「東京アラート」は一体何だったのか? 新規感染者40人超えも、発令基準を見直しへ

新型コロナ感染第2波の到来に備え、東京都は6月15日に専門家を交えたワーキングチームを発足。検査や医療体制の拡充、モニタリング指標の見直しを始めている。

都内の新型コロナウイルスの新規感染者が増えている。6月15日の都内の新規感染者は48人にのぼり、2日連続で40人を上回った。

東京都がアラートを出すか判断する3つの主な指標のうち、①新規陽性者数(1日20人未満)と②週単位の陽性者増加率(1未満)で数値を上回ったことになる。

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東京都のモニタリング指標(ハフポスト日本版)
HuffPost Japan

東京都は6月11日に感染拡大への警戒を呼び掛ける「東京アラート」を解除し、12日午前0時からは各施設への休業要請を最終段階となる「ステップ3」に移行した。19日には全面的に休業要請が解除される見通しだ。

小池百合子都知事は6月15日に配信した動画の中で、新規感染者の増加について「いわゆる『夜の街』関連の方の割合が多い」として、「大幅な増加ではあるが、感染経路が追えない人が増えているわけではない」と指摘した。

『夜の街』での感染者が増加した理由についても、新宿区が接待を伴う飲食店事業者と連携し、陽性者が出た店の従業員全員にPCR検査を促す取り組みを始めたことで無症状の感染者を捕捉できたと評価。

「濃厚接触者の定義を広く捉えて早期に感染者を見つけることで、むしろ市中感染の広がりを防ぐ効果がある」と語った。

 

「東京アラート」基準を緩和へ

感染第2波の到来に備え、東京都は6月15日に専門家を交えたワーキングチームを発足した。

初会合では、①感染症への組織対応力の強化、②検査体制の拡充、③医療提供体制の拡充ーーなど、感染拡大を抑制しながら経済活動との両立を図るための対策を話し合った。

都によると、検査や医療提供能力を拡充していく中で、「東京アラート」発動や休業再要請の判断材料となる「モニタリング指標」についても、基準を見直すべきではないかという提案があったという。

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小池百合子都知事(6月12日)
時事通信社

小池氏は動画の中で「今日は取り組みの前提となるモニタリングの今後のあり方について議論していただいた」と報告。

担当者によると、新宿区のような集団検査で捕捉した陽性者の捉え方などについて検討を進めるといい、基準が緩和される見通しとなる。都の公式サイトでは、6月15日時点の新規陽性者の人数が「28人」と、すでに集団検査による判明分(20人)をのぞいた数字が掲載されている。

小池知事は「議論の内容を踏まえ、感染状況の把握・分析、検査・医療体制の拡充など、感染症の全般にわたる多面的な検討を進める」と述べ、6月中にそれぞれの方針をまとめるとしている。

 

都知事選対策? 現場は「思いは同じ」

<都知事選とコロナ対策のスケジュール(太字は新型コロナ対策)>

6月2日   東京アラート発動

6月11日 東京アラート解除

6月12日 都知事選に出馬表明、ステップ3に移行

6月18日 都知事選告示

6月19日 休業要請の全面解除

6月中  モニタリング指標、検査体制、医療体制などの第2波対策の方針まとめ

7月5日   都知事選投開票

「東京アラート」が初めて出されたのは6月2日夜。「発令基準を上回っているのになぜ出ないのか」と疑問視する声が上がる中、新たに34人の感染者が判明し、発令された

一方、解除まではわずか10日間。しかも、解除の翌日に都知事選への出馬表明というタイミングだった。新規感染者が増えている中でも、休業要請を告示日翌日に全面解除する方針も変わっていない。このことから、ネットでは都知事選対策ではないかと意義を疑問視する声もある。

ただ、担当者は「現場としてはスピード感を持って進めたいという思いは同じ。スケジュール的にはハードだが、医療体制が落ち着いている今のうちに今後の対策を進めたい」と語っている。