熊本県南部などを襲った記録的大雨で、建物の浸水被害が広がっている。トイレの逆流をどう防ぐ?感染症にならないためには?豪雨の被災地で注意すべき5つのポイントをまとめた。
1トイレの逆流は、手作りの「水のう」で防ぐ
大雨で急激に水位が増加することで下水が逆流し、トイレや風呂場、洗濯機の排水口などから水が噴き出ることがある。排水口がある室内のこれらの場所に、 ビニール袋に水を入れた「水のう」を置くと、逆流を抑える効果がある。
国交省は災害時のトイレ対策を動画で紹介している。
2ポリ袋と新聞紙で即席トイレ
断水で水が出なかったり、逆流の恐れがあったりする時も、家の便器を活用して簡易トイレを作れる。
便器にポリ袋(45リットル)をかぶせ、その上からもう1枚ポリ袋をかぶせて、細かくちぎった新聞紙を中に敷き詰める。排泄後はトイレットペーパーも入れて、上の1枚だけを交換すれば良い。空気を抜いて口を強く縛り、蓋付きのゴミバケツや汚物処理専用の保管袋などに入れて保管。自治体のゴミ収集方法にしたがって処理する。
3清掃は「乾燥」と「換気」が必須
洪水後、数日して自宅に戻るときは、屋内にカビが発生している可能性がある。素早くドアと窓を開放し、30 分以上換気した後に家の中に入るようにする。
避難先から戻ったら、まずガス漏れがないかを確認。停電していない場合は、電気系統の安全が確認できるまでブレーカーを切っておく。
ここで気を付けたいのは、プロパンガスボンベ、車のバッテリーなどの危険物だ。もし発見したら、近づかずすぐに消防や市町村役場等に相談する。
▽室内を乾燥させる
ドアと窓を開放して、室内を乾かす。扇風機を回すのも効果的。
厚手のゴム手袋、ゴム長靴(あればゴーグルで目を保護)、マスクを着用して清掃する。床、壁、金属部分、キッチンなどは水と石鹸(洗濯用石鹸や食器用洗剤)を使い、泥や破片を取り除く。洗えない家具(カーペットやソファー)などは撤去する。浸水した衣類は、熱水に10分以上漬けた後に洗濯し、乾燥させる。
清掃を終えたらしっかり手を洗ってシャワーを浴びる。
▽消毒する
消毒は、必ず泥や汚れを取り除き、乾かした後に行う。清掃が不十分だと、効果を発揮できない。消毒液は布に含ませるか、薬液に漬ける方法で使用する。
噴霧は吸い込みの恐れがあるためしない。作り置きした消毒薬は、効果を十分に発揮できないため、使用する時に希釈する。
消毒液を使う時は、ゴム長靴とゴム手袋を着用する。消毒薬が肌についたらすぐに水で十分に洗い流す。
4 ケガが命を脅かすことも
衛生環境が悪い場所でのケガにも注意が必要だ。
ケガをしたら、傷口を流水で洗浄してから消毒する。 特に深い傷や汚れた傷は「破傷風」になる場合があるため、 医師に相談する。 破傷風は傷口に破傷風菌が入り込んで起こる感染症で、医療機関で適切な治療を受けずに放置すると、死亡する危険もある。
土ほこりが目に入って結膜炎になったり、口から入ってのどや肺に炎症を起こす恐れもある。清掃時などにはゴーグルやマスクを着用し、目や口を保護することが重要だ。
5 できるときに備えを
さらなる大雨被害に備えて、非常用品を備えておくことも重要だ。
懐中電灯、乾電池式の携帯用ラジオ、救急薬品、衣類、非常用食品、携帯ボンベ式コンロ、貴重品など必要なものを揃えておく。断水に備えて飲料水を確保するほか、浴槽に水を張るなどして生活用水を確保しておくとよい。
※参照:厚労省のウェブサイト、一般社団法人「日本環境感染学会」のウェブサイト、国交省「家庭で役立つ防災」、東京都防災ホームページ、埼玉県の防災マニュアルブック、気象庁ウェブサイト