トランプ大統領「新型コロナはワクチンがなくても消滅する」と発言。専門家意見と矛盾

トランプ大統領は医師がそう言ったというが、実際にそのようなことは言っていない。
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トランプ大統領 2020年5月8日
MANDEL NGAN via Getty Images

トランプ大統領は5月8日、専門家たちの意見に反し、「新型コロナウイルスはワクチンがなくても消滅する」と述べた。

「私はワクチンについても、検査と同様に感じている。新型コロナは、ワクチンがなくても消滅する。そして、一定の期間が過ぎたら、もう見ることは無いと願っている」とホワイトハウスで発言した。

収束の前にまた急に発生することがあるかもしれないと認めたが、「たぶんないだろう」と話し、「鎮火することができるだろう」と述べた。

ワクチンなしで新型コロナウイルスが消滅するという証拠について問われたところ、トランプ大統領は「医師の言うことを信頼しているだけだ。彼らが『消滅する』と言っている」と答えた。

しかし、医師たちはそのようなことは言っていない。4月、国立アレルギー感染症研究所の所長であり、政府の「コロナウイルス・タスクフォース」の一員であるアンソニー・ファウチ氏は、新型コロナの感染拡大は「科学的に安全で効果のあるワクチンが開発されるまで、ソーシャルディスタンスなどの対策をしなくても良いレベルにまでは収束しない」と話している。

新型コロナウイルスはこれまでに、アメリカで130万人以上の感染者を出し、7万9000人以上の死者を出している。(5月11日時点)

1週間以上前に、トランプ大統領は新型コロナと闘うワクチンの生産を加速するため「ワープ・スピード作戦」を開始し、テレビ中継されたバーチャル集会で「国はワクチンを必要としている」と語った。

ファウチ氏は開発までに18カ月かかる可能性があると示唆したが、トランプ大統領はワクチンは年末までにできる可能性があると話し、「医師たちは『そんなことは言わない方がいい』と言うが、私は思っていることを話す」と加えた。

トランプ大統領は8日、最終的に「ワクチンはとても有益だ」と認めたが、「これまでに発生したウイルスの中で、ワクチンを試みたが見つからなかったこともある。それでもそのウイルスたちは消えた」と話し、「その後、それらのウイルスが現れることはなかった。新型コロナも、他のウイルスがそうだったように死滅する」と述べた。

「新型コロナも消滅する。それが、今年中なのか秋までか、秋の後か、などは言っていない。でも最終的には消える」

アメリカのほとんどの人口が新型コロナを経験すれば、集団免疫を得ることができるが、それは必然的に多くの死者を伴う。

トランプ大統領は集団免疫に頼ることによる、恐ろしい影響を認めた。

「もし違う方法...集団免疫の道を辿った場合、耐えられないほどの死者を出すことになる」

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

【訂正とお詫び 2020/5/11 17:00】当初の記事で、アメリカの感染者数を「13万人以上」としていましたが、正しくは「130万人以上」でした。お詫びして訂正いたします。