日本弁護士連合会は5月11日、記者会見で検察庁法の改正案に改めて反対する声明を発表した。大川哲也副会長は「検察官の政治的な中立性が損なわれると、憲法の基本原則である三権分立を揺るがす恐れさえある」と危機感を示した。
議論が起きている検察庁法改正案の主な内容は次の通り。
・検察官の定年を63歳から段階的に65歳に引き上げ
・63歳なったら検事長や次席検事といった幹部に就けない「役職定年」を導入
・役職定年や定年を迎えても、内閣や法務大臣が「公務の運営に著しい支障が生ずる」などと認めれば、定年前のポストを維持できる。
大川副会長はまず「定年を63歳から段階的に65歳に引き上げることに反対するものではない」と断った上で、内閣や法務大臣の裁量で定年や役職定年の延長が可能となる点を問題視。「時の政権が検察人事に強く介入してしまう結果となる」と危惧した。
準司法官として逮捕・起訴権限を持つ検察官の特性に触れ「検察官の政治的な中立性が損なわれると、憲法の基本原則である三権分立を揺るがす恐れさえがある」と訴えた。
質疑応答では、検察庁法改正でなぜ三権分立が揺らぐのかという質問が飛んだ。
これに対して大川副会長は、検察官の職務の特殊性について「強大な捜査権を有していて、起訴権限がある。司法、刑事裁判の分野に密接に関わっている点が大きい」と説明。
検察庁法32条の2に「検察官の職務と責任の特殊性」と明記されていることにも触れ、「検察官が行政の方になびいてしまうと、三権分立のバランスが崩れてしまうのではないかという問題提起です」と付け加えた。