子宮頸がん、日本での死者は年間約3500人。ハヤカワ五味さんが語る検査と予防の大切さ

子宮頸がんは、対策をしていれば未然に防ぐことができるがんでありながら、日本ではその検査率はまだ4割と低く、意識が低いだけでなく、いろいろ複雑な問題があるのが現状です。
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主催者提供

4月9日は4・9にちなんで「子宮の日」とされているのをみなさん、ご存知でしょうか?

子宮の病気として代表的な子宮頸がんは特に若い女性に発症しやすい病気。

対策をしていれば未然に防ぐことができる癌でありながら、日本ではその検査率はまだ4割と低く、意識が低いだけでなく子宮頚がんには色々複雑な問題があるのが現状です。

 

「子宮の日」の前日である4月8 日、保険会社 JustInCase 主催で若い女性の子宮がんや検診に対するリアルな価値観について考えるライブ配信トークイベントが開催。

女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長で産婦人科医の高尾美穂氏と、過去に子宮頸がん検査で“中等異形成”と診断された経験があり、自身で生理用品ブランドも展開する女性実業家、ハヤカワ五味さんが、子宮頸がんの検査の大切さについて語り合いました。

イベントの様子をお伝えします。

 

子宮頸がんは“がん化”する前に見つけることができる

子宮頸がんとは、ヒトパピローマウイルスへの感染が原因で、子宮の出入り口である子宮頸部に生じるがんです。

 

高尾医師は「がんというと、交通事故のように、なってしまったら仕方がないものと思っている人が多い」と指摘します。

 

「ただし、がんの中でも感染によって起こるものがあります。たとえば、その95%がピロリ菌が原因で起きる胃がん。子宮頸がんもその一つです。子宮頸がんはその99%以上がヒトパピローマウイルスへの感染によるものです。つまりヒトパピローマウイルスへの感染を防ぐことができれば、子宮頸がんはなくなる病気。ヒトパピローマウイルス感染による子宮頸がんの抗ウイルス薬ができたら、子宮頸がんがなくなるわけですが、現在はそれがないから“ワクチン”という話になるんですよね。世界では子宮頸がん撲滅を謳っている国もあるほどです。でもまだ日本ではワクチンに逆風が吹いていて、手探りな状態なのかなという印象があります」(高尾医師)

 

子宮頸がんは簡単に検査ができる病気だというのは、ハヤカワさん。

「私が初めて産婦人科に行ったのはカンジダ症になったときのこと。最初は“カンジタ”って性病じゃん!という思いがありましたが、よく調べたら、抗生物質が原因でもなることがわかりました。その時に行った産婦人科で、子宮頸がんの検査も受けたんです。そして“中等異形成”と診断され、精密検査を受けたら陰性だったので、経過観察をしています。最初聞いた時には『え? がん? 私、死んじゃうの?』と思ったんですが、先生が「しっかり経過観察をすれば大丈夫だから」と説明をしてくれて、安心して年に2、3回のペースで病院に行っています。子宮頸がんは、がんになる前に検査でわかる病気です。検査に引っ掛かったらどうしようと不安で病院に行かないという人も多いと思うんですけど、正しい知識を持って、一度、病院に行って欲しいと思います」

 

それに対し高野先生は、子宮頸がん“はがん化“する前に見つけることができる病気だと指摘します。

「本当におっしゃる通りで、異常がでるのが怖くて病院に行けないという人の声をよく聞きます。でも、子宮頸がんの検査にひっかかったという人が意外と多いのは、子宮頸がんくらいしかこんなに早くわかるがんがないということ。子宮頸がんは医者が検査の時に目で見て確認できる場所にできるもの。だから何度でも検査できます。多くのがんは、がんになった状態にならないと見つけられないけれど、子宮頸がんは“がん化”する前に見つけることができる。ハヤカワさんの中等異形成もたしかに異形成ではあるけれど、がんの手前、言ってみれば、がんではないんです。早く見つけられるがんでは、子宮頸がんに並ぶものはありません。だから女性はぜひ、検査をしてほしいと思います」

 

「検査しやすいからこそ見つかりやすいから、機会はなかなかないけれど、周りの人に『実は中等異形成が見つかって』とポロッと言うと『私も……』という人が意外と多いんですよ。だから、そこまで珍しいことではないんだよという意識をもって婦人科に行ってもらうといいと思います」(ハヤカワさん)

 

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ライブ配信イベントの様子
主催者提供

 日本での年間死亡者数は約3500人

その一方で、ハヤカワさんは正しい知識を持つことが大事だとも指摘します。

「パートナーに話したら『え?死ぬの?』と言われてしまったり、親が焦ってしまったりしました。だからお医者さんときちんと話すこと、きちんと話ができるお医者さんに出会うことも大切なのではないでしょうか」

 

高野先生は、ハヤカワさんの意見に対し、こう言います。

「みなさんに正しく知って欲しいのは、“子宮頸がんの検査をして、ひっかかった”というのと“組織診断をして確定診断がついた”というのは違うということ。子宮頸がんは細胞診なんです。そして組織診断で、軽度の異形成が見つかり1、2年続いた場合、高度だった場合は手術をお勧めしています。手術といってもアイスクリームをスプーンで救うように、シュッと取り除くものなので、子宮は残るし、生理もくるし、妊娠・出産もできます。子宮頸がんが進むと、子宮、卵巣、膣を1/3ほかを失うことになる……。だからどの段階で見つかるかが、本当に大事なんですよ。しかも子宮頸がんで亡くなる方は年間で約3500人いらっしゃる。早く発見できたら、それをなくせると思うと辛いですよね。しかも日本では死亡者のなかで一番多いのが30代の女性です」と言います。

 

「検査が大事、予防が大事。検査=予防ですね」とハヤカワさんは語った。

 

大切な体だからこそ、まずはぜひ婦人科に行って子宮頸がんを予防し、自分の未来を守りましょう。  

 

※イベントの様子はこちらでアーカイブ放送をみることができます。

 

【UPDATE 2020/4/10】子宮頚がんの死者数には年間およそ3000人とする説、子宮頚がんと子宮体がんのいずれにも分類されない死亡者数も含めて推計し、3500人とする説があります。