「3食エンドレスごはん」の料理担当はつらい。みんなが少しラクになる食事のコツ(レシピ付き)

第2回 白央篤司の「家事の“ごはん作り”担当の皆さん、おつかれさまです!」
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Getty/白央篤司
食卓のイメージとお手軽クッパ風雑炊

自粛生活が続き、「食事作りが重荷だ」という人が増えていると感じています。そういう思いを共有し、せめても「おつかれさまです」と声かけあっていく場に、このコラムをしたいと思いました。

初回で“ごはん作り”のお悩みを募集したところ、たくさんの声を寄せていただきました。外出がままならない現在、多くの人が感じているであろう思いを紹介します。 

また、「日々のごはんは誰かに作ってもらっている人」にも、ぜひ読んでいただきたい。ねぎらい合うためのヒントが、必ずやあると思います。

第1回「3食エンドレスなのがつらい」(東京都・アラフォー・マコさん)

こんにちは。夫が在宅勤務になり、中学生の子どもが休校になって、ごはん作りがエンドレスになりました。料理しようと思える日と、もう何もしたくない日がランダムにやってきます。家族はできあいであろうが、冷凍食品であろうが不満もなく食べてくれます。でもとにかく、3食を用意する日がエンドレスで、つらいです。昼ごはんが終わった後に「夜ごはんは何にするの?」と無邪気に聞かれるときなど、心が折れそうになります。

マコさん、本当に、おつかれさまです。しんどかったですね。 

私も家での炊事担当者ですが、作り終えて「ああ……数時間後にまた食事の用意するのか」と思って心がゲッソリしてしまうこと、あります。

そういうこと家族には、なかなか言えないですよね。「嫌なの?」とか思われたくないし、嫌というか「またやるのか」という事実が、重いんですよね。 

「弁当でも何でも、買ってくればいいじゃない」という意見もあると思います。ただ、「ごはん作りがエンドレスでつらい」ってな精神状態のときって、その1回を免れたいわけじゃなく、「明日も明後日も、その次の日もごはん作りが待っている、続いていく」ことがつらいわけなので、解決方法がないんですよね。そういうつらさ。いつまでも買い続けるのは現実的じゃないし、その「逃れられない事実」が重いから、心がどんよりしてしまう。同様のお悩みを抱えてらっしゃる方、たくさんいましたよ。

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(写真はイメージ)

この「エンドレスなつらさ」って、自分が「家のごはん担当」をやってみないと決して分からないもの。私も実際に担当するまで想像できませんでした。

多くの人は最低でも2~3カ月やってみて、はじめて理解できることじゃないでしょうか。 

だからこそまず、こういう悩みは「体験したことない場合は、分からない」ということが周知されてほしい。なぜか家事に関しては、連続して体験したことのない人が「たいしたことじゃないのに」「ワガママだ」と断定しがちなのですよ。 

日々の炊事ではなく、数日やった経験で判断してしまう。

そして「エンドレスなつらさ」って、悩んでもどうしようもないと自分が一番よく分かってる部分、あるんですよ……。

全部捨ててひとり暮らしに戻りたいわけじゃないし(そういう人もいるかもですが)、グチグチ言っても始まらない、そうこうしてるうちに次の食事の時間はどんどん迫ってくる……。

これ、かなり圧迫感のあることです。なんでもないときもあるけど、のしかかって仕方のないときもある。それが、日々のごはん作り。 

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(写真はイメージ)

新型コロナみたいな特別事態だからしょうがない、という考え方もあると思います。子どもも大人も、非常時で学校に行けない、仕事がうまく回らないなどのストレスを抱えている人、多いですよね。 

ゆえに、「家での食事を、より安らぎの場にしなければ」と願っている方もいるでしょう。そういう責任感や優しさが、余計に「がんばらなきゃ」という熱意に繋がってる人もいると思います。

ただね……それでがんばりすぎて、精神的に参っちゃったら、元も子もない。まずは自分に楽をさせないと、相手に楽しみを与えることもできないんですよ、やっぱり。

私のツレもよく言うんです、食べ終わってすぐに「夜ごはんはどうすんの?」的なことを。あれ、しんどいですよね。やっと一食終わった、っていうときに尋ねられるの。

私はあるとき、「あのさ、ごはん終わって『次のごはんは何?』とか聞くの、やめてよ。直前になったら考えるし、それまで考えたくない、考える余裕のないときもけっこうあるから」と真剣な表情で伝えました。向こうに悪気がないのは重々分かっていたんですけどね。

