″歴史的な瞬間”ーー。
フランス政府は7月13日、新型コロナウイルスの患者対応などに尽力する医療従事者の賃上げ策として、総額80億ユーロ(約9800億円)を支出することで労働組合側と合意した。複数の海外メディアが報じた。
BBCによると、政府と組合側は7週間に渡って交渉を続けていたという。
フランスでの新型コロナウイルスの感染者は20万人、死者は3万人を超えている。ウイルスの感染拡大に直面する中、フランスで医療従事者たちは市民から「英雄」として高い評価を受け、毎日午後8時に窓やバルコニーから称賛の声を受けるなどの運動もあった。一方で、医療従事者は給与の引き上げや病院への財源支援を掲げて抗議デモを続けていた。
賃上げ対策の予算の大部分は、看護師や介護福祉士、医療機関の職員らに充てられる。ほとんどの労働組合が署名した合意によって、給与は平均で月183ユーロ(約2万2000円)増額されることになる。
ジャン・カステックス首相は署名式で、「私たちの医療制度にとって歴史的な瞬間だ」「これは何よりも、新型コロナウイルスと最前線で闘う人たちを称えるためのもの」などと述べた。
一方で、EURO NEWSによると、今回の合意内容を巡って一部の医療機関から「一歩前進だが、署名には(改善の)要素が少なすぎる」などと批判も上がり、労働時間に焦点を充てた2度目の交渉を呼びかける動きも出ているという。