香港の保険テクノロジーのスタートアップOneDegreeは米国時間4月23日、最初のプロダクトをローンチした。Pawfect Careと名付けた一連のペット向け医療プランだ。同社は今後、サイバー保険や人間の医療保険なども出す予定で、すべてが完全にオンラインのそれらが出揃うのは今から12カ月後だそうだ。
2016年設立のOneDegreeは、2019年シリーズAで3000万ドル(約32億2000万円)を調達した。投資家はBitRock Capital、Cyperport Macro Fund、そしてCathay Venturesなどだ。
共同創業者でCEOのAlvin Kwock(アルビン・クック)氏によると、香港では規制が厳しく保険の免許をもらうのが難しいため、Pawfect Careの立ち上げまでに2年を要した。
香港で初めてインターネットを利用する保険に免許が下りたのは、既存の保険企業Sun LifeのBow TieとAsia InsuranceのAvoの2例だ。香港の保険監督機関は、既存企業のデジタル進出には熱心だ。既存企業とは無縁の独立企業としてネット保険の免許が下りたのは、OneDegreeが初めてである。
OneDegreeは2021年、サイバー保険と人間の医療保険を徐々に立ち上げるつもりだ。クック氏によると新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが「パラダイムシフト」を起こした。人が顔と顔を合わせることが、激減したからだ。保険監督機関も今ではネット保険に免許を出すようになったし、いろんなネット製品の登場を許容している。
同社がペット保険から始めることに決めたのは、ペットの医療は高いにもかかわらず、香港では飼い主の3%しか医療保険に入っていないからだ。OneDegreeでは、顧客が保険証書を買って管理するのも、保険金を請求するのも、モバイルアプリからだ。請求の約90%は支払いが2営業日以内に行われるそうだ。
パンデミックへの対応としてPawfect Careのペット保険は新型コロナウイルス関連の医療費もカバーしている。ただしOneDegreeが強調するのは、ペットを検査してウイルス陽性になった例が極めて少ないことだ。実際にキャリアが見つかった証拠もない。それでもペット保険の対象に入れたのは飼い主を安心させるためだ。
(4月25日TechCrunch Japan記事「新型コロナも対象のネットネイティブのペット保険が香港で誕生」より転載)
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