離婚しても、30日以内なら取り消し可能。衝動的な離婚を防ぐ「冷静期」制度に中国で猛バッシング

DV(家庭内暴力)の起きたケースでは、冷静期に暴力が激化するとの懸念がある。

離婚したいなら、まず30日間考え直してー。

離婚するカップルが年々増え、社会問題化している中国で、離婚を申請したカップルに対して30日間の猶予期間を与える制度をめぐり、現地のネット空間で猛バッシングが起きている。

中国では少子高齢化が深刻になっていて、政府としては離婚するカップルを減らすことで、少しでも歯止めをかける狙いもあるとみられるが、反応は良くないようだ。

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中国の農村で実施された出張離婚調停
China Stringer Network / Reuters

■増え続ける離婚に...

国営放送CCTVなどによると、話題になったのは中国で編纂が進められている、民法典の草案に含まれた条文。1077条には「離婚を届け出てから30日以内に、どちらか片方が離婚をしたくない場合、届け出を撤回することができる」とあり、30日間は「離婚冷静期」として思い直すことができる、という制度だ。

中国では離婚件数が年々増加していて、共産党機関紙・人民日報海外版によると、少なくとも2017年までに離婚率は15年連続で上昇している。また、2019年は結婚の届出が約947万件だったのに対し、離婚は約415万件だった。

離婚の増加が深刻な社会問題となっている少子高齢化に拍車をかけているとの見方も根強い。CCTVは制度の狙いについて「衝動的な離婚を防ぐ」などとしていて、導入を契機に離婚件数の増加に歯止めをかける狙いもある。

この条文はもともと草案に組み込まれていたものだが、5月22日から始まる全人代(日本の国会に相当)で提出されるとみられ、改めて議論が再燃。SNS「ウェイボー」では関連ハッシュタグの閲覧数が5億回を突破した。

ネットユーザーからは、この条文を「削除すべきだ」との声が圧倒的に多い

反対の理由には、「離婚の自由を侵害するものだ」といったものから、「結婚するのをためらうカップルが増え、少子化がかえって深刻化する」など様々だ。

またDV(家庭内暴力)がある場合、暴力を受けた側が離婚できないうえ、「冷静期」の30日にかえって激化するおそれがあることも指摘されていて、作家の蒋勝男さんも現地メディアの取材に対し「カップルの弱い方への苦痛を大きくするもので、草案から削除すべきだ」と主張している。

現地メディアによると、この「冷静期」はあくまで協議離婚に適用され、DVなどを理由に裁判で離婚が申し立てられた場合は例外だという。これに対してもネットでは「裁判だって時間がかかる」「追い詰められた人のどこに裁判を起こす金と気力があるんだ」などと反対の声が根強い。