ウイルスより怖い「そいつ」の正体。新型コロナ、日本赤十字社がアニメ動画を公開

日本赤十字社が公開したアニメーション動画「ウイルスの次にやってくるもの」。心に巣食う「恐怖」と距離をとるために、今できること。

日本赤十字社が、2020年4月21日、「ウイルスの次にやってくるもの」というタイトルの動画を公開し、SNSで反響が広がっている。

およそ3分ほどのアニメーション映像で伝えているのは、もしかしたらウイルスより怖いかもしれない「恐怖」の存在だ。

同社は、3月25日にもオフィシャルサイトで「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」というガイドを掲載。感染症の怖さを、「病気」「不安」「差別」という3つの側面から説明し、それらが負のスパイラルとなることで新型コロナウイルス感染症がさらに拡がっていくことを伝えている。

この動画では、その負のスパイラルがわかりやすくアニメーション化されている。動画に登場するのは、ひとりの男性。彼はパソコンやスマートフォンを見て、日々情報を収集しているが、彼の周りには黒くモヤモヤとした「そいつ」がつきまとって、次第に増大していく。そして、「そいつ」は男性に向かってこうささやくのだ。

先の見えない状況を、「もうみんな助からない」と。

誰にもまだ分からないことを、「誰かが隠しているのだ」と。

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「そいつ」の正体は、人々の心に巣食う「恐怖」だ。恐怖は人から人へと伝わり、根拠のない噂を呼ぶ。人々は攻撃しあって分断が始まり、誰の言葉も信じることができなくなる。それはまさに今、新型コロナウイルスの感染拡大による混乱から発生している、個人に対する誹謗中傷や偏見、差別を思い起こさせる。

動画の後半では、「わたしたちが恐怖に飲み込まれる前にできること」として、具体的な行動と心構えを推奨している。

 「ときにはパソコンやスマホを消して、暗いニュースばかりを見すぎるのはやめよう。不確かな情報をうのみにしないで、立ち止まって考えよう」

「誰にもまだ分からないことは、誰にもまだ分からないことでしかない。そのままを受け止めよう」

「非難や差別の根っこに、自分の過剰な防衛本能があることに気づこう。冷静に、客観的に、恐怖を知り、見つめれば、恐怖はうすれていくはずだ」

「家族や友人と電話して、笑おう。いつものように、きちんと食べて、眠ろう。恐怖は逃げていくだろう」

そして、最後には「恐怖は誰の心の中にもいる。だから励ましあおう。応援しあおう。人は、団結すれば、恐怖よりも強く、賢い。恐怖に振り回されずに、正しく知り、正しく恐れて。今日、わたしたちにできることを、それぞれの場所で」と締め括っている。 

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動画は、現在14万回以上が再生されている(4月23日12時時点)。Twitterでは、「今大切なこと」「ニュースから離れるのは悪いことじゃないと知った」「もう情報に惑わされるのはやめよう」などと、共感する声が広がっている。