国連がEXIT兼近さん、藤原しおりさんと番組をする理由 世界のために「思いを言葉に」

2020年に創設から75周年を迎える国連。6月28日(日)にEXIT兼近大樹さんとブルゾンちえみを卒業した藤原しおりさんを招いて番組を配信する。コロナ禍で世界が課題に直面しているいま、国連が2人とこの大きなテーマについて議論したいと思った理由とは。
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6月28日に生配信する番組「『世界平和』のために、私は何ができる?」に出演する(左から)EXIT兼近大樹さん、国連広報センターの根本かおるさん、藤原しおりさん
Huffpost Japan

「世界はパンデミックにどう取り組むべき?」「国連事務総長にどんなアドバイスをしますか?」。創設75周年に合わせ、国連は世界中の人を対象にこんなアンケートを実施しています。

6月28日(日)には、ハフポスト日本版と共催で、EXIT兼近大樹さんとブルゾンちえみを卒業した藤原しおりさんを招いた生配信番組「『世界平和』のために、私は何ができる?」を配信します。

世界中の人から意見を集める狙いや、兼近さん、藤原さんと番組を配信する理由を、国連広報センター所長の根本かおるさんに聞きました。

兼近さん、藤原さんのように「思っていることを言葉にして」

―6月28日に、EXIT兼近さん、藤原しおりさんとの生配信番組があります。2人のような若い世代は、「忖度」しないではっきりと思ったことを言う雰囲気があるように思います。世界では気候変動問題でも、グレタ・トゥンベリさんなど若い世代のアクションが力強い動きになっています

私は空気を読むという言葉が嫌いで(笑)もちろん言葉というのは、人を傷つける可能性もある。それには気をつけながらも、自分の思っていること、自分が疑問に思っていることを、言葉にしないと何も始まらないんじゃないかなと思います。お2人はなるべく言葉にする、形にするということを積極的にやっている方だと思いますので、番組に出ていただけることを嬉しく思います。

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環境活動家のグレタ・トゥンベリさん=2020年3月
時事通信

集めた意見は、国連事務総長の「報告書」に反映される!

―国連は現在、世界中の人を対象にアンケートを実施していますが、その狙いはどういうところにあるのでしょうか

国際機関の周年行事って、何かとそれまでの歴史や過去を振り返るという側面が強かったのですが、今回の75周年は、振り返るよりも、むしろ将来を見据えよう、と。国連ができて100周年になるのは、いまから25年後の2045年です。その25年後の世界は、どんな世界であってほしいと地球上のみなさんが思っていらっしゃるのか。そういう声に耳を傾けたいというのが事務総長はじめ、私たちの希望でした。国連は普段結構、自分たちで語りがちだと思うんですね(笑)。私たちが語るんじゃなくて、むしろみなさんに語っていただいて、それを傾聴したい。耳を傾けたいということから今回のアンケートを実施しました。

―アンケートには、国連事務総長に実現して欲しいことへのアドバイスを求める項目もあります。集まった意見はどう反映されるのでしょうか

9月に加盟国が集まる国連総会は、国連創設75周年の特別な総会になります。9月21日には、75周年を記念して特別なセッションを設けます。新型コロナの感染拡大により、実際に世界のリーダーが集まるのは難しいかもしれませんが、オンラインでの会議も普及しました。いろんな形で声を吸い上げて、特別なセッションを設けたいと思います。この総会では、アントニオ グテーレス事務総長からの75周年を踏まえた「報告書」が提出されます。そのなかで今回のアンケート結果が反映される予定です。

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国連のグテーレス事務総長=2019年11月
時事通信

「人々や国家の間の連帯を強めて」「紛争を減らして」集まる声

―現時点で、どのような意見が集まっていますか

6月15日時点では、日本から1万3419の回答がありました。「新型コロナウイルスの世界的流行を受けて、国際社会はどの分野に優先して取り組むべきか」という問いには、「人々や国家の間の連帯を強めるべきだ」という回答が最も多いです。「25年後に最も実現されていてほしいと思うこと」という問いでは、「紛争が減っている」が最多で、「環境保護が促進されている」、「人権への尊重が高まっている」と続きます。「私たちの未来に最も大きな影響を及ぼすものは何か」では、圧倒的に多いのが「気候変動と環境問題」でした。

