「学校は丸投げ」「何度もケンカ」。家庭学習に向き合う、親たちの悲鳴が集まった

「もう再開しなくていいと思います。別に塾があるから、ろくでもない公立授業に全く期待しない」(アンケートより) 5月26日のハフライブではこの問題を取り上げます。
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イメージ写真 こんな穏やかに自宅学習できたらいいですね
kohei_hara via Getty Images

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための一斉休校開始からまもなく3カ月。この間、親たちは子どもたちの家庭学習に向き合ってきた。 

オンライン授業を取り入れた学校はまだ少数。多くの学校では紙のプリントで課題を与えて自宅学習を促している。

特に低年齢では、親が学習を見る必要がある家庭が多く、子供も親も悪戦苦闘。特に仕事を持つ親からは、仕事と自宅学習指導の両立に関する悲鳴が聞こえる。また、家事育児の負担の偏りから、パートナーとの関係に亀裂が入っている家もあるようだ。

ハフポスト日本版では、5月26日実施のTwitter番組「ハフライブ」でこの問題を取り上げる。これまでに事前アンケートに寄せられた声の一部を紹介する。

・ハフライブの視聴(無料)はこちらから。時間になったら自動的に始まります。



「机に座らせることさえできない」 

「家庭学習で大変なのはどんなことですか?」「休校中のお子さんはどんな様子ですか?」という質問で、悲痛な声を寄せたのは主に小中学校の子どもを持つ親。 逆に、高校生の親からは「特に問題なし」という声も多かった。

子供の様子は「生活リズムの乱れ」「無気力」「長時間のゲーム」「イライラ」などの変化を挙げる人が多かったが、少数派ながら「好きなことに打ち込む時間が持てた」「自ら学習するやる気が出た」という子供もいた。 

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イメージ写真 オンライン授業だからって楽しいわけではない
写真ACより

 

新・小学1年生で、一度も学校に行っていません。学習習慣がまったくなく机に座らせることもできない日々が続いています。(日本の公立小学校)

 

そもそも「勉強とはなんぞや」から教えないといけない。オンライン授業は検討中と言いながらアンケートをとって以降は何も動きがなく、担任の先生が宿題をたくさん持って来たり、電話をかけてきたりしてはくれますが、勉強もなにも丸投げな感じだし、再開は来月だし、親も心が折れそうでつらいです。(日本の公立小学校)

 

親が言っても「ヤダ」の一点張りで、何度もけんかをしています。教えようとしても、聞く耳なく、こちらも仕事の手を止めてまで勉強をやらせることが苦痛で、半ばあきらめていて、長男の課題は規定量の半分も終わっていません。(日本の公立小学校)

小学校低学年では特に、「勉強をする」ということの意味さえつかめていない子も多いようだ。生活空間の延長線上で学習をさせることの困難さが浮かび上がる。

また、親による指導で子供側には甘えが発生、親側も我が子となるとついガミガミと叱ってしまうという家庭も多かった。

中学生でも同様の意見があった。それに加えて、学習内容自体が高度になっているため、特に、英語・理数系の科目などでは親が教えられる範疇を超えているという問題も…。

中学生で親が教えられなくなってきているので、そこをどう埋めるか、埋めるためには、お金がかかる。でも収入か減っている。お金がかけられない。と無限ループ。(日本の公立中学校)

 

期日に間に合わせるように予定を立てない。教科書をよく読まない。そばにいないと落ち着いてやらないくせに、色々言うとやらない。テレビをつけて携帯をいじりながら勉強する。理科・数学は面倒みれない。(日本の公立中学校、各種高校)

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イメージ写真 自宅学習はつらいよ
写真ACより

一方、教員であり親でもあるという方から、こんな回答もあった。

そもそも自分が私立教員であることが言えますが、子供の年齢が小学生なので、特に感じていません。職業柄「ここまでは家庭、ここからは学校」ということをわかっているので。恐らく大変なご家庭はその線引きのガイダンスが必要なのだと思います。躾など、何から何まで学校で面倒見ることができないのと同様、ご家庭で同じことをするのは無謀だと感じています。

