新型コロナウイルスの感染が疑われる人の医療機関受診の目安について、専門家会議の方針転換が起きている。
当初、高齢者や持病があるなど重症化しやすい人向けの目安として、風邪や熱といった症状が「2日程度」続いた場合としていたが、4月22日に発表した見解や記者会見では「場合によってはすぐにでも相談して」と発表した。
当初の発表・見解はどうだったのか。
主な内容は次の通り。
重症化しやすい人の対象
・高齢者
・糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPDなど)の基礎疾患がある人や透析を受けている人
・免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている人
・妊婦
目安となる症状
「風邪の症状や37.5度以上の発熱」
「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)」
この症状が「2日程度続く場合」に、新型コロナ受診相談センター (従来の帰国者・接触者相談センター)に相談するよう呼びかけていた。それ以外の一般の人については、上の症状が「4日以上継続した場合」と示していた。
これに対して、専門家会議が4月22日の記者会見で新たな目安を発表。重症化リスクが高い人や妊婦について「4日を待たず、場合によってはすぐにでも相談」と変更された。
尾身茂副座長は「今までは高齢者が2日となっていましたが、2日と言わないで、day1からすぐメリハリをつけてください」と説明した。
日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、記者からこの変更について問われると「この病気の蔓延が疑われる状況になったので、基礎疾患あり、高齢、妊娠、リスクが高い場合にはいつもと体調が違うと思われたらすぐに電話で相談、受診してほしい」と説明。「方針が大きく変わったというわけではないが、運用については注意してほしい」と述べた。
22日の発表では、「4日以上継続した場合」という一般の人向けの目安は継続されたが、この趣旨について釜萢氏は次のように述べた。
「2月の受診の目安は、いつもと体調が違うということに対して4日間経過をみてくださいというメッセージととられたのですが、それはそうではなくて、体調が少し悪いからといってすぐみなさん医療機関を受診されるわけではないので、いつもと違うという症状が続いた場合には、少なくとも4日は続くということであれば、普段は受診をされなくても今回に関しては相談していただきたいということ」
専門家会議のメンバーらでつくる専門家会議コロナ有志の会でも、「持病がない64歳以下の方は、風邪の症状や37.5℃以上の発熱でも4日間はご自宅で、回復を待つようにしてください」と経過を見るよう呼びかけていた。
そのため、釜萢敏氏の説明に対して「『4日間待て』としか読めない」「発言を修正した」と、疑問や批判の声が上がっている。