緊急事態宣言、東京23区の保育園はほぼ全て「休園」か「自粛要請」に【新型コロナ】

「リモートワークの場合は家庭保育を」としている区もあるが、働く親からは「家で子供を見ながら仕事なんてできない」との悲鳴も。
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保育園の対応表一覧
ハフポスト日本版

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言が発令され、対象となっている東京都内の保育園では宣言期間中の臨時休園や登園自粛を強く求める動きが広がっている。ハフポスト日本版の調査(4月9日朝時点)では都内23区のうち、江東区を除く全ての区で「臨時休園」か「登園自粛要請」の対応となっていた。

緊急事態宣言発令にあたり、安倍晋三首相は保育園について「感染リスクに留意し、規模を縮小して実施する」と言及。小池百合子都知事も「親が自宅でテレワークする場合はお子さんを自宅で見てもらうなど、保育縮小について検討していただきたい」と語っていた。

これを受けて「在宅勤務の場合は家庭で」としている区もあるが、働く親からは「家で子供を見ながら仕事なんてできない」との悲鳴も。

また、「自粛」としながらも、休園並みの強い表現で登園しないよう求める区や園もあり、必ずしも言葉通りの実態にはなってはいないようだ。

 

ほぼ全区で「休園」か「自粛を」

23区が発表したサイトや直接の問い合わせによる調査では、千代田区や中央区など8つの区で原則的に区内の認可保育園に関して「休園」とする表現を使用していた。

一方、品川区や世田谷区など14区では「自粛」を要請する表現にとどめている。ただし、温度感は様々だ。

同じ自粛でも「やむを得ない場合を除き自粛を」とする板橋区のような表記もあれば、「可能な場合にはご協力を」(新宿区)、「無理をしてまで登園自粛していただく趣旨ではありません」(中野区)のような自治体もある。

言葉の使い方や求める強度には違いがあるものの、これら22区では原則として保護者に対して子供の家庭での保育を求めている。

自粛か休園かに関わらず、医療関係者など職業を限定して特別に預かったり、どうしても仕事を継続する必要がある親になどに対しては個別に相談を求めたりしている区も多い。

「原則休園」の渋谷区や豊島区では「世帯全員が警察官、消防官及び医療従事者のご家庭に限り」などと職業を例示して、特別保育を実施するとした。

4月9日朝現在、江東区だけは検討中だとしており、決定は週内に予定しているという。

 

在宅勤務の場合は、登園できる?

親が在宅勤務となっている場合にも、登園自粛するよう求められるのか。この点では区の判断は分かれている。

「登園自粛」としている品川区は「在宅勤務など保護者が家にいる場合は原則利用できません」と表記。港区は「保護者等がテレワーク勤務や休業できる場合など」について自粛するよう求めている。

一方、同じく「登園自粛」の大田区では「保護者が在宅で、かつ、ご自宅にて保育が可能な場合」に登園を控えるようにと表記されている。また、世田谷区は「仕事を休んで家にいることが可能な保護者」に対して自粛を要請している。

品川区に住む30代の会社員女性はオフィスが閉鎖となり在宅勤務となっている。「安全のためには仕方がないけれど、家で子供がいたら絶対に無理。仕方がないので子供が昼寝中か、夜に寝かせてからの仕事になりそう」と話している。

 

結局、園ごとの考え方で違いも

とはいえ、自粛とした区の場合、どこまで強く要請されるのか、その度合いは仮に同じ区内でも園によって違うという例もあるようだ。

世田谷区の30代会社員女性は、きょうだいを別々の園に通わせている。長男の私立認可保育園では、保育士の命を守るため、との理由で登園はしないようにと強く要請され、「自粛とはいえ結局預かる気は無いなと感じた」という。一方、次男の区立保育園では、区からのお知らせの紙を受け取っただけで何も言われなかったという。

 

「休暇」取得できるかに差も?

また、企業によっては、従業員に対して保育園の休園に伴って特別休暇を取得できる制度としている場合もある。自粛を要請している区では、従業員が提出を求められるであろうことを想定し、区長名でのお願い文を配布しているところも。

しかし、「自粛」の港区に在住する30代の会社員男性は、「会社に相談してみますが、休園ではないので休暇が認められるかは不安です」と話している。

「自粛」か「休園」か、実態が同じでも企業の方針次第では従業員が休暇取得をできるかどうかの点で差が生じる場合もありそうだ。