(公立小学校)

遅れを取り戻そうと課題を多く出したり、細かく時間割を設定しその通りに行動するよう指示する学校もあるが、感染症の収束が見えてきた時期には、割り切って家庭学習で目指す範囲を示すことで、解決できる問題もあるのかもしれない。ただし、感染症の脅威が長引いた際の不安は残る。

 

オンライン授業は「してない」過半数

これまでのアンケート回答者の中で、子供の学校でオンライン授業(ICTを活用した双方向の授業)が行われていると答えたのは、およそ1割程度。

さらに、双方向ではないが、動画など一部ICTが活用されているとの答えが3割程度いたが、そうしたツールが全く導入されていないとの回答が5割以上だった。

こうしたことから、現場の先生たちへのねぎらいの声をかけつつも、なかなか導入されないオンライン授業や学校・自治体・教育委員会に対する憤り・不満の声も多く寄せられた。 

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アンケート結果より
ハフポスト日本版アンケートより

 

「もう再開しなくていい」

勉強について全て親に丸投げ。もう再開しなくていいと思います。別に塾があるから、ろくでもない公立授業に全く期待しない。(公立小学校)

 

動画配信やオンラインに取組もうとする学校の姿勢が、子供たちへの姿勢に思える。お役所仕事のような自治体からのお達し任せ。学校として、子供に学ばせようという気持ちは全く感じられない。もし、日本の教育のシステムが悪いのであればこれを機会に見直しが必要だと思った。(公立高校)

 

3ヶ月もの休校期間中、ほとんど連絡もなく、宿題らしきものが出たのは5月のみ。内容もわかりづらく、この宿題は履修したことになるのかどうかもわからない。現場のことが全く見えないし、今後どうするのかも話が無いし、とにかく、状況が見えなくて不安になります。登校日がありましたが、親への手紙は無し。ただ宿題を集めて配って終わり。せめて、学校としてどうしていくか、少しだけでも情報が欲しい。それすら決められていないなら、その旨を伝えて欲しい。現場の先生方も大変なのはわかるが、とにかく説明がなさすぎる。(公立小学校)

 

「習い事はうまくいってるのに…」

 一部でICTを使った学習を取り入れている学校もある。だがその内容に満足している人は少なかった。

教育委員会の出している動画があるが、子どもは興味を示さず。宿題があるが、教科書を見ての回答では機械的になってしまうので、なんとか誘導してNHKの子ども向け番組のアーカイブから引っ張ってみせている状況。学校の代わりにはならないし、友人関係が重要だった子どもの学習意欲は明らかに落ちている。「友達とネットでいいから話す時間が欲しい」と言っているが、家庭ではそのアレンジが難しいので、プリントなどよりそちらのコーディネートをして欲しいと思っています。(公立小学校)

 

家庭への丸ぶり。一週間分の時間割と課題一覧、プリント類が親用にホームページを経由して配布されます。それを毎日、噛み砕いて説明し、指示し、わからない質問に回答し、丸付けし、合間にモチベーションを上げさせ、ひとりで勉強を続けられるよう褒めたり、諭したり、ご褒美をチラつかせたり、怒鳴ったりしています。それを在宅勤務の合間に、2歳の下の子の面倒を見ながら続けていて、物理的にも精神的に限界。共働き在宅勤務は、フルタイムなので、保育士と家庭教師をしながらの勤務は不可能です。心と時間の余裕がないので、みなイライラしており、家庭内のケンカも増えていて困っています。反面、習い事は上手く行っています。Zoomでのピアノレッスン、Skypeの英会話、本人が希望した学習塾のZoom授業は、それぞれのプロである先生たちが授業を工夫し、子供達にオンラインで話しかけながら、興味を引きながら、励ましながら、教えてくださいます。(公立小学校)

 

