200万円・100万円支給の「持続化給付金」、要件や申請方法は? わかりやすく解説します

法人は200万円、個人事業主は100万円が、申請から2週間程度で振り込まれます。簡単&シンプルな解説記事です。
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(写真はイメージ)
Jomkwan via Getty Images

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で苦境にあえぐ中小企業や個人事業主などに対し、事業の継続を下支えし、再起の糧とするため、政府は日本の歴史上初めて、事業者向けの現金給付を行うことを決めました。その名は「持続化給付金」。

昨年度年間売上からの減少分を上限として、法人は200万円、個人事業主(開業届を出していなくても可)は100万円が、申請から2週間程度で振り込まれます。

持続化給付金事務局は、中小企業庁が担います。申請受付は、補正予算成立後速やかに開始する見込みです。同じタイミングで問合せコールセンターもオープン予定です。

来月の店舗家賃が払えないかもというギリギリのラインで、1日も早い給付を切望する人もいらっしゃることと思います。そこで、先ほど公表された「持続化給付金に関するお知らせ(速報版)」および申請要領(個人事業者向け中小法人向け中小企業庁への独自取材に基づき、給付要件や申請方法を分かりやすく解説します!

今すぐ支援が必要な方は、申請受付が開始され次第スムーズに申請できるように、備えておきましょう。(申請にあたっては、ご自身でも申請要領やよくあるお問合せを、必ずご確認ください)

・個人向け申請フォームの入力項目

屋号・雅号、業種、申請者住所、申請者氏名、生年月日、連絡先、2019年の事業収入、対象月の月間事業収入、申請者本人名義の振込先口座情報 

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持続化給付金申請要領(個人事業者等向け)
 

・法人向け申請フォームの入力項目

法人番号、法人名、本店所在地、設立年月日、決算日、業種、資本金等・従業員数、代表者・担当者情報、代表者・担当者連絡先、申請日の属する事業年度の直前の事業年度の事業収入、対象月の月間事業収入、法人名義の振込先口座情報(法人代表者名義も可)

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持続化給付金申請要領(中小法人向け)
 

・申請に添付が必要な証拠書類

下記のとおりです。後述する特例のように、場合によってその他の書類が必要とされることもあります。

1)2019年(法人は前事業年度)確定申告書類

 青色申告の個人は、確定申告書第一表と所得税青色申告決算書の控え

 白色申告の個人は、確定申告書第一表の控え

 法人は、確定申告書別表一と法人事業概況説明書の控え

 ※確定申告書第一表(別表一)には収受日付印の押印が必要。e-TAXの方はPDFをダウンロードできます。

2)対象月の月間事業収入がわかるもの

 売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類が原則。エクセルでも、クラウド会計サービスのデータでも大丈夫です。(但し、当該書類を出せない相応の事由がある場合は、他の書類によることが認められるケースも)

3)通帳写し(振込先口座情報の確認のため)

4)(個人事業者の場合)本人確認書類写し

 

◎いくらもらえるの?

個人も法人もいずれも、申請日を起点として、前年度の同月比で50%以上減収した任意の月間事業収入を12か月分に掛け算した金額を、前年度の年間事業収入から差し引いた金額(※10万円未満は切り捨て)が振り込まれます。(なお、持続化給付金は事業収入の減少を補填するものなので、経費を差し引いた残りの金額は通常の事業収入と同じく課税対象となります。)

言葉で書くと混乱するので、申請要領から計算式を引用しますね。

・個人の場合

S(給付額)=A(2019年の年間事業収入)-B(対象月の月間事業収入)×12

・中小法人の場合

S(給付額)=A(申請日の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入)-B(対象月の月間事業収入)×12

ただ、昨年の今頃はたまたま収入が少ないorまだない時期で…という方もいらっしゃいますよね。そんな人のために特例もあります。

2019年1月~12月の間に開業した個人や、設立した法人の場合

2019年1月~12月の間に開業人は、2019年の月平均の事業収入に比べて50%以上減少している月があれば、以下の計算式で給付金を受け取れます。(法人の場合も申請日の属する事業年度と前年度で同様に比較)

S(給付額)=A(2019年の年間事業収入)×(12/M(2019年の開業後月数))-B(対象月の月間事業収入)×12

但し、追加書類として、個人の場合は開業届に代表される開業を証明する書類、法人の場合は履歴事項全部証明書の提出が必要です。

・季節性や納品タイミングにより、特定の時期に売上が偏っている場合

申請日の前年度の、少なくとも1ヶ月を含む任意の連続した3ヶ月(基準期間)の事業収入合計が年間事業収入の50%以上を占めている場合は、前年度の「基準期間」と今年度の「対象期間」(いずれも同じ3ヶ月)の月平均事業収入を比較して、50%以上減収していれば、以下の計算式で給付金を受け取れます。(個人でも法人でも)

S(給付額)=A(基準期間の合計事業収入)-B(対象期間の合計事業収入)

・その他の特例

その他にも、売上が少なく確定申告の義務がない個人や、青色申告をしているが決算書の控えに月間事業収入の記載がない場合、年度途中で個人事業主から法人に切り替えた場合、合併や事業継承をした場合、連結納税を行っている法人、罹災証明書等を有する場合、NPO法人や公益法人等の場合は、特例の証拠書類や算定式があるので、ぜひ申請要領をチェックしてみてください。

◎申請するベストタイミングは?