これ、同様のケースに関して友人や知り合いから話を聞いてみると、「相手はごはん作りが好きで、楽しんでやってると思ってた」というパターン、結構あるんです。 

マコさんはどうだったでしょうか、もともと料理はお好きでしたか。好きだとしても、それを家の「仕事」として連日やり続けるのは話が全然違うと思います。

「料理は好きだったけど、家事としてやるようになってから嫌いになってしまった」という悩みもかなり聞かれます。

家事として料理したことのない方は、想像してみてください。好きなことを「仕事」にしたとして、それが休みなく続いて、さらにはあまり評価もされず「当たり前のこと」とみなされてしまったら……と。 

無理のない範囲で、気分の落ち着いてるときに、控えてほしいこと、伝えてみてはどうでしょうか。

マコさんの家族は、冷食やできあいが抵抗ないってのは嬉しいポイントですね。私の場合ですが、とにかく

・気力のあるときにごはんをドーンと炊いて、6食分ぐらい小分けで冷凍しておく

・気に入ってるレトルトカレーや中華丼のレトルトを絶やさない

・お互いが好きな冷凍餃子なども常備

・精神的にどうにも炊事が無理な日は「ごはんチンして、餃子なりカレーなり食べてくれ」と向こうにバトンを渡す

・週1~2回はカップラーメンや弁当を買う回を設ける

・用意したものが嫌なら自分でなんとかする

・冷蔵庫内で使ったもの、買ってきたものは報告しあう 

ツレが在宅勤務になってから、こんなルールを設けました。

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(写真はイメージ)

最近とみに「作らない時間が、作ろうという気力を育てる」と思うのですよ。だから「作らない回」を入れないと、もたないなと。いつまで続くか分かりませんしね、自粛期間。 

三食毎度休みなしで作っていたら、作る気力がなくなって当たり前! 週休ある仕事と違うんだもの、家の炊事も同じように週に何度か作らない日を設けるのだって当然じゃないでしょうか。

みんなそりゃ大変だけれど、飯炊きマシーンにはなれない。それにマシーンだって電気なりエネルギーがいるんですから。人間も、ガス欠になることだってありますよ。自分で心に潤滑油を与えるしかない。それにはやっぱり、作らない時間も設けないと。

マコさん、たまにはこんなレシピをどうでしょう。野菜を刻んで、お湯をかければほぼ終わり。

これでじゅうぶん一食になりますよ。ちょっと前にSNS出したらわりに好評でした。なるたけ何もしたくないときに、おすすめです。

最後にもう一度、おつかれさまです。

読まれてちょっとは気が晴れてくだされば、いいのですが。 

お手軽クッパ風雑炊 (1人前)

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HuffPost Japan

(用意するもの)

フリーズドライのユッケジャンスープ 1個
ごはん 1膳分
お湯 180ml程度
ゆでたまご 1/2個
キムチ 好みの量
ごま油 数滴
豆苗 1/3パック(または青ネギ、三つ葉など適量)


(作り方) 

1.お湯をわかす。豆苗を2㎝長さに刻んでおく

2.うつわにごはんをよそい、フリーズドライのユッケジャンスープ、豆苗を入れてお湯をかけ、よく混ぜる

3.ゆでたまご、キムチ、ごま油を加えて完成

 

※さらにおいしくするポイント

・手間でなければネギ、三つ葉など野菜を複数使いにする

・すりゴマを加える

・鍋で煮るのが手間でなければ、サラダチキンやほぐした豆腐を加えて少々煮るのもおすすめ


※引き続き、日々の自炊、食事の用意に関してつらいこと、悩んでいること、大変に感じていること、こちらから自由にお送りください。お名前(ハンドルネーム可)、年齢、できればお住まいの地域もご記入ください。

白央篤司(はくおうあつし)

1975年生まれ。「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と平日の洗濯、猫2匹の世話を担当。Twitterブログ

(編集:笹川かおり)