2ヶ月間の放置からの5月連休明けの丸投げ感が半端ないです。(3月は少しの課題。4月も少しの課題と月末に一回担任から電話があったのみ。それまでの課題に対しての添削も無し。そして、5月の時間割付き丸投げ。) 授業動画の配信も始まりましたが、あまりに手順が煩雑で観られていない家庭もチラホラ(私も観られず)。そこまでセキュリティレベルを上げる必要性は、この非常時に必要なのか!?と甚だ疑問です。そもそも、外国籍で日本語が得意でない保護者さんは取り残されている状況。4月にオンラインでの双方向ホームルームを提案した際、公平性の担保が、と真っ先にやらない理由としてあげてきたにも関わらず、学校が公平性を担保しようとすらしていない。学校はどこを向いて仕事をしているのか全く分からず不信感しかありません。ちなみに、学校が全く動かないので、保護者有志でオンラインクラス会を定期的に開催しており、そこへ先生達にゲスト参加してもらえないかお願いしても、けんもほろろに断られました。ため息しかないです。(公立中学校)

 

先生は頑張ってますが、まだ動画作りに慣れていないようで、新人YouTuber 頑張って!(公立小学校)

 

「芸能人のブログでは…」

一方、オンライン授業を取り入れている学校では、完璧ではなくても導入しているという回答の多くで、先生たちへの感謝の気持ちが並んだ。学習そのものというよりは、双方向でコミュニケーションを取る機会があることで、日常生活にメリハリをつけたり、家庭学習へのやる気アップにつながるなどの効果があったと考える人が多いようだ。 

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イメージ写真 理想的なオンライン授業の風景だが…
写真ACより

しかし、オンライン授業を取り入れていると答えた人の多くが私立や海外在住者で、教育格差の広がりが懸念される。

色々な不安はひとまず置いて、子どもたちの学びを止めないために前に進む努力をしているように感じる。(私立中学校)

 

オンライン開始時は慣れる為にホームルームをして担任とクラスメート間でコミュニケーションをとり、授業開始では、負担にならない無理のない時間割を考慮してくれており、ありがたい。(私立中学校)

 

休校中に先生やお友達の顔を見れるから嬉しいし、教室と違って他の子の無駄話が聞こえないので集中出来ると言っている。(国立小学校)

 

 米国在住です。1週間だけ空白期間があった後、先生たちが手探りでオンライン学習システムを作ってくれました。親のサポートは必要であり、負担がゼロではありませんが、子どもは十分に学べており、また、子ども自身が先生からのサポートを身近に感じています。 日本の公立学校の対応を見ていると非常に残念にそして悔しく思います。(海外・小学校)

 

ブログなどで芸能人を見ているとオンライン授業を受けているってよく書いてある。 都会や裕福な家庭、私立などに通っているからだろうか? 公立で田舎で一般家庭は、オンライン授業を選択したくても学校がやっていない。 見ていて、正直ズルイと思う。 学校から時間割りと宿題を貰って親子二人三脚で取り組むのみ。 3ヵ月も休みがあったのに何も進歩していないのがとても残念。 環境が整っていない子がいるのも事実だけど、ゲームにYouTubeの時代環境が整っている子もたくさんいるはず。 オンライン授業をやる努力、姿勢をみせてほしかった。(公立小学校)

 

「地獄」「なんかいいことありました?」

休校と自宅学習によって変わった親の生活や仕事にはどんな影響があったのか?「悪い影響があった」と答える人が過半数で、これも怒りの声が多数集まった。  

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アンケート結果より
ハフポスト日本版アンケートより

在宅ワークと育児の同時進行で仕事が進まないことや、家事負担が増えたことが主な原因。また、ダラダラしている子どもを見るのが苦痛だという意見も。

一方で、子供に向き合う時間が増えたことは良かった、とする声もあった。 

学校のお勉強というものがそもそもわからない子どもにゼロから教え、勉強も遊びも相手して、衣食住の世話もするのに息抜きも自分の仕事もできず、他県に住む親に頼ることもできず、ストレスがたまっています。せめて早く学校が再開してほしいと願っています。休みが長いです。(公立小、自分だけ在宅ワーク中)

 

仕事に支障が出る。 集中したい時と子供の暇な時間が重なると地獄。(公立小、ひとり親で在宅ワーク中の女性)

 

