黒人差別の歴史や現実がわかる、おすすめの作品は?

Netflixのドキュメンタリーや、スパイク・リー監督作に注目が集まっています。

黒人男性のジョージ・フロイドさんが警官に首を押さえつけられ死亡した事件を受け、黒人差別や警官の暴力に対する抗議デモが世界に広がっている。

黒人差別は、アメリカで奴隷制度が始まった400年以上前から続く、非常に根深い問題だ。この問題について知ることができるドキュメンタリーやフィクション作品を紹介する。

 

黒人が「逮捕されやすい」のはなぜか? Netflixのおすすめ作品 

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Netflixが公開した「Black Lives Matter」に関する特設ページ
HuffPost Japan

動画配信サービスのNetflixは、事件を受け、アメリカの黒人差別問題を取り上げた作品を集めた特設ページを公開した。40以上の映画、ドキュメンタリー、テレビドラマなどの作品がラインナップされている。

その中でも注目が集まっているのが、ドキュメンタリー映画『13th -憲法修正第13条-』と、ドラマシリーズの『ボクらを見る目』だ。

 

『13th -憲法修正第13条-』

『13th -憲法修正第13条-』は、黒人が犯罪者として逮捕されやすい事実を、学者や活動家、政治家が分析。冤罪の死刑囚たちのために奮闘する実在の弁護士ブライアン・スティーブンソンさんも登場する。

事件を受け、「システミック・レイシズム(制度的な人種差別)」という言葉に注目が集まっているが、同作はアメリカ社会のあらゆる場面でいかに黒人が不公平に扱われているか、その構造的な問題を明るみにする作品だ。

 

『ボクらを見る目』

『ボクらを見る目』は、1989年4月にセントラルパークでジョキング中の女性が暴行され、瀕死の重症を負った実在の事件をもとにした作品だ。

BBCによると、当時14〜16才の黒人とラティーノの少年5人が自白を強要され、冤罪で起訴。全員が有罪となり、およそ6~13年の刑期に服することが決まった。のちにこの事件の真犯人が自供したことから、有罪判決が覆され、ニューヨーク市との裁判の末、2014年に賠償金が支払われた

この「セントラルパーク・ジョガー事件」の際、大統領就任前のドナルド・トランプ氏は8万5000ドルを出してニューヨークの4つの主要新聞の広告枠を買い、「死刑制度の復活」を訴えた。BBCによると、有罪判決が覆されてから今に至るまで、トランプ氏は謝罪していないという。

 

アメリカ社会を厳しく批判 スパイク・リー監督作も

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スパイク・リー監督
ROBYN BECK via Getty Images

アメリカに蔓延る人種差別の問題を描いてきた、スパイク・リー監督の作品にも注目が集まっている。

『ドゥ・ザ・ライト・シング』、『マルコムX』、『ブラック・クランズマン』など

1989年に公開された映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』は、ニューヨーク・ブルックリンを舞台に、人種間の対立をアフリカ系アメリカ人の視点に立って描いた。

リー監督はこれまでに、アメリカ社会に根付く白人至上主義を強く批判する作品を多く手がけており、公民権運動の活動家マルコムXの生涯を描いた『マルコムX』なども発表した。

2019年には、ヘイトクライムなどの人種差別問題に揺れる現代のアメリカを痛烈に風刺している『ブラック・クランズマン』で、念願となるアカデミー賞脚本賞を受賞した。

受賞スピーチでは、元奴隷の母親を持つ自身の祖母について言及し、「大量虐殺の犠牲になった私たちの先住民とともに、賞賛を与えたい。人間らしさを取り戻すために、私たちはみな祖先で繋がっています」と語っていた。

 

奴隷制度時代のアメリカを舞台にした『それでも夜は明ける』

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『それでも夜は明ける』でメガホンを取ったイギリスのスティーヴ・マックイーン監督、助演を務めたルピタ・ニョンゴ氏ら。
Robert Gauthier via Getty Images

奴隷制度時代のアメリカを舞台にした映画『それでも夜は明ける』も、当時の時代背景などを知ることができる作品だ。

南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが、12年間の奴隷生活をつづった伝記が原作となっている。

映画賞でも高い評価を受け、アカデミー賞作品賞、助演女優賞、脚本賞を受賞した。

 

白人警官の黒人射殺事件を元にした映画『フルートベール駅で』

 

『フルートベール駅で』は、2009年、カリフォルニア州オークランドで起きた黒人射殺事件を題材にした作品だ。

事件では、地下鉄駅構内で丸腰だったオスカー・グラントさんが白人警官に射殺され、オークランドで大規模な抗議デモが起きた。