ハフポスト日本版では、異性カップル間の夫の「呼称」に関するアンケートを行っています。
【2020/7/27】アンケートを締め切りました。ご協力をいただき、誠にありがとうございました。集計結果は追って公開いたします。
アンケートを企画した筆者は、会話の場面で、相手のパートナーについて言及する際の「呼称」に悩んだ経験があり、皆さんの意見や経験を伺いたいと考えました。
誰もが使いやすく、その呼称で表現されても嫌な気持ちがしない言葉がないものかーー。記者が、ある表現に辿り着くまで右往左往した5年ほどの記録です。
「主人」「奥さん」に抵抗がある。かと言って「パートナー」が使いにくい場面も…
学生時代までは、親族などの近しい大人以外と、その方のパートナーについて話をする機会はそうなかった。親族なら「○○おばさん/おじさん」と呼ぶので、とまどうことはない。
ところが、会社員になると日常的に、上司や先輩のパートナーや子どもについて会話になる。まして取材の場では、初対面の年上の方に、家族関係について伺うことも多い。記事上では「妻」「夫」と表記するのだが、会話の中ではどう表現していいのか戸惑ってしまった。
というのも、「ご主人」「奥さん」と私が使うのは、抵抗があった。言葉の意味を考えだすと、対等な関係を表す言葉とは捉えづらいというのが正直な思いだ。誤解なきように言うと、話している相手が、ご自身のパートナーを「奥さん」「主人」と言うのを否定するつもりはない。その方とパートナーの間で「しっくり」きている言葉なのならいいのだと思う。
しかし私には、もう一つ抵抗がある理由があった。話している相手にパートナーがいる場合でも、異性とは限らない。性別にひもづいて使われている「奥さん」や「主人」という言葉を、私はできるだけ使いたくなかった。「妻」や「夫」でさえ、相手のパートナーを異性だと思い込んで使えば、相手を深く傷つける可能性だってあるのだ。
かと言って、「配偶者」「パートナー」と言うのも堅苦しかったり、カジュアルすぎたりする場面もある。例えば、上司との雑談で「パートナーさんの風邪はよくなりました?」と言うのは、どうも抵抗がある。ああ、どうしたものか…。
「私については使わないで下さい」。同僚に宣言するも…
そして、私自身も自分の夫婦関係について「奥さん」「ご主人」などの言葉を使われるのは嫌だ。私が人との会話で自分のパートナーについて話す時は「夫」を使うが、人から「ご主人は元気?」などと言われると「うっ…」となる。
会社の先輩との雑談中、「私は従属的な立場ではありません。対等なパートナーです。上下も、手前も奥もありません。私の夫婦関係について『奥さん』『ご主人』という言葉を使うのをやめて下さい」と宣言したこともある。先輩に悪気が無かったのは分かっているので、説明しながら申し訳ない気持ちにさえなってしまった。
誰もが使いやすく、その呼称で表現されても嫌な気持ちがしない言葉がないものか。
「その悩み、知っているよ」。女性は、滑らかに答えた
2015年、女性政治家が増えるためにはどうしたらいいのか、地方議会の議員に取材をしていた時期があった。選挙に出るというのは、候補者の性別に限らず、家族にとっても大きな出来事だろう。さらに女性の場合、「女性は家」という考えを持つ親族から出馬を反対されるケースも耳にする。取材では、どうしても家族の話になった。
ある女性の市議会議員にインタビューをしていた時だった。「夫の方(かた)は…あの…私、取材相手のパートナーさんについて口頭でどう表現したらいいのか迷うんです」と思わず、口にしてしまった。
その人は、まるで「その悩み、知っているよ」とでも言うように、滑らかに即答した。
「『お連れ合い』って言うといいですよ。性別にとらわれない言葉だから。私はそうしてきました」
その人が言い終わった瞬間にニッコリ笑ったことを含め、何だかすごく安心したのを覚えている。(こういう議論を、10代の時に大人とする機会があればいいのに…)
しっくりきた。しかし、まれに一瞬意味が通じず…
以降、私は会話で相手のパートナーに触れる際には「お連れ合い」という言葉を使うようにしている。同性カップルの方との会話でも使いやすい言葉で、自分の中ではしっくり来ている。
ただ、まれに一瞬意味が通じず、会話の流れが途切れることがあるのも事実だ。この言葉がもっと一般的になるか、もっと皆が使いやすい「代替表現」があればいいのに…。
皆さんのご意見を聞かせて下さい
そこで、今回のアンケート調査では、まずは異性カップルの男性についての呼称にしぼって、皆さんのご意見を伺うことにしました。「こんな表現もあるよ」という、皆さんのお知恵をお寄せいただければ嬉しいです。
こちらのアンケートは、言葉狩りや、「一つの言葉に絞ろう」という意図ではありません。皆さんの意見を聞きながら、それぞれの状況にあった心地よい言葉が見つけられる機会になればと思っています。