勉強しない、だらだらする、生活リズム乱れる、朝ご飯とらない、スマホばかり見て目がわるくなりそう、部活もなくて、大会もないから実績がない、そのため進路に影響がでるのが不安(かわりに勉強するなり、いつ部活が再開してもいいようにトレーニングやスキル磨きすればいいのにやらないから余計。)、食費がかかる、給食もないから弁当2つつくる、洗い物がふえる、部活がなくてもスポーツウェアで体を動かしにいくから、洗濯回数はたいしてかわらない。なんかいいことありました?塾の課題は親が取りに行って提出しなくてはいけない、なれない在宅ワークでストレスなのに、輪をかけてだらだらしている子供が目にはいる。学校再開、部活再開の目処もやり方の見通しもない!!教育委員会のいいなり。学校の先生たちの考えが見えてこない。光熱費もかかる。 一斉休校以外のやり方はなかったのかと、そもそものところを疑問に思います。(公立中学校・各種高校、自宅外で働く女性)

 

仕事と子供のバランスが崩れ、ネグレクトになってしまっていると感じて憂鬱になる。 やってもやっても仕事が終わらない感覚。(保育園、自分のみ在宅ワークの女性)

 

昼間、1年生長男と年中次男の面倒を見ているので、正直仕事なんてできません。まだ小学校に行ったことのない長男の学習サポートはおそらく教育機関が考えている以上に保護者にはハードルが高いです。学習を遅らせる訳にはいかないというプレッシャーと、学習習慣を身につけ定着させることのプレッシャーなど様々です。 また、仕事ができないというストレスも抱えながら、それが子供にも出てしまうことがあったので、そもそもの受注量をコントロールして子供を優先しました。(保育園と小学校、自分のみ在宅ワークの男性)

 

今まで学校に拘束されていた時間が如何に長かったか、時間に追われていたかが見えた。 この休校中、のびのび公園で遊ぶ姿は新鮮でした。 今一度、義務教育の内容の見直しをして欲しい。昔から慣習になってしまっていることから無駄なことを無くし、子どもたちが自ら学ぶ意欲を増す教育に変わって欲しい。(公立小学校、自分は専業主婦の女性)

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イメージ写真 ちょっと目を離すとものすごく家が散らかっている
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「逃げ場がなくしんどい」

在宅ワークや子供の家庭学習など、生活の変化がパートナーとの関係にも影響を与えているとの声もあった。また、育児の負担は母親に偏ること、そのために自分の時間が持てないことへの不満の声も多かった。

パートナーは仕事のイライラが全面に出てくる性格なので、家庭で仕事されると負のオーラを家族にまき散らす。こちらはそれに気を遣って対応せざるを得ないので、家事や子供のフォローなどの負担のバランスがとりづらく感じる。(海外在住・パートナーとともに在宅ワーク、男性)

 

同じ会社で、同じ職種、妻の方が役職が上ですが、どうしても子供達の世話が母親に集中し、子供もそれを望むので、私の負担が大きいです。家事全般やってくれて、買い物も夫が行ってくれるのですが、それも含め、私が一人になれる時間が皆無のまま2ヶ月、そろそろ限界です。夫に話してもあまり響きません。普段は温厚なのにストレスなのか、怒鳴ることもあり、話し合いにならず、逃げ場もなく、子供も常にいるのでしんどいです。(保育園、公立小学校、パートナーとともに在宅ワーク、女性)

 

父親である私と母親で学習に対する考え方が違うので、そこで諍いが起きてしまう。 また、新1年生の次男を学習させることは非常に困難で、最終的には怒鳴りつけるような状態になってしまう。(公立小、パートナーとともに在宅ワーク、男性)

一方、アンケートでは、今後の教育との向き合い方に「変わる」と答えた親も半数近くいた。「親の責任」についての意見はアンケート後編で。

5月26日火曜日夜9時からのハフライブでは、アンケートの最終集計のまとめなどとともに、浮かび上がった課題を話し合います。視聴はこちらから(無料)です。時間になったら自動的に配信されます。 

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ハフライブ
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