安倍晋三首相は3月23日、国際オリンピック委員会(IOC)が2020年の東京五輪の延期を含めた検討に入ると発表したことを受け、「困難な場合には、延期の判断も行わざるを得ない」と発言した。
参院予算委員会で、自民党の佐藤正久氏が安倍首相に東京五輪について、「IOCが今後4週間で延期も含めて検討に入ると発表した」と質問。
安倍首相は、「IOCの判断は、私が申し上げた『完全な形での実施』という方針に沿うものであり、仮にそれが困難な場合には、アスリートのみなさんのことを第一に考え、延期の判断も行わざるを得ないと考えております」と回答。
IOCは、大会中止の選択肢はないと強調している。安倍首相は、「判断を行うのはIOCであります」とした上で、「中止という選択肢はないと、この点はIOCも同様だと考えております」と述べた。
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安倍首相の答弁全文は以下の通り。
新型コロナウイルスが日本を含め世界的な広がりを見せる中、東京オリンピック・パラリンピックについてどう考えるべきかずっと考えてきたところでございますが、まず東京オリンピック・パラリンピックは、アスリートのみなさんにとって、また観客の皆さんにとって安全であり、安心できるものではならない。と同時に、国際社会が大変な悪影響を受けている中において、世界がこのコロナウイルスに打ち勝った証として、完全な形で実施をして行きたいと考えてまいりました。
中止ということはあり得ないと考えてきた。その考えに則って、先日のG7首脳会議においては、『人類がコロナウイルスに打ち勝った証として完全な形で実施したい』と述べました。そしてG7の首脳たちから支持を得たところでございます。全ての国のアスリートが万全な準備の元に参加できる安心で安全な大会とする。規模は縮小せずに観客の皆さんにも一緒に感動を味わっていただくとの方針のもと、その準備を着実に進めていくとの考えを述べました。私の考え方については、昨晩オリンピックの組織委員会の森会長にも話をしていただき、森会長からバッハIOC会長にも話をしたと承知をしております。
そのあとにIOCの理事会が行われたわけでありますが、IOCは先ほど行われた理事会で、東京大会について全ての関係者の健康を守り、また新型コロナウイルスの封じ込めに協力するため、今後4週間を目途に大会開幕日の変更も含めたシナリオの検討に入ることを発表したものと承知しております。
こうしたIOCの判断は、私が申し上げた『完全な形での実施』という方針に沿うものであり、仮にそれが困難な場合には、アスリートのみなさんのことを第一に考え、延期の判断も行わざるを得ないと考えております。
今後IOCとも協議を行うこととなりますが、トランプ大統領をはじめ、G7各国の首脳もこうした私の判断を支持していただけるものと考えています。もちろん判断を行うのはIOCでありますが。なお、中止という選択肢はないと、この点はIOCも同様だと考えております。