検察官の定年を65歳に引き上げる検察庁法改正案について、政府は今国会での成立を見送る方針を決定した。朝日新聞デジタルなどが報じた。
安倍晋三首相と自民党の二階俊博幹事長が、「国民の声に十分耳を傾け、理解なしで前に進むことはできない」との意見で一致したという。自民党の林幹雄幹事長代理が会談後、首相官邸で記者団に明らかにした。
「#検察庁法改正案に抗議します」ツイートが大きなうねりに
検察庁法改正案は、内閣や法相が必要と判断した場合、検察幹部の定年を最長で3年延長できる特例規定を新設。実質的な審議は、5月8日に衆議院内閣委員会で与党が強行する形で始まった。
安倍政権は1月末、政権に近いとされる黒川弘務・東京高検検事長の定年の延長を閣議決定。定年となるはずだった黒川氏が、検察組織のトップである「検事総長」の役職に就くことが可能となる道を作っている。
黒川氏の定年延長と合わせて、同法案には「政権が検察人事に介入する恐れがある」などとして、批判が噴出していた。
大きなうねりとなったきっかけは、たった一つのツイートだ。
Twitterで会社員の女性が投稿した「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグは5月9日から10日にかけて拡散され、芸能人など著名人も「オンラインデモ」に参加した。
その後、日本弁護士連合会や、ロッキード事件に関わった元検察OBらも反対を表明。世論の反発が強まっていった。