東京都医師会の角田徹副会長が4月30日、日本外国特派員協会で記者会見を開き、海外メディアに対して日本の現状などを説明した。
質疑応答では、検査数を限定した日本の方針に対する見解や、緊急事態宣言の効果を尋ねる質問が飛んだ。主な質疑応答の内容を紹介する。
Q:医療崩壊だという報道が多いが、医師会の認識は?
新型コロナウイルス感染症の重症者の受け入れ態勢は、80%以上ではありますが、少し余裕があります。
問題は一般救急で、肺炎で入院している人がたくさんいます。2次、3次救急の受け入れで新型コロナに感染しているか分からないケースがある。そうすると個室に収容するしかない。 一般病棟の受け入れるところが切迫しています。
Q:PCR検査数を限定する日本の方針は正しいのか。今でも限定するべきか、それとも検査数を増やすべきだと思うか?
検査数について、第一波のクラスターに対しては、絞った形は正解だったと思います。現時点ではパンデミック、蔓延期なので、必要な方はやるべきだと思います。医師が診察した上で、医学的に必要な人にやる。重症化が疑われたり、基礎疾患を持っていたりする人たちを管理するためにやるべきだと思います。増やすことは賛成です。
Q:医師として、物理的な問題を除いた場合に、症状がなくても患者が不安になった時にPCR検査を受ける権利があると思うか?
患者は治療を受ける権利はあります。ただそれが、やみくもにPCRを受ける権利とは考えていません。
専門家の判断の元、検査を受けてもらいます。 不安を持っている人は、専門家のコンサルテーションを受けてもらう。私たちが相談を受ける役になっています。ちゃんと説明して、『あなたはこういうことだから心配ない、家で過ごしましょう』と話をする。それだけで終わってしまう人は、実はすごく多いです。
Q:アメリカやヨーロッパと違って法的な強制力が伴わない緊急事態宣言は、感染症にどんな影響があったのか、もしくはなかったと考えるのか?
緊急事態宣言は有効だと思う。経済的なことを考慮しなかった場合、医学的に見るともっと早くてもよかったのではないかと思っています。新規感染者を見ると、緊急事態宣言の1週間ぐらい前に小池都知事が言及して、それの効果が少し出始めた。さらに安倍首相が緊急事態宣言を出して、行動制限というか、(数字は)落ちていると思います。 法的な強制力を持たない形でも十分有効に作用していると思います。
Q:緊急事態宣言は延長されると思うが、解除するときはどのようなデータを根拠に決断すべきと考えるか?
解除の判断は難しい。感染から発症までの潜伏期間は5日から12、13日ぐらいですが、効果は2週間後に出るので、数を見ながらどこかで緩めないといけないと思います。そのときに第2、3波が必ず来るので、早期に探知して、経済の自粛を求めるという形の長い戦いになると思います。