種苗法改正案、今国会の成立見送り。柴咲コウさんのツイートがトレンド入りし注目集める。問題点は?

“柴咲コウさんの懸念ツイート”がTwitterでトレンド入りし、慎重論が広がったとみられている。
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果物の苗木などを海外に無断で持ち出すことを規制する種苗法改正案をめぐり、自民党は5月20日、今国会での成立を見送る方針を示した。

種苗法は、女優の柴咲コウさんが4月にTwitterで法改正への懸念を発信したことで、ネット上で次第に慎重論が広がったとみられている。

法改正の何が問題視されたのか。

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俳優・歌手で経営者の柴咲コウさん
時事通信社

種苗法とは...?なぜ改正が必要?問題点は?

種苗法は、植物などの新品種を保護することを目的に定められた法律で、日本で開発された優良な品種が海外へ流出するのを防ぎ、農家を守る狙いがある。

農林水産省は法改正の必要性について「農業者の皆様に、優良な品種を持続的に利用してもらうためです」と説明。

「日本で開発されたブドウやイチゴなどの優良品種が海外に流出し、第三国に輸出・産地化される事例があります。また、農業者が増殖したサクランボ品種が無断でオーストラリアの農家に譲渡され、産地化された事例もあります」と海外に流出することでの具体的な被害状況を挙げた。

「国内で品種開発が滞ることも懸念されるので、より実効的に新品種を保護する法改正が必要と考えています」と公表している

法改正の問題点として指摘されているのは、国が登録する品種の栽培を各農家が自分の畑などで増やす際、開発者の許諾が必要とする「許可制」となることだ。

品種の海外流出阻止を名目に、実際はかえって農家の負担が増えるおそれがあるなどとして、一部の農業関係者からは慎重な議論を求める声が出ていた。

法改正が実現することで、事務手続きの複雑化などで高齢の農業従事者の負担が増えることや、各農家が品種への権利が制限され農業の多様性を狭めてしまうなどの懸念がある。

柴咲コウさんも言及 「様々な観点から審議する必要ある」

種苗法改正案をめぐっては、女優の柴咲コウさんが4月にTwitterで懸念を発信。

 「皆さん、『種子法』『種苗法』をご存知ですか?」と呼びかけた上で、「種の開発者さんの権利等を守るため登録品種の自家採種を禁ずるという認識ですが、何かを糾弾しているのではなく、知らない人が多いことに危惧しているので触れました。きちんと議論がされて様々な観点から審議する必要のある課題かと感じました」と拙速な法改正に対して懸念を示し、慎重な議論を訴えていた。

この柴崎さんの2つのツイートは合計で7万以上の「いいね」を記録し、種苗法改正案に世論が注目。改正案の慎重な議論を求める声はネット上で盛り上がった。

自民党の森山裕国対委員長は20日、種苗法改正案の今国会での成立を見送った理由について、「日本の農家をしっかり守る法律だが、どうも逆に伝わっている」と語ったと報じられている