中国・陝西省で、寝たきり状態の79歳の母親を生き埋めにしたとして、58歳の息子が逮捕された。母親は70時間近くに渡って埋められていたが、命に別状はないといい、ショッキングな出来事が中国社会を震撼させている。
■70時間近く生き埋め
共産党機関紙・人民日報によると、事件が起きたのは5月2日。陝西省・靖辺県に住む馬容疑者(58)が、寝たきり状態の母親(79)を手押し車に乗せたまま出かけ、馬容疑者一人だけが家に帰ってきた。
妻が母親はどこに行ったかと尋ねると、馬容疑者は「親戚の家に預けた」と答えた。3日後の5日、不審に思った妻は警察に通報。警察官が馬容疑者に事情を聞くと、生きたまま母親を埋めたと供述したという。
すぐに警察官ら10人以上が馬容疑者の話した場所を掘り返すと、使われなくなった墓地の穴のなかで母親を発見。病院に送られたが、幸いにして命に別状はないという。母親はおよそ70時間近くに渡って埋められていた。
■進む高齢化、介護疲れか
貧しい農村地帯で起きたこの事件は、中国社会を震撼させている。各メディアが相次いで伝え、SNSでも大きな話題を呼んでいる。
現地メディアによると、馬容疑者は動機について「家に帰ると母親が失禁していて、においに耐えられなくなった」と介護疲れを示唆した。
中国では、日本と同様に少子高齢化が社会問題となっている。いわゆる「一人っ子政策(現在は廃止)」の影響もあり出生数は年々低下する一方で、65歳以上が人口に占める割合は増加。国家統計局は「中国は高齢化社会に足を踏み入れた」と危機感を露わにしている。
SNSでは馬容疑者に厳罰を求める声が相次いで上がっているが、複数の現地メディアによると、母親は息子が刑務所に収監されることを恐れ、「私が自分で穴に入ったのです」と話しているという。