休校中、双方向型のオンライン指導実施は5%にとどまる。自治体間で取り組みに大きな差

文科省の調査によると、全ての自治体で教科書や紙の教材を活用している一方、デジタル教材や独自に作成した授業動画などを活用する自治体は全て3割以下だった。
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新型コロナウイルスの流行により全国で学校の臨時休校が相次ぐ中、学習指導の方法に自治体間で大きな差が出ていることが文部科学省の調査で分かった。オンラインで同時双方向型での指導を取り入れているのは5%に過ぎず、文科省は合わせて出した通知で「ICTを最大限活用して遠隔で対応することが極めて効果的」と自治体に工夫を求めた。

 調査は4月16日時点で臨時休校すると答えた1213の自治体に対し、約2万5000校の公立小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校などでの取り組みを聞いた。

休校中の家庭学習の方法(複数回答)について、全ての自治体が「教科書や紙の教材を活用」している一方で、その他の学習方法を取り入れているのは以下の通り。全て3割を切った。

デジタル教科書やデジタル教材を活用…29%

テレビ放送を活用…24%

教育委員会が独自に作成した授業動画を活用…10%

同時双方向型のオンライン指導…5%

(文科省によると、同時双方向型のオンライン指導は、オンライン会議システムなどを用いた対面での指導を想定)

こうした現状を受け、文科省は知事や各自治体の教育長などに向けて「臨時休業中の学習の保障等について」を通知。平常時のルールに縛られず、「まずは家庭のパソコンやタブレット、スマートフォン等の活用、学校の端末の持ち帰りなど、ICT環境の積極的な活用に向け、あらゆる工夫をすること」を求めている。

ハフポスト日本版が東京都23区に行った調査でも、「オンライン授業を実施する」としたのは港区のみ。また、港区も教諭らが出演するYouTube動画を作成、限定公開するという手法で、同時双方向型のオンライン授業を行うと答えた区はなかった。端末の用意や家庭環境の差、セキュリティの問題などが大きな課題となっており、専門家からは学ぶ機会が失われることへの懸念も指摘されている。 

調査を担当した文科省健康教育・食育課は「各自治体によって児童・生徒用のパソコンやタブレットなど端末の整備・活用状況に差があり、取り組めることには差がある。家庭によって通信環境なども異なるため、教科書や紙の教材を活用するのは悪いことではない。ただ、できるところからICTを使った取り組みをしてほしい」としている。