持続化給付金の申請期限は2021年1月15日となっています。但し、一度給付を受けた方は、再度給付申請することができないので要注意!今後もまだしばらくコロナウイルスの影響は続きそうなので、今すぐ資金繰りが危ないという方以外は、前年度比で最も収入が落ち込むタイミングを見極めて申請するのが得策です。

そもそも、持続化給付金は早い者勝ちではありません。事業者向け給付として世界最大規模の、2.3兆円という莫大な予算が用意されており、米国のように予算が尽きて行き渡るまでに想定外の時間を要するということは考えにくいです。

これは私の個人的な考えですが、資金繰りのために一刻を争う方への配慮や思いやりも必要かなと思います。電子申請とはいえ、審査やコールセンター対応を行うのは人間で、相当な混雑が予想されます。

念のため自分も対象になるか確認だけしておきたいなどの方の問い合わせは少し待っていただけると、まさに今ピンチな方への給付がスムーズになります。

◎不正受給はどう防ぐの?

私たちの預けている大切な税金が財源なので、不正受給は絶対にあってはいけませんよね。そこで、申請する際には、給付要件を満たしていることや、申請内容が虚偽でないこと等を宣誓・同意する必要があります。

提出書類の審査の結果、万が一、不審な点がみられたり申請に不正が疑われる場合は、関係書類の提出指導、事情聴取、立ち入り検査等が行われます。既に給付された給付金についても、遡って徹底した調査が行われます。

調査の結果、申請者が給付要件を満たさないことが判明した場合、給付金の返還を求められます。故意でなかった場合は、給付金を返還すれば大丈夫です。しかし、故意に虚偽の記入や偽りの証明を行った場合には、給付された金額に延滞金等を加えた額を支払う義務を負うほか、名前を公表され、刑事告発される可能性がありますので、絶対に不正受給はやめておきましょう。

◎これじゃ足りない!給付対象じゃなかった!どうしよう?!

持続化給付金は、対象要件さえ満たせばシンプルな手続きで現金がもらえる、有難い制度です。しかし、残念ながら、減収幅が少なかったり、2020年に開業したばかりだったりで、対象にならない方もいることでしょう。

そんな方は、その他の自営業者・フリーランス向けの支援策もチェックしてみてください。様々な支援策が打ち出されていますが、それぞれ目的や対象者が異なり、併用前提で設計されています。点ではなく、面で見れば、きっと使えるものがあるはずです。

自営業者・フリーランス向けの中でも、特に要チェックな支援策には、このようなものがあります。ここで挙げているのはごく一部で、業界別、自治体別で用意されているものも含め、多種多様な支援策があります。

 

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気になる支援策PICK UP(筆者作成)

 

◎支援策の情報はどこで得られるの?

持続化給付金に関するお問合せは、補正予算が成立してコールセンターが開設されるまでは、中小企業 金融・給付金相談窓口(0570-783183)で受付けています。

最新の事業者向け支援策を、網羅的に知りたい方は、経済産業省のまとめページをご覧ください。たくさんの情報があり過ぎて、何が自分に当てはまるのかよく分からない方には、LINEをご活用ください。LINEで「経済産業省 事業者サポート」と検索すると公式アカウントが出てきます。ともだち登録をして、利用規約に同意し、メインメニューから気になる項目をタップすれば、その詳細と相談窓口の電話番号が出てくるので分かりやすいです。

事業者向けに限らず、主な支援策だけ総合的に知りたい方は、首相官邸の「生活と雇用を守るための支援策」というページや、Yahoo!のまとめページが、対象者別に整理されていて分かりやすいです。

また、行政の用語が分かり辛いという方には、私の運営するフリーランス協会でも、なるべく噛み砕いた分かりやすい解説を心がけています。常に最新情報を発信しておりますので、メルマガ(無料会員向け)FacebookTwitterInstagramなどを良かったらフォローしてください。(人気記事「総まとめ!フリーランス・自営業者なら絶対知っておきたいコロナショック支援策」も更新しました。)

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お役立ち最新情報源(筆者作成)

 

◎緊急追加アンケート回答募集中

今回は、悲惨な実態の詳細や署名を寄せてくださった多くの方のお陰で、持続化給付金のほかにも、ベビーシッター助成小学校休業等対応支援金を始め、フリーランス協会で要請してきた新型コロナウイルス感染症拡大の救済措置は、一旦、満額回答を得ました。声を上げれば社会は変わるということを実感された方も多いと思います。

しかし、「誰もが自律的なキャリアを築ける世の中」を目指す上では、契約ルール整備やフリーランスの実態捕捉、ライフリスクのセーフティネット整備など、中長期的な課題が残っています。フリーランス協会では、「フリーランス白書2020」の発刊(6月予定)に向けて、新型コロナウイルスがフリーランスに与えた影響に関する緊急追加アンケートを実施しています。調査結果は、政策提言などで広く活用していきます。5分ほどで回答できますので、ぜひ皆様の声を寄せてください。

(Yahoo! ニュース個人より一部編集の上、転載しました)