご夫婦に出会うことが多い。

最近では新型コロナの緊急事態宣言が解除されてから、20~30代の若いバンライファー夫婦たちが急激に増えている。“三密を避けた旅“として、公共機関を利用するよりも感染リスクが低い、というのもバンが選ばれる理由の一つだろう。

 

若いバンライファーの増加に伴って、「夫婦でバンライフ」という生き方自体をコンテンツにして、個人発信する夫婦もSNS上でよく見かけるようになった。

 

友人のバンライファー夫婦は、「1年間車を拠点にして旅していたときは、半年しないこともザラだった。定住する家がないと、やっぱり厳しいよね」と言っていた。

 

長期間、車を拠点にした旅生活をしながらセックスライフを両立させることは、よほどラブラブなカップル、新婚でない限りはトライしようと思えないのが普通なんだと感じた。

 

「夜の営みも車でするんですか?」という失礼な質問

そして「夫婦でバンライフしてます!」と発信すると、SNSなどに付く「コメントあるある」がある。

 

「夜の営みも車でするんですか?」

 

顔も知らない相手からの、そんな唐突な質問には正直、誰も答えたがる訳がない。

 

初対面の人に、最初の会話で、切り出す話題じゃないでしょう…。ネット上だからこそ簡単に投げかけられるのだろうけど、リアルに面と向かってでも同じように聞くのだろうか?いや、聞けないはずだ。

 

…と、心の中で長めのツッコミを入れながら、そっとミュートする。

 

これは多くのバンライファー夫婦が、首がちぎれそうなほどに頷き、共感してくれると思う。

 

たしかに、バンライフとセックスの関係は、公にはあまり語られてこなかったテーマかもしれない。

 

バンライファー同士ですごく仲良くなって、打ち解けて、やっと共有しあうようなデリケートな話題だ。

 

ちょうどそんな会話内容が頭に残っていたところ、次のコラムのテーマの相談のためハフポストの編集者・榊原さんから「最近の関心ごとはなんですか?」とメッセージをもらい、「バンライフとセックスレスについてですかね~」と軽く言ってみたら、「なにそれ、おもしろそう」と食いつかれてしまった(笑)。

 

私自身も、「車でするんですか?」と聞かれたら良い気分はしない。むしろ、そんな質問しないでー!と思っている。

だけど今回は、バンライフとセックスの関係について綴ってみようと思う。

 

「気にすんなよ」と笑いに変えてくれる夫

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筆者提供
菅原拓也さんと菅原恵利さん

「またこんなコメント来たよ…」と、上記のようなコメントが付いたのを夫に見せた。

 

夫は、「あ~、『車でヤるんですか?』…ね。はい、そーですよ!」と、呆気らかんと言って私を笑わせた。

 

もちろん、見ず知らずの人からの「ちょっと失礼だな」と思ったコメントには返信はしないものの、こんな風に私たち夫婦はネタとして無理やり笑いにしている。

というか、私はどちらかというと、細かなことを気にしやすいタイプなので、夫が「気にすんなよ」と笑いに変えてくれるのだと思う。

 

「はい、そーですよ!」という回答の通り、私たち夫婦は、セックスレスになったことは、まだない。

 

とは言え、車の中で、という状況であれば、ほとんど貸切状態の有料車中泊スポットか大自然の中の穴場車中泊スポットなど、一応場所は選ぶことになる。

 

例えば、周りに車が多い道の駅などでは、そういう意識になることはまず無い。

これは私たち夫婦だけではないだろう。

だから、前述の「バンライフしてると、セックスレスになるよね」という話につながるわけだ。

ただし私たちは、今までずっと車中泊だけしていた訳でもなく、仕事の都合に合わせてホテル泊したり、夫の実家にお土産を持って数日間帰ったりするときもある。

 

女性として、よりも、人間としてみられる

どれくらいの期間が空いたら“セックスレス”と定義されるのか、それは人それぞれだと思うけど、ウチは最長で3週間ほどしなかった時期が一度だけある。

 

どんな時期だったかと言うと、実は、ずっと車中泊を連続していた日々ではない。一応、屋根のある家で暮らしていた、コロナで外出自粛中の時だった。

 

前回のブログに書いた通り、ウチは「コロナ離婚」になるかもしれなかったほど、夫から見放されていた時期だ。

 

夫は「こんな時期だからこそ仕事を頑張らなければ」とピリピリしていて、容易に話しかけられるような状態じゃなかった。夜寝る時も、私は部屋で、夫は一人で庭で車中泊しに行ってしまい、別々に過ごす日も多かった。

 

旅ができなくなった私はクリエイティブな意欲を失い、夫が相手してくれなくて寂しい思いをしていた。

 

セックスレスになりかけたのは、バンライフが原因ではなく、結局は普通に「夫婦関係の問題」だったのだ。

 

一緒に生活していれば、女性として、というより、人間として、見られることが多くなる。

 

バンライフをはじめると余計に、毎日がアウトドアのような感じなので、イメージで言うと、いつでもBBQに行けるような格好をしている。

 

ちゃんとメイクしたり、ヒラヒラの可愛い服を着る機会が減ってしまう。なぜなら車にシンクがない場合だとメイクを落とすのがとても面倒くさいし、畳んでもシワにならないような服ばかり持っているので基本的にオシャレ着からは遠ざかっていく。      

             

夫からの「スッピンでも可愛いよ」という言葉に甘えすぎてもよくないな…と最近の私は思っている。       

 

これも、他のバンライファー夫婦にも当てはまるのかもしれない。

 

「セックスレスだ」でも、仲が良くバンライフを楽しんでいる夫婦もいる

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撮影:奥 はる奈

結局のところ、夫婦によってセックスの重要度がどれくらいによって異なってくると思う。

 

もちろん、「セックスレスだ」とは言っていても、とても仲が良くバンライフを楽しんでいるご夫婦も何組か知っている。

 

「ずーっと一緒に過ごしてる訳だし、お互いに好きという気持ちはあるけど、どういう訳かセックスは…たしか数ヶ月してないね~」と、普通に夫婦で会話しているのを聞いた。             

 

私たち夫婦はと言うと、バンライフしていようが、していまいが、セックスは重要視したいしと夫婦で話し合っている。

 

だからこれからも、過ごす環境を工夫しながら移動したり、女性としての在り方もちゃんと考えたりしながら、夫婦で仲良くバンライフを続けていきたい。

 

(編集:榊原すずみ

 

なんとなく受け入れてきた日常の中のできごと。本当はモヤモヤ、イライラしている…ということはありませんか?「お盆にパートナーの実家に帰る?帰らない?」「満員電車に乗ってまで出社する必要って?」「東京に住み続ける意味あるのかな?」今日の小さな気づきから、新しい明日が生まれるはず。日頃思っていたことを「#Rethinkしよう」で声に出してみませんか。