―いま国連が最も力を入れている取り組みは何でしょうか
喫緊の課題というのは、時間とともに変わってきます。たとえば、気候危機の問題。日本政府もようやく環境白書で「気候危機」という言葉を使うようになりましたが、もちろん酸性雨の問題や、公害問題などはありましたが、環境問題でここまで私たちの暮らしを脅かす事象は、20世紀には存在していませんでした。森林破壊や都市化など、人間が自然界にどんどんと入っていった。気候変動はまた、生物多様性の喪失を招き、新型ウイルスの蔓延に影響しているという指摘もあります。グローバル化もあって、ウイルスは南極を除くすべての大陸に一気に広がってしまっている。これは戦争ではないけれども、大きな危機で、私たちの暮らしや命を脅かしています。

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溶けつつある海氷の上に立つホッキョクグマ
Paul Souders via Getty Images

みんなで対応しないと、しっぺ返しが来る

―コロナ禍のいま、多くの国が協調して課題に取り組む「多国間主義」がより大事になっていると思いますが、一方で「自国第一主義」も広がりつつあります。国連の役割はどう考えていますか

今回のパンデミックが一つの例ですが、みんなで取り組まないと、いたちごっこになってしまう。医療サービスが追いついていない地域に対しては、余裕のあるところが手をさしのべて、みんなで抑え込んでいく。すべての地域で押さえ込んでいけなければ、あっという間にまたパンデミックが戻ってきてしまうんです。もちろん国としてはまず自分の国に住む人々や自国の人々のために取り組むということは必要です。けれども、みんなであらゆる場所のことについて対応しなければ、またたく間にしっぺ返しが来る。やはり連帯に基づいた国際的な取り組みがなければ、真の意味で、感染症を押さえ込むことができないということは、国際機関が中心となって声を上げ続けることが必要なのではないでしょうか。

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感染は世界各地に広がっている
traffic_analyzer via Getty Images

―日本に暮らす私たちはどういう意識を持つべきでしょうか

世界のことに目を向けてほしいなと思います。日本でもコロナを受けて、職を失ってしまったり、あるいは実際に感染したり、ということがあると思います。あるいは医療従事者への差別や偏見は、世界でも問題になっていますが、差別と偏見からは何もうまれません。大変な境遇にまずは共感して、お互いに助け合ってほしい。思いやり、連帯、共感、そういう価値観を大切にしてほしいなと思います。

若い人に関して言うと、コロナでアルバイトが減るなどの事情で、学費が払えなくなっているという問題もあります。ある学生団体の調査では、およそ2割の学生が退学を考えているとされています。本当に深刻な問題です。新型コロナは、あっという間に世界の人々の生活を飲み込みました。

国連は、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」を掲げています。2030年までに、貧困や飢餓をなくすことや、男女平等、気候変動対策などの17の目標を達成することを目指しています。今回のコロナ危機で、SDGsの目標のひとつでもうまくいかないと、またたく間にほかの分野にも負の影響がある、ということが露見したと思います。これは保健医療の話だけではなくて、人権の危機でも、人道の危機でも、金融の危機でも、経済の危機でも、開発の危機でもあります。

興味や関心のあるところを入り口にして

―17も課題があると、どこから取り組めばいいのかわからなくなります

興味や関心を持っているところを入り口にしていただければと思います。まずは命が大切。でも、そのほかの部分に関していうと、自分に近い課題から始めるということがいいのかなと思います。ある一つの課題や危機というのは、いろんなアングルで切っていくことができますよね。今回のコロナ危機も、ジェンダーの危機とも言えますし、雇用の問題も浮かび上がってくる。多様な形で側面から切っていくと、いろんなものが立体的に見えてくると思います。 

【お知らせ】

ハフポスト日本版と国連広報センターが6月28日(日)13時から配信するインターネット生配信番組「『世界平和』のために、私は何ができる?」では、根本かおるさんのほか、お笑いコンビEXIT・兼近大樹さんとブルゾンちえみを卒業した藤原しおりさんらも出演予定です。

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「世界平和」のために、私は何ができる?
Huffpost Japan

<番組は終了しました。アーカイブ視聴はこちら>

≪Facebook≫

【出演者】

EXIT兼近大樹さん

藤原しおりさん

国連広報センター所長 根本かおるさん

ハフポスト日本版編集長 竹下隆一郎

番組では、国連が実施しているUN75「1分間アンケート」についても、兼近さん、藤原さんと話し合います。

国連が創設75周年を記念して、世界中の人々の「声」を集めている以下のアンケート。

ぜひ、番組のご視聴前に回答してみてください。

▼アンケートはこちら

https://un75.online/?lang=jpn

▼国連創設75周年(UN75)特設ページはこちら

https://www.unic.or.jp/activities/international_observances/un75/