香港での中国政府に対する転覆・分裂行為などを禁止する「国家安全法」は、6月28日から開かれている全人代常務委員会で審議が進んでいる。
法律に違反した場合の刑罰はこれまで最高10年程度の禁固刑とみられていたが、ここにきて無期懲役を科す可能性が出てきた。
■審議に参加の代表が明言
香港版の「国家安全法」は、香港での中国政府に対する転覆行為や分裂行為などを禁止するもので、治安維持を担う機関を香港に新しく設置することなどが盛り込まれている。
法律を導入する方針は5月に開かれた全人代で可決され、その後審議が続いていた。全人代の常務委員会が6月28日から開かれていて、早ければ最終日の30日までに法律が可決・成立する可能性もある。
法案は概要までは公開されていたが、条文そのものは明らかになっていない。香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」などによると、これまで刑罰は最高10年程度の禁固刑になるとみられていた。
しかし、同紙によると、複数の関係者が、一転して無期懲役刑を科す可能性があると話しているという。
中国メディアも同様の動きを伝えている。共産党機関紙「人民日報」姉妹紙の「環球時報」によると、香港の代表の一人として審議に加わっている葉国謙氏は「国家を転覆させるとか、分裂させようとする罪に対しては、アメリカだって終身刑になる可能性がある。香港がそれを考慮しない理由はない」と話しているという。
民主派団体「デモシスト」のメンバー・周庭(アグネス・チョウ)さんはこうした動きを受け、6月29日にTwitterで「日本の皆さん、自由を持っている皆さんがどれくらい幸せなのかをわかってほしい。本当にわかってほしい...」と訴えた。